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ずっと君を待っていた・32 

「ひぃくん」

姉ちゃんだけが、俺をそう呼ぶ。
寂しげなその顔は、大好きなオロチと添えないから・・・?
そう聞いたら、おぼろげな姿で、姉ちゃんはふるふると首を微かに振った。

『私は、記憶を持っているだけよ。クシナダヒメじゃないわ。本当のクシナダヒメは今、ひぃくんの中に居て眠っているのよ。』

「そうなの?さっきのもやみたいな人、ぼくの中に居るの?」

「色々、不思議なことが起きて、ぼくパニックになってる。」

クシナダヒメは現世の直系のぼくの中で眠り、世代を経て、いつか再びオロチが転生するときに共に目を覚ますのだという。
それは、ぼくの子供になるのか孫になるのかも分からない、遠い未来の話になる。
感覚で言うと、潜在意識みたいなものだろうか?
不思議なことに、男女の違いが有るのにぼく達二人は、こうしてみるととてもよく似ていた。

『私もいつまでも、ひぃくんの側に居てはいけないと思うの・・・』

ぼくは、何となく理解した。
きっと、姉ちゃんは現世で身体と離れても、残ったぼくのことが心配で、側にいてくれたんだ。

「姉ちゃん。ぼく、もう守ってくれなくても大丈夫だよ。」

「長いもの」が怖くて、がたがた震えることはもうないと思うし。

たぶん・・・ね。

「クシナダ。」

「あ。青ちゃん。」

風呂場に入ってきたのは、青ちゃん・・・じゃなくてスサノオ・・・?
俺のこと、クシちゃんって呼ばなかったよね。
何か、狭い風呂場が大人数になったようでややこしい。
まあ、厳密には傍目には、二人しかいないんだけど。

『そなたが泣いたから、オロチは大切な鏡を割ったのだな。』

古代の物語の決着に、スサノオも驚いていたらしい。
これまでいつも、転生は上手くいかなかったとスサノオは言った。
お互いがお互いを好きになって、やっと結ばれるときになって、オロチのほうが戦争に行ってしまったり、クシナダが早死にしたりしたのだと言う。
今回は歌を歌うところまで行ったから、もしかすると本当に龍神の苦しみは解き放たれたのだろうかと、俺の中のクシナダヒメに聞きたかったらしい。

だから、代わりに答えておいた。

「きっと、オロチは納得する答えを見つけたんだよ。」

過去は過去、今は今だと気が付いたんだよ。
転生してもしなくても、生まれた命が寿命を全うして生きるなら、それはもう新しい命だときっと気が付いたんだ。
まあ、さすがに青ちゃん・・・スサノオのやったことは、実際酷かったよね。
過去のオロチが、かわいそうでならなかったもの。

凶暴な子どものように、人のものを欲しがったスサノオ。
暴力で全てをねじ伏せて、力ずくで思い通りにしてしまった。



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一応、加筆修正の嵐が終わりました。
時間がたつと、そんなに古い作品でもないのに読み返すたびに拙くて、悲しくなってきます。
そこに気が付くだけでも、すごい進歩のような気がします。・゜゜・(/▽\*)・゜゜・←基本、自分が好き。
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