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新しいパパができました・27 

その夜遅く、俺たちは家に帰ってきた。
青い月明かりの中、薄い影を踏みながら家の前で小さく詩鶴が「ただいま」と呟いた。
ドアノブを引く手が、ほんの少し躊躇っている。
母ちゃんは人形の公募展で、なにやら賞を貰ったとかでどこかで祝杯をあげている途中ですごいテンションで電話をしてきた。

「今日からここが、詩鶴の家だな。」

そう言うと、嬉しそうな悲しそうな曖昧な表情を浮かべた。
それはそうだろう。これまであったものを全て棄てて此処に来たようなものだから。
そして扉をあけた時、俺たちは差し込む月光に佇む平家物語の中の主従を見た。
光に浮き上がる、滑らかな薔薇色の肌を持つ、陶磁器の人形。

「わぁ!」

そこにあったのは、母ちゃんがこの間から寝ずに必死で仕上げていた人形だった。
違う公募展の一次審査に通った作品で、書類と共に写真を送ったのだ。
詩鶴の顔をそっくり写した花の少年武者は、薄い絽のかつぎを被ってそこに立っていた。
伏せた目元に長い睫毛がけぶり、ほんの少し開いた桜色の唇が吐息を零すように艶かしい。
僧形の武蔵坊弁慶は、白い兜巾(ときん)をつけたよく知る山伏姿の・・・俺だ。

「これ・・・柾くんと、ぼくだね。」

「ああ・・・詩鶴にそっくりだ。何か母ちゃんの人形に興味なんて殆どなかったけど、こうしてみると綺麗だなぁ・・・なんか、すごく大切にしてやりたいって気がする。」

「うん。愛おしいね。」

上気した頬を俺に向け、上ずった声を嬉しそうに聞く詩鶴は、また涙ぐんでいた。

「弁慶って、最後まで義経を守って死んだんだよね。死んでも守ろうとしたんだよね。」

「ああ。出会ったときから弁慶は義経を守ってやりたかったんだよ。俺もそうだ、いつも詩鶴が泣く度、絶対守ってやろうと思ってた。」

「俺、詩鶴が好きだ。この弁慶みたいに、ずっと傍で守ってやる。」

寄り添う人形に押されるように、俺は思い切って本心を明かした。
月明かりだけの青い空気は、どこか人形に台詞を語らせているようで、恥ずかしげもなく俺は詩鶴を抱き寄せた。
京都での出来事が、俺を大胆にしたのかもしれない。

「柾くん・・・」

詩鶴の薄い肩を抱く。
きっと、何度もこうしたかったのだと俺は自分の気持ちに今更のように気がついて、呆然とする。
天音の胸に、詩鶴が顔を埋めたとき、俺の内心は訳のわからない苛立ちの暴風に苛まれていた。
今ならわかる、あれは、きっと嫉妬だった。
引き寄せた詩鶴は腕の中で、じっと俺を見上げ唇を震わせた。

「ぼくも、柾くんのこと好きだよ。」

「詩鶴。」

有頂天になった俺は、小さな顔を両手で包み込んで、触れたかった二枚の花弁に代わる代わるそっと口付けを落とす。
男同士なんて概念は消えていて、ごく自然に俺は詩鶴の柔らかい唇の感触に溺れた。
ふっと詩鶴から漏れた吐息が、俺の意識をあっさりと人から獣に変えてしまう。
天音とのキスが、ファーストだった経験無しの俺のキスはきっともの凄く乱暴だったに違いない。

どうしよう・・・方法が解らない。
友人の朱里に借りた「悩殺ドールの危険な誘惑」のキス場面が脳内でリフレインする・・・ああ、どこまでも柔らかい詩鶴の唇。

がんばれ、俺。

**********************************

むしろ、がんばれ此花。

と、此処に来てくださっている大方の人が、思っていると思います。
きゃああっ。(//▽//) ・・・なんとっ、エチ場面を翌日またぎの持ち越しですっ!
お茶碗洗っている間も、脳内で詩鶴くんをあんあん言わせてがんばりました。
でも、柾は初めてのエチです。
上手く行くでしょうか。
「作者と二人で、手を取り合って頑張りますっ!(`・ω・´)」 ←柾。激しく、不安~・・・

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2 Comments

此花咲耶  

赤ペン先生!

赤ペン先・・・Rinkさま

> とうとう、自然にキスしてしまった。

出足は良い感じです。机上の知識で何とかなると思っています。

> しかし続きがわからない!!!
> 大変だ・・・

大変です~、むしろ作者に理解不能です。(´・ω・`)ハードル高いです~
BL養成ギブス何とか、手に入れたいです。

> 大丈夫・・・きっとパパが教えて・・・ううう
> お口にチャック・・・・

こらこら~!、またも企業秘密をサラリと書いてます。
きっと予想通りなので、脳みそ絞ります。
此処に来て、やっとBLらしく・・・・なるのか~

コメントありがとうございました。嬉しかったです。
こけないように、逃亡しないように頑張ります。
此花、逃げそうです・・・(´・ω・`)まじで。

2010/12/14 (Tue) 01:38 | REPLY |   

Rink  

助けて赤ペン先生!

あははは!
とうとう、自然にキスしてしまった。
しかし続きがわからない!!!
大変だ・・・
大丈夫・・・きっとパパが教えて・・・ううう
お口にチャック・・・・

2010/12/14 (Tue) 01:20 | REPLY |   

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