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新しいパパができました・2 

「何だ柾(まさき)、今日は学食なのか?」

「ああ、何だか母ちゃん、最近忙しいらしくてさ、今朝は撃沈したみたい。」

こいつは親友の松原朱里。
全国でも片手に入るという、サッカーの有望選手だ。
ジュニアユースで、ほとんどゼミプロのように試合に明け暮れている。

「食う?彼女が作ってくれるのは嬉しいんだけどさ、母親にも断れないんで、弁当が余ってんだ。」

朱里の彼女はかなり料理に自信があるらしく、豪華な重箱弁当だった。
色とりどりの野菜巻き、筑前煮、から揚げと日々せわしい母ちゃんの、やっつけ弁当をおいしく戴いている俺には垂涎物だった。

「おまえ、幸せもんだな~。いいよな~、料理できる彼女。」

もし、母ちゃんが新しい父ちゃんを貰って(ん?)生活に追われなくなったら、時間が出来てまともな弁当を作るようになるのだろうか。
・・・いや、変わらんな。
正直、弁当は冷凍食品がこれでもかと入り、ウインナーを転がしてしょうゆをたらしたのと、卵焼きが日替わりで入るくらいだった。
いえいえ、食べれるだけでもありがたいです、そう思ってます。

「おまえ、今日も、バイトなの?」

「いや、今日は、母ちゃんが紹介したいやつがいるから、早く帰って来いってさ。」

「マジ?おばさん、再婚するのか~?、美人だもんなぁ、世間がほっとかないか。」

いやいや、朱里くん。
これまで、ほっとかれたから今頃なんでしょうが。
君の目は節穴かね。毎日ジャージで、ビスクの頭(かしら)焼いてるおばちゃんよ?
俺の前では、容赦なくおっさんみたいに遠慮もしないで屁もこきますよ。
・・・と、否定しようかと思ったが、朱里は昔から年上の女が好きで(今の彼女も年上らしい)母ちゃんのファンだった。
思い出した。
こいつは小学生のとき、遊びに来て母親の人形を見てこういったんだった。

「柾のお母さん。やっぱり、綺麗な人が作ると、お人形も綺麗な顔になるんだね。」

「きゃあ。朱里くんの正直者~。」

しかも同級生のお母さんに、「おばちゃん」とは言わなかった。
母ちゃんは喜んで、それから駅前のケーキ屋に走ってゆき、朱里のために晩飯まで用意したのだ。

「たらしの朱里くん。ごちになります。」

その時、いきなり教室の戸が開き先生が、息せき切って俺の名を呼んだ。

「津田!今すぐ県立総合病院へ行きなさい。お母さんが運ばれたそうだ。」

「え・・・?」

がたと椅子が倒れ、その音に自分が驚いた。
今朝の弁当のない理由がそこだったかと、一瞬のうちに音が聞こえそうなほど激しく血が下がる。

・・・そういえば、親父が倒れた7年前も、こんな風だった。

朱里と給食を食べた後、笑い合っているところに先生が駆け込んで来たのだ。

「急ぎなさい、津田くん。」

はっと我に返って、教室を飛び出した。

「大丈夫か、柾。」

「あ、うん。悪い、後でメールするわ、鞄とか預かっといて。」

顔色をなくして必死の思いでかけつけた病院で、俺は笑顔満面の母親と今日会うはずだった男と対面する。
新しい出会いで、日常が激しく揺らぎ始めた。


新しいパパ・3に続きます。

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