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続・はつこい【如月奏の憂鬱】・1 

愛に飢えた不器用な美貌の青年は、異国の地でかけがえのないものを手に入れる。

それもまた、「愛」と呼ぶべきなのだろう。

********************************

煌く明治。

はるか欧羅巴に渡欧した留学生達の胸は、甘い期待と興奮で高鳴っていた。

大志に胸を膨らませて長旅を終え新天地に上陸した後、晴れ晴れしく各々、自分の学ぶ先へと向かう。

美貌の青年、如月奏(きさらぎ かなで)の降り立った倫敦の町は、昼というのに雲は厚く垂れ込め、湿気はまといつくように重かった。

如月奏(きさらぎ かなで)にとっての学生生活は、日本での暮らしと何の変わり映えもしないどころか、この町の空気にも似た鬱とおしい好奇心に晒されることから始まった。

故国にいたときの、金がらみのおもねるような媚びた視線こそないものの、留学先の大学生の中には衣類の下まで覗き込もうとするような不躾な手合いも多い。
時々背筋に怖気が走るような目に、何度も遭っていた。

ほおっておいてくれれば良いものを、日本での生活以上に煩わしい人間が多い。
東洋の島国からやってきた、官費留学を勝ち取ったほどの明晰な頭脳を持つ、綺麗なお人形の中身を皆知りたがった。

今、足元でうずくまって呻いている大男に、侮蔑の目線をくれながら奏は、友人の湖上颯(こじょう はやて)の予言が満更外れていなかったことに、苛立っていた。

「自分の身ぐらいは、自分で守れるようにしておいたほうがいい。」
「如月は、あまりにも無防備すぎるからな。」

数日前、湖上颯は、船室で上陸の支度をする奏に向かってそういったのだ。

「いいかい、周囲を眺めてご覧よ。西洋人というのは、ほとんどが君よりもはるかに大男だろう?君の、その女のような細腕など、一まとめでへし折られてしまうだろうよ。」

奏は怒りに赤くした頬を向けると、震える唇をきゅっと噛み締めて、言葉を選んだ。

武家出身の颯と違い、公家華族の自分が極めて非力なのは、当然知っていたが馬鹿にされて黙っていられるような性格ではない。

この華奢な美貌の実業家は、外面如菩薩、内面如夜叉というとんでもない激しさを秘めていた。

*********************************


新しいお話です。

カテゴリーの中にあります【はつこい】の続編です。
過去作品をお読みいただかなくても、大丈夫なようにがんがん加筆しました。
お読みいただけると嬉しいです。  
実はこの作品の主人公は、此花のお気に入りです。


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8 Comments

此花咲耶  

小春さま

小春さま

> 新連載始まったねv-238
> うん~ん、きっと頭の体操になるように思う、
>
漢字が多いです。そして回りくどいです~(*⌒∇⌒*)♪
がんばれ、小春ちん!

> ・・・大男はやっけられていたんだよね?・・・
こら~訊くんじゃない!自分で考えないと駄目ジャン?
> ふふっ~次に進むv-231

言わないぞ~(〃^∇^)o彡◇←ハンケチ振ってます~

2011/01/15 (Sat) 19:47 | REPLY |   

小春  

大遅刻だよ~ん^^

新連載始まったねv-238

うん~ん、きっと頭の体操になるように思う、

・・・大男はやっけられていたんだよね?・・・

こら~訊くんじゃない!自分で考えないと駄目ジャン?

ふふっ~次に進むv-231

2011/01/15 (Sat) 18:34 | EDIT | REPLY |   

此花咲耶  

サフランさま

サフランさま

> 雷神のような男で、変質者的人物の如月湖西が、最高爵位の公爵でなく、次の順位の侯爵で良かった~。
> …と、思いましたよ。神話では雷神の子孫と言われる○○族で、幕末の偉人を血族親族に持つ私としては!
> 本当に「侯爵」でありがとう(笑)。

うわ~、お読みいただきありがとうございます。
控え目ながら「はつこい」凌辱場面ありました。どきどき・・・
成り上がるのは、どれだけ頑張ってもこのくらいです。(〃▽〃)
色々、細かいことは生暖かい目で、よろしくお願いします。階級もかなり本も読んで考えたんですけど、此花庶民代表なので、てきと~でっす。
あきらめました。

> 血圧がもう少しで上がるとこだったわ。
> 両親共に幕末時代劇は勿論勤皇派びいきで、二人共新撰組が大嫌い。
> なので、武家出身の夫と結婚して、初めて朝廷方を悪く言う人の存在を知りました~。カルチャーショック~(笑)。
>
それは、なかなか興味深い話です。此花の出身県は佐幕派でしたので、明治維新の苦労は結構「坂の上の雲」などで見知っています。武家の苦労のほうがどちらかというと身近です。
がんばれ、ぱぱん。
キムラヤのアンパンだって、元は武家が作ったんだいっ!

> 『雪うさぎ』を読んで感動するまで、会津といえば「朝敵」という認識しかありませんでしたから。
>
なんとっ!…会津公は孝明天皇にして、ただ一人信じるに足るといわれた方です。
此花は会津に嫁に行きたかったくらいですから、今でも大好きです (〃▽〃)。
どちらにもそれぞれの正義はあり、互いによく戦い、よく負けたということですね~・・・(ノд-。)くすん・・・

> 新撰組は嫌いだけれど、会津はもう大丈夫です!
>
いつかサフランさんを、新選組も大丈夫です~といわせるぞ~。野望~~。

> 『はつこい』を全部読みました!!涙なしには読めない番外編もありましたよね。
> 漢字の『初恋』をひらがなの『はつこい』に変更されたのは、何か理由がおありなんでしょうか?
>
ありがとうございます。長い話なのに読んでくださったんですね。
「初恋」というタイトルを安易につけたら、あっちにもこっちにもいっぱいあって、それで…なんとなくひらがなに変えてみました。適当、ばれました~!(つ∀`*)っ))⌒☆

> ともあれ、お話の続きを楽しみにお待ちいたします♪

BLに持ち込めるかな~・・・・、そこが、問題ですけど、がんばります。
番外編でごまかすという手も・・・きゃあ。(*⌒▽⌒*)

コメントありがとうございました。うれしかったです♪

2011/01/12 (Wed) 22:21 | REPLY |   

サフラン  

公爵か侯爵か

雷神のような男で、変質者的人物の如月湖西が、最高爵位の公爵でなく、次の順位の侯爵で良かった~。
…と、思いましたよ。神話では雷神の子孫と言われる○○族で、幕末の偉人を血族親族に持つ私としては!
本当に「侯爵」でありがとう(笑)。

血圧がもう少しで上がるとこだったわ。

両親共に幕末時代劇は勿論勤皇派びいきで、二人共新撰組が大嫌い。
なので、武家出身の夫と結婚して、初めて朝廷方を悪く言う人の存在を知りました~。カルチャーショック~(笑)。

『雪うさぎ』を読んで感動するまで、会津といえば「朝敵」という認識しかありませんでしたから。

新撰組は嫌いだけれど、会津はもう大丈夫です!

『はつこい』を全部読みました!!涙なしには読めない番外編もありましたよね。
漢字の『初恋』をひらがなの『はつこい』に変更されたのは、何か理由がおありなんでしょうか?

ともあれ、お話の続きを楽しみにお待ちいたします♪

2011/01/12 (Wed) 21:06 | EDIT | REPLY |   

此花咲耶  

アドさまっ!

アドさま

わわ~(´・ω・`)アドさまからの感想コメ~~~~。
胸いっぱいになっている間に、先を越されてしまいました。


> 倫敦Oo。。( ̄¬ ̄*)ぽあぁん素敵~~。
> 公家華族の奏さんは、此花さんのお気に入りなのねぇ~って思っていたらコメント欄で乙女の語らいが!!
>
> 「君、東洋から来たの? 一緒に紅茶を飲まない?」(ヨシュア)
> 「あ、ありがとう」(奏さん)
> 「こらー、ほいほいついて行くんじゃない」(颯さん)
> 「(ムカ~~~ッ、ピキッ)」←ヨシュア心の音
> あああ、颯さんが心配してヨシュア君が癇癪を起こしそうです~~逃げろ―Σ(゚Д゚ノ)ノ おおぉぉぉぉ~

きっと、燃え上がる怒りに耐えるヨシュアくんも、うっとりとするほど美しいんだろうなぁ・・(//▽//)
アダム以外には、かなり素っ気ない気がします。
東洋からきた、ちょっと見掛けの良い留学生に、ちょっかいを出してくれたら嬉しいです。
そんな出会いを書けたらいいなぁ・・・
三話の中に凝縮された内容が、まるで少量の薔薇香油からもっと濃厚なエッセンスを取り出すような気持ちで拝見しました。濃密で洒落ていて香る世界でした・・・ってここに書くな~!・・・です。(´・ω・`)
正直言うと、ちょっと感想を躊躇するくらい完成された世界でした。
此花も「きゅうううぅん・・・」にやられました。ぱたり・・・

コメントありがとうございました。嬉しかったです♪(*⌒▽⌒*)♪

2011/01/12 (Wed) 17:14 | REPLY |   

アド  

乙女の語らいがぁ~~~。

倫敦Oo。。( ̄¬ ̄*)ぽあぁん素敵~~。
公家華族の奏さんは、此花さんのお気に入りなのねぇ~って思っていたらコメント欄で乙女の語らいが!!

「君、東洋から来たの? 一緒に紅茶を飲まない?」(ヨシュア)
「あ、ありがとう」(奏さん)
「こらー、ほいほいついて行くんじゃない」(颯さん)
「(ムカ~~~ッ、ピキッ)」←ヨシュア心の音
あああ、颯さんが心配してヨシュア君が癇癪を起こしそうです~~逃げろ―Σ(゚Д゚ノ)ノ おおぉぉぉぉ~

2011/01/12 (Wed) 16:55 | REPLY |   

此花咲耶  

びびさま

ぼびさま

> 新しい物語始まりましたねo(^▽^)o
>
始まりました。どうぞよろしくお願いします。

> はつこい、読んでますよ!
> 明治から昭和の大戦までの華族社会のお話は、恋愛にも制約が多くて、切ない系が好物な私の萌えがいっぱいです(*^_^*)

きゃあっ!びびちんっ!・・・嬉しいです~゚・。(。/□\。)。これで何人か読んで下さった中のお一人が判明しました。
過去作品は、今もたいしたこと無いですけど、もっとたいしたことなくて口惜しいです。
びびさんに萌えていただけるように、がんばります。
>
> 倫敦ですか?不正確ならスミマセン、ですが、大体の時代はアド様宅のヨシュア君達と同じころかな?
> うーん、ちょっと早いのかな?
> ニアミスしてたらまた別の隠れ萌えがありますが(*^_^*)

倫敦です~。個人のおうちではなく学生寮へ入りました。
どこかで会っていたら、素敵ですね~。きっと身分の差を乗り越えたアド様宅のヨシュア君ですから、東洋の島国から出かけたうちの奏にも声をかけてくださったかもしれません。
(〃∇〃) お茶に誘われたら・・・ど、どうしたらいい?←聞くな~
>
> 奏のお相手は誰になるのでしょうか?
> 颯は、アレだったし?新キャラ?やっぱり颯?
>
やっぱりお相手要りますよね~|ω・`) そうっ・・・
こりゃ、追記が必要になりそうだ・・・パニックっ!

> 色々楽しみです。頑張って下さいね(#^.^#)

はい。がんばります(*⌒▽⌒*) ♪
コメントありがとうございました。嬉しかったです♪

2011/01/12 (Wed) 12:58 | REPLY |   

びび  

また通いますよ(#^.^#)

新しい物語始まりましたねo(^▽^)o

はつこい、読んでますよ!
明治から昭和の大戦までの華族社会のお話は、恋愛にも制約が多くて、切ない系が好物な私の萌えがいっぱいです(*^_^*)

倫敦ですか?不正確ならスミマセン、ですが、大体の時代はアド様宅のヨシュア君達と同じころかな?
うーん、ちょっと早いのかな?
ニアミスしてたらまた別の隠れ萌えがありますが(*^_^*)

奏のお相手は誰になるのでしょうか?
颯は、アレだったし?新キャラ?やっぱり颯?

色々楽しみです。頑張って下さいね(#^.^#)

2011/01/12 (Wed) 10:03 | EDIT | REPLY |   

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