FC2ブログ

新しいパパができました・8 

見た目はともかくとして、中身は正真正銘「男」の澤田と俺のその場での会話は、客観的に見るときっと爆笑物に違いない。
想像だけど、新婚家庭の会話ってこんな風なのじゃないかと思う。

「亜由美さんに柾くんは動物の中じゃ、ぺんぎんが好きだって聞いたから・・・。おかずはハンバーグが好きって聞いて・・・だからぼく、教えてもらって・・・。」

「そっか、がんばったのに悪かったな。でも、俺がぺんぎんが好きだったのって、たぶん幼稚園のときとかだぜ。」

「今は?」

くすんと鼻を鳴らして、澤田が身を乗り出し俺の顔を覗き込んだ。
やべ・・・覗き込むなって。
犬か猫が好きだといったら、きっと明日は又弁当箱に恐ろしい形のものが入るに違いない。
頭の中で、簡単な造形を探したが、パンダしか思いつかなかった。
目玉焼きの白身に、黒豆が転がっているのを想像して無理~と思った。

「えっと。動物は置いておいて。とりあえず、どっちかと言うとハンバーグは丸いほうが好きです。」

「分かりました。じゃあ丸くするね。」

「明日も、ハンバーグ?」

「いや・・・? 」

ほら、涙が盛り上がって来そうになってるから、いやなんて口が裂けても言えない。
そのエプロン、似合ってるよ・・・違っ。

「い・・・やじゃない。好きだから。むしろ、嬉しい!・・・というか・・・」

ぱっと花が咲いたように明るい顔になって、澤田が手の甲でこぼれかけた涙を払うと、嬉々として白い皿を並べはじめた。

「よかった~。晩御飯は、丸いハンバーグだよ。」

もう、怒る気もしねぇ・・・

****************************************

お茶を飲んだら、かつおだしのパックと間違えたらしく、魚の薄い味がした。

「うっ。」←母ちゃん

「あっ。」←澤田

「げっ。」←俺

澤田はその後、大慌てでお茶の葉を捜し、急須に入れてしばらく待ったら、今度は急須から茶葉がぶわっとあふれ出した。

「きゃあ。お茶の葉が、へん~。」

「おまえ、一体、急須に何入れたんだよ。」

慌てふためく澤田は、大騒ぎしていたが澤田がお茶の葉だと思っていた袋には「ふえるわかめちゃん」と書いてあった。

「だって・・・緑だったもん・・・」

・・・もんって言うなよ、17にもなって・・・。
結局、晩御飯は、丸いハンバーグとわかめサラダを美味しくいただきました・・・。
母ちゃんが痛みが治まったとかで、焼き方なんぞを丁寧に教えていたから、ちゃんと中まで火が通ってハンバーグは旨かった。
ちゃんと大根おろしの添えてある、和風ハンバーグだった。

その後、澤田は洗濯物を取り込んで、きっちり畳んでいた。
なんだかんだと言いながら、結構家事が出来るのに驚く。
俺なんて、アイロンなんて掛けたこともないし、飯もカップラーメンにお湯を入れるくらいしかしたことない。
母ちゃんが怪我をして、ひとりだとマジ困るところへ澤田が来て、正直助かっていた。
料理は今ひとつだったけど、他の家事は澤田はほとんど器用にこなした。
夜遅くまで、弁当の下ごしらえをし、朝早くおきてごみ出しをした。

母ちゃんは、不便ながらも澤田の手を借りて、仕事を再開した。
澤田はひとりで着物を着て、遮那王のモデルもする。
今時の高校生で、着物をひとりで着れるやつなんて、俺の周囲には独りもいない。

気が付けば、俺のダメージジーンズの孔を、器用に縫ってふさいでくれていたけど、もう触れないことにした。
きっと、知らないで一生懸命そうしたことくらい分かるから。

それにしても、今時、こんなのを知らないなんて、どういった生活をしてきたんだろう?


********************************************

未だに謎の多い詩鶴くんです。

いつもお読みいただきありがとうございます。
拍手もポチも、励みになっています。
明日も、こけないようにがんばります。   此花
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

関連記事

4 Comments

此花咲耶  

NoTitle

chobonさま

片付けるのがいやで、先延ばしにしてきたテレビが、とうとう来月頭に入ることになりました。
なので、死にそうになって片づけしています。・゚゚(≧д≦)・゚゚・。
しかも、触られたくない場所ができたので(本棚)やっぱり掃除は自分から任せろと・・・墓穴。

おお~詩鶴君の夢をごらんに・・・・゜゜・(/▽\*)・゜゜・ああ、惜しいどんな顔だったんだろう。チカちゃんのりんごを拾った学生服のかわゆい子に似てたらうれしいなぁ。
本人は必死で空回っています。世間に疎い設定です。
必死のだめっこってかわいいですね。
コメントありがとうございました。作品楽しみにしています♪

2010/11/25 (Thu) 16:03 | REPLY |   

chobon  

NoTitle

此花さん!私も片付けがこの世で一番嫌いです!!
でも誰かに片付けられるのはもっと嫌いです!!!!

詩鶴くん……謎めいているのになぜか笑いを取るキャラ……。

実は一昨日学校の校庭を弁当振りかざして裸エプロンで走ってくる詩鶴くんの夢を見ました………。
顔はよく見えなかったけど……。

2010/11/25 (Thu) 15:04 | REPLY |   

此花咲耶  

Re: NoTitle

鍵付きコメントさま

詩鶴くん、一生懸命です。
実は、本人はパパだと言っていますが、詩鶴くんには・・・秘密があります。
これから少しずつでてきます。

家にも、家事のできる子来て欲しいです。
此花は、死ぬほど掃除が苦手なんです。片付けの上手な人が、羨ましいです。
コメントありがとうございました。うれしかったです。

2010/11/25 (Thu) 00:54 | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2010/11/24 (Wed) 22:59 | REPLY |   

Leave a comment