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紅蓮の虹・65 

「虹さまに、四郎法度のお話を致しました。」


コウゲイは何も言わなかったらしい。


「余り、よく覚えていない風でいらっしゃいました。」


後でコウゲイは、その時爺さんの話を聞いて、半分諦めかけていたといっていた。


普通の人間として、前世の記憶に振り回されることなく生きるのも一つの方法だと。


そうして平和に笑って過ごせるなら、それも四郎の望みじゃなかったかと。


薄々、気がついていた。


俺には、四郎の記憶以外に欠けているものがある。



ちょっと違う話になるけど。


俺のあだ名の「紅蓮」というのは、地獄の燃えさかる業火のことをいうらしい。


何故だか知らないけど、島原へ飛んだとき、夕焼けでもないのに、龍になった時のコウゲイの背中みたいに雲が真っ赤だった。


「最後の審判」の日は近いと、やたら籠城した人たちが騒いでいた。


コウゲイと龍になったとき、赤龍になった俺は昔「紅蓮の虹」といわれてたことを思い出した。


紅い龍っていうのが、自分でも「らしい」と思った。


中学の終わりのころ。


同じ境遇のやつらと行き場のないやつら。


お定まりの夜遊びなどしていた。


・・と、いっても溜まっているだけで、大した悪さはしたことはない。


ほら、俺って、根は真面目だからさ。


何に向かって、腹立ちをぶつけて良いのか分からなかっただけだと思う。


何もかも腹立ちの原因になった。


まあ、若気の至りってことにしとく・・・?


親がいない。


勉強ができない。


金もない。


先公は俺がクラスにいてもいないかのように振舞っていた。


何かあれば俺のせいになり、何があっても誰かが俺のせいじゃないかと疑った。


つるんでた仲間の中に、いずれ家業の寺を継ぐという奴がいた。


そいつは、中学を出たら本山(?)っての?修行に行くことになっていた。


僧侶だった父が早くに亡くなり、そいつは遊ぶのは中学でお終いだという。



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