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紅蓮の虹・5 

別れの儀式が終わって、ほんの少しの荷物を詰めて、外にでた。

爺さんがこのままお待ちしています、とかしつこく言うので、仕方なく。

正直、親父だなんて言われても、ずっと一人で生きてきたから何の思いいれもありゃしない。

期待もしないし、受け入れるだけだ。

18になったら、いずれ施設を出る。

それが少し早まっただけだ、と思うことにする。

色々、手続きとかあるんじゃないのかと思ったが、どうやらそれは大人のすることらしい。

飛びかかるような勢いで、タメの百合がわめいてた。

「ちゃんとサヨナラしろよっ!ばか~っ、虹!」

「いずれ、きちんと挨拶はするつもりだったよ。」

百合は、母親がアルコール依存症で養育できない理由で、ここにやってきた。

来た当初は、大きな物音にすごく敏感で、いつも怯えた目をしていた。

ひどくやせっぽちで、目だけぎらぎら大きかった。






ここに来る奴はみんな、何らかの「家庭の事情」ってヤツをかかえている。

下手に血がつながっていない分、痛みがわかるから、俺達はすぐに家族になった。

恋愛じゃなくて、家族ね。

百合はそこが不満らしいが、まだ俺は恋愛しようという気がない。

精神がガキなんだと思う。

「ちょっと、親の面を拝んでくるだけだ。」

「まだ、ここを出てゆくわけじゃない。」

そういうと、すねたように口を尖らせたが、このままここに帰ることはないと身体の中で、何かがささやいた。

「ほんとう?」

「ああ。」

わざとぶっきらぼうに、そういった。

嘘つきは、きらいなんだけどな・・・ごめん、百合。

いい女になれよ。

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