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紅蓮の虹・61 

「こちら、もしよろしければお持ちになってください。」


「虹さまは、余りお召し上がりになってくれなくて、作っても張り合いがないんですよ。」


爺さん、勧め方上手いね~。


「ありがとうございます。」


親子は、笑顔で帰って行った。


そうだ、忘れないように明日ボールもって行ってやんないと。


「虹さまも、お召し上がりになりますか?」


「何?」


「プリンです。わたくしに、俺の分はとお尋ねになりました。」


言っておくけど、それ心の中で思っただけだからっ!


何か、考えてることもやっていることも、この家の住人には筒抜けみたいだ。


爺さんは一瞬、しまったというような顔をした。


もう、いいよ・・・


「どうぞ。虹さま。」


爺さん、プリン持参。


「いただきます。」


(めっちゃ旨いよ、これ。)


俺は、声に出さずに爺さんのほうに向かってちょっと笑いかけた。


聞こえてるんだろ?


「虹さま。後で、お見せしたいものがございます。」


お時間いただけませんかと、爺さんは言った。


どんなに嫌でも、向き合わなくてはならない。


俺がここにいる限り・・・じゃなくて、俺が生きてる限り・・・?


いつまでも、背を向けているわけにはいかなかった。


「脳が疲れているときは、やっぱり甘いものだね。」


江戸時代に、プリンなんて食ったの将軍様くらいだろうな・・・深い意味はないけど。


たまご一個で、涙を流しながら頭を下げ続けた、五平という子の母親のビジョンが浮かんだ。


そういえば、あの子も同じ位の年齢だった・・・


「爺も、プリンを食べる虹さまのお姿は好きでございますよ。」


何でだろ、じわっと涙がでそうになった・・・

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