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星月夜の少年人形 番外編 「それから・・・」 

手を伸ばす若い恋人が、ずっと欲しかった腕を手に入れた。

「優成さん。」

「優月君。」

たった一度愛し合っただけの、どこかぎこちない恋人同士だった。夢のような一夜を胸に、羽ばたいた悲しみの小鳥が目の前に居る。
今は大きな瞳に零れそうなほどの嬉し涙を湛えて、優月は優成の元へと帰ってきた。
笑顔を浮かべようとして叶わず、どっと頬を濡らした。

「あれ・・・嬉しいのに・・・なんで、涙が出るかなぁ・・・」

照れた優月が、ぐいと手のひらで顔をごしごしとこすった。

「優成さん。ぼくね、いっぱい話があるんだよ。優成さんに会ったらね、何から話そうって思ってた。」

車に乗り込むなり、堰を切ったように話し始めた優月は、じっと優成の横顔を見つめている。視線を感じながらも、優成は前を向いてハンドルを握るしかなかった。

「そうか。色々、聞きたいな。」

「優成さんも、ぼくに話がある?会いたかった?」

優月は腕を伸ばすと確かめるように、ハンドルを握る袖にそっと触れた。
全てを後にした優月の眠れぬ夜、見上げる天井に幻の星月夜はめぐり続けた。月明りの中で確かめ合った一夜の温もりだけが、優月を支えていた。
人気のない地下駐車場に車は滑り込み、優成はやっと向き直った。

「長い二か月だった。・・・一日が数年にも感じられたよ。何度、仕事を放り投げて優月君がいるはずの高校に乗り込もうと思ったかもしれない。知ってる?まるでストーカーのように、空いた時間、校門前で君を待ってたこともあるんだよ。」

「やっと手に入れたと思った途端、優月君は薄雪のように消えてしまって、だんだんあの日ぼくが抱いたのは幻だったのかもしれないと思い始めていた。夢だったかなって。」

半ば本気でそう言う優成に、「そんなわけないじゃない。ほら、触って。」と、優月は口を尖らせ顔を突き出した。小さな顔を、両手で挟みこみ優成は静かに触れた。
くっと笑うと三日月になる黒い印象的な瞳が光り、細いネコっ毛が指の間をするりと抜けた。
優月の柔らかな頬に、優成は強く唇を押し当てた。そして、そのまま唇は動きぷくりとした艶やかな優月の唇を捕まえると、躊躇することなく深く重ねた。

「は、ふっ・・・」

息を継ぐのが下手くそで、まるで吐息のように甘い声が出てしまって優月は頬を染めた。ずっと優成に逢いたかった。・・・逢って愛されたかった。
本心が零れるのを恐れた優月が、優成の大きな手を両手で握り締めたまま俯いてしまう。

「どうしたの・・・?キスするのも怖くなった?大丈夫だからね、怖かったら、言って。」

「違う、違うの。逢ったらいっぱい話をしようと思っていたのに、今は優成さんに触って欲しい、感じたい・・・なんて、おかしい・・・?・・・変になったって思う?」

「変なものか、愛おしいだけだ。」

言葉の代わりに優成は開いたままの唇に、そっと舌を差し込んだ。震える舌が逃げるのを捕まえて吸い上げると、背筋が強張り身体がのけぞってゆく。下着をつけていないシャツが薄く張り、優月の胸にある小さな突起の場所を恋人に教えた。
「ここじゃ、さすがにまずいな・・・」優成の腕がそっと、優月のズボンの前に触れた。薄い夏ズボンの前はささやかに張って、優月の反応を示している。
優月の口腔に舌を這わせたまま、優成の手が感度の良い若い茎を布越しに撫で上げた。
無意識に優月の手が伸び、何もない場所で何か掴むような動作をした。

胸を弄ろうとした優成が、不思議に思い「何?」と問う。
優月は目を開けた。

「ん・・・目を瞑っているとね、優成さんのリビングの星空が降りて来るんだよ。離れている時、いつも思い出してた。優成さんの部屋で見た星月夜が、辛い時いつもぼくの力だった。」
「参ったな。」と優成は、頭をガシガシと掻いた。

「優月君。駄目だ、僕の理性のタガがどこかに吹き飛んでしまいそうだ。」

優月は不思議そうな顔を、優成に向けた。

「本当はね、ここでプラネタリウムのすごいのを見て、それから画廊に頼んであったシャガールのリトグラフを取りに行って君の誕生日を祝おうと思っていたんだ。」

「リトグラフ・・・そんな高いもの、いただけません。」

優月の言葉が全て終わらない内に、優成は車を走らせ自宅マンションへと向かった。緩やかな高台を車は上ってゆく。
優成の部屋で広がる夜景を見た優月は、ベランダで階下を見下ろしいつかのように「きれい~!」と、歓声を上げた。

月明りだけを頼りに、優成は無垢な優月の体温を感じていた。
見上げる天井に星月夜が廻る。

「もう二度と、離さない。」

「優成さん・・・。」

一面に星屑を散りばめた青い夜空に、抱き合った幸せな二人が浮かぶ。

星月夜の恋人同士を、流れ星が祝福した。





欲のない優月は、結局リトグラフではなく、マルクシャガールの≪恋人たち≫のポスターを買ってもらいました。

(`・ω・´) 優月:「それだって、フレーム込だと15000円もしたんだよ。びっくりした~。ぼく、中身のポスターだけで良かったのに。」

(*⌒▽⌒*)♪ 優成:「まあ、こんな所も可愛いんだけどね。何でも買ってあげたいよ、優月くん。」←15万円の「月明かりの恋人」のリトグラフを注文していた優成。

ヾ(。`Д´。)ノ画廊主:「買えや~~、こら~~!」

最後があまりにあっけなかったので、番外編として追加しました。
このまま幸せみたいなので良かったです。
王道・・・になってたら嬉しいです。(*⌒▽⌒*)♪←練習中~
もう少ししたら、「続・星月夜の少年」を始めます。こちらは、桃李が主人公予定です。

シャガール3




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2 Comments

此花咲耶  

Re: タイトルなし

> 優月と優成の 甘~くて ラブゥーな ワンシーンを 見せてくれて ありがとう♪

Ψ(*⌒▽⌒*)Ψケケケ…じゃなかった、もともと優しいですから!
>
> 大魔王にも ひと欠片の 優しさが あったんだね~♪ 

甘いお話になっていたでしょうか。うれしいです。(〃ー〃)
>
> 照れてる?(;一一) ジィー...→→→Ψ(* ̄∀ ̄*)Ψケケケ...byebye☆

照れてます。(〃▽〃)えへへ・・・コメントありがとうございました。うれしかったです。(*⌒▽⌒*)♪

2011/06/16 (Thu) 15:32 | REPLY |   

けいったん  

優月と優成の 甘~くて ラブゥーな ワンシーンを 見せてくれて ありがとう♪

大魔王にも ひと欠片の 優しさが あったんだね~♪ 

照れてる?(;一一) ジィー...→→→Ψ(* ̄∀ ̄*)Ψケケケ...byebye☆

2011/06/16 (Thu) 09:58 | REPLY |   

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