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紅蓮の虹・71 

四郎が原城に入る日。


足のなえた母親とともに、足手まといになることを恐れ、村に残ると決めた娘、百合。


「最早、今生で会うことは叶うまいが、パライソでともに暮らそうぞ。」


四郎の奇跡で、眼が見えるようになった(本当はコウゲイが手を貸した)娘は、ずっと以前から四郎に叶わぬ想いを寄せていた。


将来のない二人は、束の間の夢を見た。


死ぬ場所は違っても、天国で再び必ずめぐり逢えますように・・・


束の間の逢瀬で、百合のおなかに命が芽生えたのは、神の祝福だったのか。


それとも、気まぐれだったのか・・・


誰に問うこともできない。

領主松倉の参謀は、器量のよい百合に目を付けていた。


年貢が払えぬその代わりに、夜伽をしろと望まれたが頷かなかったのだ。


百合が逃れながら身をよじり、思わず

「四郎さまっ・・・」

と口走った名前は、残虐な拷問を思いつかせるには十分だった。


元々、働き手を拷問するよりは、女子供を痛め付ける方が効果はあると分かっていたし、これまでも農民達にそうしてきた。


これまでのように、代官は震える百合の身包みをはぐと木に吊るした。


年貢を払えない若い女房が、気を失い正気をなくすほどの辱め・・・。


涙を流しながら許しを乞うさまが心地よく、十二分に働いたと褒美までもらってその心情は、既に人ではなくなっていたのかもしれない。


拷問は日に日に、過酷なものになってゆく。

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