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星月夜の少年人形 34 

本屋に行きたいからと両親に告げた優月は、一人「星月夜」のアジトに向かっていた。

「ごめんなさい・・・。」

誰に言うでもなく、一人ごちた。最近、嘘をつくのが上手になった気がする。
優月はドアの前で、ほっと小さくため息を吐(つ)いた。

下手すると、このまま部屋の向こうの住人に、どこかに連れ去られるかもしれない。
優成に顔向けできないことになるかもしれないが、きちんと話をしようと思った。全部、自分で撒いた種だった。
具合が悪くなったのを助けてもらった後、愛し合う二人の艷めかしい姿に煽られて、恥ずかしいとも思わず痴態を晒してしまったのは優月自身だ。
その時の殆ど自慰に近い様子を、何故だかそこにいた二人に撮られてしまっていた。
その画像が向こうの手にある。
誰かに言われて、動画はすぐに消してくれたようだったが、その後どうなっているか分からない。そんなものは、すぐに複製できると優月も知っていた。
そういうものをネタに強請(ゆす)られた話は、高校生の優月でもワイドショーや週刊誌で見たことがある。
これまでそういう輩と関わったことはなかったが、このまま怯えて暮らすのは嫌だった。大好きな優成に、後ろめたい気持ちを抱いたまま会いたくはなかった。

勇気を振り絞って呼び鈴を押そうとしたら、指先が震えているのに気が付いた。
何度か手を握って、震えを止めやっとベルを押した。

「だれ・・?」

カチャ・・・

金属音がして、声と共に薄くドアが開けられる。

「あ、優月!」

「何だよ!がさ入れかと思ったじゃないか。入れよ。今、桃李はゲイビの撮影中なんだ。」
「・・・ゲイ・・・ビって・・・?」

紘一郎はくすっと笑った。

「ほんとに、何も知らないんだなぁ。男同士のアダルトビデオの事をそういうんだよ。こっちに来てみな。」

桃李の泣くような嬌声が響いて、優月はびくりと怖気た。知れずに腰がドアの外へ逃げるように流れた。

「ぼく・・・いいです・・・あの、この前は具合悪くなった時に助けてもらってありがとうございました。今度、家に帰れることになったから、ちょっとお礼だけ言っておこうと思って・・・。」

ふふんと、紘一郎が携帯を開いて見せた。「・・・これを消してほしくて来たんだろ?」
待ち受け画面を見て、優月の視線が一瞬泳いだのを、男は見逃さなかった。

「なあ・・・最後に、一回だけ桃李と絡まないか?顔消してやるからさ。・・・どうよ?」

決心してここに来たはずなのに、喉元で言葉が詰まって出て来ない。黙って紘一郎を見つめたまま思い切り頭(かぶり)を振った。

「いや・・!いやです。優成さんに、言えないようなこと、しないっ・・・。」

「冗談だよ。ほら、ちゃんと消してやるから見てな。」

目の前で操作して、待ち受け画面から自分の痴態が無くなったのを見て安心した優月は、頭を下げた。

「ね、優月。携帯ってさ・・・、送信できるよね?」

目を見開いた優月の携帯が、鳴った。そこにもし、優月の姿があればもうあの映像は幾つも複製されたことになる。
紘一郎の顔をじっと見つめ、優月は自分の(正しくは榊原から預かった)携帯を、ゆっくりと開けた。
見覚えのある、しどけない少年の画像がそこにある。優月は、引きつった顔のままその画像を削除にすると、重い口を開いた。

「あの・・・。どうすれば、消して貰えますか?ぼくはまだ学生で、こういうの困るんです。」

*******

二人で相談するから、桃李の仕事が終わるのを取りあえず待ってろと言われた。奥の広いベッドの上で、華奢な桃李が筋肉質の男と絡み合っている。

「せ、先輩・・・本当に、ぼくだけ?」

「ああ。そう言ってるだろ。だから、黙って抱かせろって。ほら、さっさと足、開けよ!」

「だったら・・・。ぼくのこと好きだって言って、先輩・・・ああ・・・、先輩・・・。」

霧吹きでシュッと褐色の背中に汗の玉が作られる。女の子の代わりに抱かれるように、桃李は小さく悲鳴をあげて「いや・・・先輩。」と足を開いていた。
白い足が空を掻き、先輩役の青年が片方の膝を抱えて、桃李の中にぐいと体を押し入れた。

「いやあぁーーー・・・っ!」

本当に先輩という名の男に、桃李が蹂躙されているようで優月は心配になった。押し付けられて開かれた桃李が顔を覆って世もなく泣いている・・・?
どうやら、先輩という男は身体だけが目当てのようだった。

「はい、カット!」

空気が瞬時に熱を持ち、互いの役柄が替わった。

「こら、てめぇ、さっき本気で挿れようとしただろう!?今度やったら、本気でぶちのめすからなって言ってあったよな!一辺、死ぬか、おらーーっ!」

ふざける二人は、制服姿の優月に気付いた。

「やっほ~、優月。見学に来たの?・・・のわけ、ないか?」

優月の青ざめた顔に、合点が言ったような桃李は手招きをした。

「ごめんな。優月に意地悪するつもりはなかったんだ。ほら、消してやるから。紘一郎!あんまり、可哀想なことすんなよ!花村さんに言われただろう?」

すっぽっぽんの桃李に、おしぼりを渡した紘一郎がくすくすと我慢しきれないと言う風に笑った。

「だってすれてなくて、超、可愛いんだもん。桃李だって一発やってみたいって言ってたじゃないか。」

「そうだよなぁ・・・別に、減るもんじゃなし。初めてってわけでもないんだろ・・・?」


本気か冗談か読めない二人が、ふっと笑いを消し優月の腕を左右から掴んだ。





(*⌒▽⌒*)♪「この分だと、何とかあと一話で終わるかなぁ~・・・」

ヾ(。`Д´。)ノ「離せ~~~、、此花、ぼけ、かす~~!」

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2 Comments

此花咲耶  

けいったんさま

> やっと 家にも帰れる様になったのに 全部が 納まりかけたのに!
>
> 優月一人で 行っては ダメな所でしょ~(T▽T)

意外に怖いもの知らずでした。大人しく見えて、やることは大胆でした。
>
> しかも 桃李と紘一郎は 得たいが知れない二人なんだからーー!

(`・ω・´)「脱いで来いっ!優月」←作者~~だって♪ψ(=ФωФ)ψですから!
>
> 優月ひとりで 大丈夫なの?ォロ(∀ ̄;)(; ̄∀)ォロ...byebye☆

(`・ω・´)大丈夫です!今回、とても優しい此花です。

2011/06/15 (Wed) 09:24 | REPLY |   

けいったん  

やっと 家にも帰れる様になったのに 全部が 納まりかけたのに!

優月一人で 行っては ダメな所でしょ~(T▽T)

しかも 桃李と紘一郎は 得たいが知れない二人なんだからーー!

優月ひとりで 大丈夫なの?ォロ(∀ ̄;)(; ̄∀)ォロ...byebye☆

2011/06/14 (Tue) 18:15 | REPLY |   

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