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続 星月夜の少年人形 9 

誰かに必要とされ、大切にされていると感じれば、人はそれだけで生きてゆける、と花村は思う。
妻子と別れ何もなくなったと思ったとき、自分だけに向けられた桃李の信頼を忘れない。
世間から見ればどん底かもしれない町の片隅で、一人ぼっちの子供たちは、肩を寄せ合って大きくなった。花村は共に暮らしたりはできなかったが、物心共に出来る限りの援助を惜しまなかったし、多少の情緒不安定なところはあっても桃李は期待通りしなやかに成長した。
施設では、傍にいる紘一郎の温かい手がいつも寂しい桃李を温め、桃李の存在も紘一郎を落ち着かせた。
幼い頃から、互いになくてはならない存在になっていた。
足りない物を補い合って、子供たちは成長して行く。

*******

高校生になり、アルバイトが許されるようになると、桃李は花村の所に入り浸りだった。写真の整理などに興味があるらしい。花村もまた、桃李にとっては縁の薄い身内のような特別な存在だったから、好きなようにさせた。

「ねぇ。花村さんの芸能プロダクションてさ、スカウトとかしないの?」

「なんだ、そういうのに興味があるのか?桃李。」

「興味・・・っていうか。う~ん・・・。」

「うちは、大方アダルトだからなぁ。大抵の場合は向こうが売り込みに来るな。」

余り目立つのが好きではない少年は、今日は思惑を秘めてやってきていた。頭のいい紘一郎が奨学金を受けて大学に通っていたが、大学院への試験も合格したらしい。桃李は自分の事の様に喜んで、お祝いをあげたいんだと真剣に相談に来た。まわりくどく言い出しにくそうに、桃李は口にした。

「おれさ。ちびの頃から施設に入ってさ、紘一郎にはほんと、世話になったの。花村さんにもいろいろ世話になったけど、紘一郎は、おれのおねしょパンツまで洗ってくれた兄ちゃんみたいなものだからさ、すごく大切なんだ。」

そうだな・・と、花村は話を促した。「そうだな、紘一郎は、桃李のいい兄ちゃんだ。過保護すぎる位な。」

「よくわかんないけどさ・・・紘一郎が通ってる私立の理系の大学ってさ、お金結構いるんだろ?」

意を決したように真剣な眼差しを向けた桃李に、花村は正直に答えた。

「ぶっちゃけ金は掛かるるだろうなぁ。理系ってさ、大抵大学院まで行くだろう?研究室とか入ったら、たとえ授業料が免除とかになっても、生活費まで面倒見てくれる奨学金は少ないだろうし、それにそこを又、借りられても今度は、卒業後に働きながら、何年も返済しなきゃならないからな。正直、紘一郎がどんなに頭が良くても、親が当てにならない分、施設出身者が大学へ行くのはきついと思う。」

「だよね・・・。」

試験に通ったものの、先を考えた紘一郎は、この先の進路を思案して迷っているのだろう。
きっと、桃李にはそこがわかったのだ。早い者は、高校卒業と同時に新しい場所を見つけ退所してゆく。特別な事情があっても、成人を過ぎた以上施設に在籍し面倒を見てもらうのは法律的にも不可能だ。

紘一郎の大学の勉学と、アルバイト生活の両立はかなり厳しいものだった。

「今まで施設にいた時はご飯とか風呂とかは、ちゃんと出てきたわけじゃん?紘ちゃんは、二十歳過ぎて出て行ったんだけどさ・・・なんか、平気だっていうんだけど、すげぇやつれてて、おれ心配なの。」

「で、相談なんだけど。おれ・・・さ。町に出るとスカウトとかに声掛けられて、うざいから人ごみの中には行かないようにしてるんだけど、もし花村さんだったら、おれに金使いたいと思う・・・?」

「それは、まとまった金を作りたいってことなのか?」

桃李はこくりと頷くと、いつになく真剣に思いを語った。






(´・ω・`) 此花:「説明ばっか・・・どこが、BLやね~ん・・・」

(*⌒▽⌒*)♪桃李:「まあ、がんばれ、そのうち脱いでやるから。」

(´;ω;`) 此花:「おねがいします~」

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2 Comments

此花咲耶  

美月さま

> こんばんは。
> やっと読む時間ができて、星月夜の少年人形を、
> ここまで読んでしまいました。

(*⌒▽⌒*)♪お読みいただき、ありがとうございました。一気読みしてくださったんですね。
>
> 優月くん、幸せになってよかった。
> ちょっと、桃李たちのとこに行ってしまったときは、このまま、やばいって
> 思ったけど。

(´・ω・`) 優月は、思い切り危なっかしですね~。苦労していない世間知らず丸出しです。

社長を想うゆえに、突っ走ってしまった榊原さん、あんたって人は、もう、って怒りたくなってしまいました。
>
面倒くさい人でした。大人の愛を書けるようになったら、榊原の屈折した愛も書いてみたいです。

> 続~のほうは、桃李の過去に、うるうるしてしまった。

桃李にも、生まれてきたことに意味はあると思ってもらいたいのです。
うるうるしてくださって、ありがとうございます。
>
> ライナスの毛布って~。
> 懐かしい。わかってしまうのって変かしら?

スヌーピーですね~。(*⌒▽⌒*)♪何かに依存していないと動けない人の持ち物「ライナスの毛布」は、だれにでもあると思います。

> そっか、きっと、紘一郎と桃李は、ほんとうにお互いが必要なんだね。
> うん。

お互いなくてはならない存在です。でも、桃李の胸には本当は・・・(〃ー〃)

> 続~のほうが、いろいろとそれぞれの状況が、純粋?ではないけど、
> すごく楽しみですね。
> これから、どうするのかな。
> しかし、優月のお父さん。おいしいとこ、持っていきすぎです。

王道練習中です。むつかしいです。つい、いじめっこになってしまいそうです。
コメントありがとうございました。うれしかったです。(*⌒▽⌒*)♪

2011/06/26 (Sun) 21:14 | REPLY |   

美月  

やっと、読む時間ができた

こんばんは。
やっと読む時間ができて、星月夜の少年人形を、
ここまで読んでしまいました。

優月くん、幸せになってよかった。
ちょっと、桃李たちのとこに行ってしまったときは、このまま、やばいって
思ったけど。社長を想うゆえに、突っ走ってしまった榊原さん、あんたって人は、もう、って怒りたくなってしまいました。

続~のほうは、桃李の過去に、うるうるしてしまった。

ライナスの毛布って~。
懐かしい。わかってしまうのって変かしら?
そっか、きっと、紘一郎と桃李は、ほんとうにお互いが必要なんだね。
うん。
続~のほうが、いろいろとそれぞれの状況が、純粋?ではないけど、
すごく楽しみですね。
これから、どうするのかな。
しかし、優月のお父さん。おいしいとこ、持っていきすぎです。

2011/06/25 (Sat) 23:18 | EDIT | REPLY |   

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