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紅蓮の虹・73 

魔道に落ちるぎりぎりのところで、四郎は揺れた。


頬を伝う、血の涙・・・・


「いけない、いけない、四郎っ!」


精霊と心を通わせるほどの清らかな四郎の心が、黒い憤怒に囚われそうになっていた。


そうなっては、四郎の落ちるところは「いんへるの」と決まっていた。


「お・・・のれ、松倉っ・・・」

ぎりと、血が滲むほど唇をかみ締めた。


四郎の美しい唇は、呪いを吐くものではなかったが、今や神の眷属、コウゲイの声すら四郎に届かない。


今や何も写さない四郎の空虚な瞳に向かって、コウゲイは懸命に声を掛け、自分の下に引き戻そうとしていた。


ザンッ!


突然、天幕が切り裂かれた。


「お覚悟!」


四郎は一刀の下、きりきりと舞うように、倒れた。


「四郎ーっ!!」




いつかの、南蛮鎧の武者が、一刀の下四郎を袈裟懸けにした・・・

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