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紅蓮の虹・64 

「四郎さま。」


「わたくしは、できるものならお側で共に果てとうございました・・・」


爺さんは、俺に向かってではなく、いつしか内側の四郎に言っていた。


いつか、爺さんに四郎の言葉が伝わる日がくるといいね。


きっと、ありがとうって、いうと思う。


そんなにまで、ずっと思ってくれて。


・・・俺が、四郎なら。


命永らえて、爺さんは戦争中は裏切り者として、原城の牢に入れられ、その後は救い出されて激しい取調べを受けたらしかった。


その時の右衛門作の口述書などは、今も残っているらしい。


これは、本に載っていた四郎についての山田右衛門作の言葉。


「四郎は、才知にかけて並ぶものなし、儒学や諸術を身に付けたデウスの生まれ変わりである」


・・・確かに、裏切り者だったらこんな風に敵の大将のことを言わない気がする。


デウスってのは、ギリシャ神話の女好きのゼウスじゃなくて、全知全能の神様の事だ。


これはたぶんコウゲイの知識だけど。


「がんばったんじゃん、爺さん。」


「・・・四郎さま・・・」


だ~か~ら。


そこ、違うから。

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