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紅蓮の虹・82 

「イレーネは母親が体内で子供を育てるように、四郎の魂の傷を癒してくれた。」


「何百年もかかってやっと傷がいえた時、わたし達は四郎が愛した娘の転生を知ったんだ。」


百合のこと・・・?


コウゲイは頷いた。


「この機会を逃しては、おそらく二度と四郎の転生は叶わぬだろうと思った。」


「傷はいえても、いつ又闇に飲み込まれるか・・・同じ時代で百合に出会えたなら、きっと何とかなると思ったんだ。」


「おまえが激昂しやすいのは、全て魂の傷のせいだ。」


「そして、紅い髪と見た目はわたし(龍族)の影響ね。」


「わたしの虹。

もし生むことだけが母親といえるなら、わたしはあなたの母親よ。」


ぐるんぐるん・・・派手な母親宣言に、目が回りそうだった。


「四郎は、救われたんだよね・・・?」


「そうとも、わたしの虹。


おまえのおかげで、過去の四郎はやっと天国へと昇ったのだ。」


「・・・俺は、誰・・・?」


コウゲイは、もう嘘でごまかさなかった。


「わたしが天界の禁忌を破って、地上に下ろした過去の四郎の傷ついた魂。」


俺、生まれながらの傷物ですか?


ちょっと待て。


「じゃ、なんで俺には四郎の記憶がこれっぽっちもないの?」


「わたしが暗示をかけたからだ。わたしの虹。」


コウゲイは毎日、悲しいことは忘れておしまいと、イレーネの内側で眠る四郎の傷ついた魂に語ったらしい・・・。


「新しい命になって、生まれておいで。」


「君に新しい命をあげよう。」


「雨に打たれた地上に、天の架け橋となるような人生を送れるように守ってあげる、わたしの四郎。」


「だから、悲しいことは全て忘れておしまい・・・」

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