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新しいパパができました・6 

脳内の澤田が俺に叱られて涙目でくすんと鼻を鳴らしたとき、誰かが素っ頓狂に叫ぶ声が聞こえた。

「すっげぇ!校庭突っ切って走ってくるあれ、裸エプロンじゃね?」

「おお~~~~、あれぞ、まさしく憧れの裸エプロン。本物が拝めるとは。」

「俺、写メ撮って置こうっと!」

裸エプロンと言う単語に嫌な予感がした俺は、窓に鈴なりになったクラスメイトをかき分けて窓枠を掴み思わず小さく叫んだ。

「げっ。あの、馬鹿っ・・・!」

対処方法が浮かぶわけもなく、内心激しく焦っていたが俺の動揺などお構い無しに、教室の扉が開いた。

「あ。柾く~~ん、居た~。ほら~、お弁当作って来たよ~~。」

脳天気なハイトーンヴォイス。
心臓に悪い、野郎の裸エプロンに、なんて言い訳をしようとしてチラ見したら、ちゃんとショートぱんつとタンクトップを着ているのに気がついて胸をなでおろした。
さすがに少しは常識が有ったらしい。

「ほら、忘れ物。お弁当ないと、困るでしょ?」

にこにこと差し出す手を、振り払うわけにも行かずしぶしぶ受け取った俺と澤田を友人達が取り囲む。

「可愛いね~、柾の親戚か何か?」

「新婚の幼妻みたいだね。小さくて可愛い。」

「柾の母ちゃんが作る、人形みてぇ・・・モデルさん?」

「顔小さいねぇ・・・ねぇ、名前、教えてくれる?」

「あっ・・・あの。あの・・・」

これだから女に飢えた男子校のやつらは・・・あ~あ、澤田、あれこれ質問されて真っ赤になってる。
見かねて人だかりの中から、細っこいのを引っ張り出した。

「弁当届けたんなら、もう用事無いだろ?授業が始まるから、さっさと帰れよ。」

周囲の空気が少し冷えたのは判ったが、俺は容赦なく素気無く告げた。
すごく傷ついた顔をしてじっと俺を見つめた澤田が、今にも夕べのように泣くんじゃないかと思った。

「あ・・・うん。そうだね・・・ごめんなさい。時間とらせちゃって。」

周囲は冷たいぞ~とか、優しくしろよ~と、散々俺に言ってきたが、無視した。
そのうち、しょんぼりと帰りかけた澤田の肩を抱いて誰かが聞いた。

「ねえ。柾との関係は何?親戚?恋人?」

ぱっと明るい声で、見あげた澤田が言いかけた。

「あ、ぼくは柾くんの、パ・・・」

パート!

「パートで働きに来てるんだよ。母ちゃんの仕事が忙しくなったから。な!?」

「・・・はい。」

それ以上言うなときつい視線でぐっさりと釘を刺し、俺は自分の席に戻った。
背中越しに肩が震えているのが分かる。

「あ~あ・・・泣かせちゃった。可哀想に、大声で怒鳴って、ひどい雇い主だなあ。」

「きつい言い方するなよ、可哀想に。」

完全無視を決め込んで、俺はそっぽを向いた。

「さっさと帰れよ。」

俺の領域に、ずかずかと入って来るんじゃねぇ。


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謎の多い詩鶴くんです。

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