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遠山の銀(しろがね)と銅(あかがね) 

BL観潮楼秋企画【遠山の銀(しろがね)と銅(あかがね)】


深い深い、紅葉の山に一匹のお使い狐が住んでいた。
名を「銀(しろがね)」という。

銀(しろがね)は、北のお稲荷様の使いで、少しは術が使えた。
気を蓄え、神の使いとして働き手柄を立てるたびに、妖力は増え神さまにいただくしっぽの数も増える。
今は隠してあるが、自慢のしっぽの数も3本有った。
いつかは九尾の妖狐になりたかった。

しかし、今やお稲荷様に詣でるものも少なくなり、暇なときは自由にしておいでと神さまに言われた。
自由にしても良いといわれても、銀には何をして良いのかも分からなかった。

ある日。

一人ぼっちの銀ぎつねは、紅葉の舞い散る奥山で、親とはぐれたちっぽけな山猫の子どもを拾った。
山の中で紅葉の葉っぱを一枚頭に乗せて、ちちんぷいぷいと術をかけてみた。

小さな山猫がくっと人型になる。

逃げ回っているのをやっと掴まえて、組み敷いた。
・・・組敷かれた。

けもみみ


「こんの、化け猫っ!離しやがれっ!ほら、術解くぞ。」
「あそんで。あそんで。」
「しっぽ、絡ませるなーーーーっ!」

予定と違って、大きくなりすぎた山猫の術を何とか解いた。

「にゃあん・・・」

膝ににじりよって来る、小さな生き物の体温に触れた。

「俺の好きな魚だ、おまえも食うか?ん・・・?」
「にゃん。」
「俺の名は、しろがねと言うんだ。おまえは、そうだなぁ、赤銅(あかがね)だな。」
「にゃ。」

一枚の葉っぱを持って来て、ねだるように喉を鳴らした。
一度、人型にしてやったのがずいぶんと気に入ったらしい。
ごろごろと喉を鳴らし、銀の指を甘噛みした。

ちちんぷいぷい。

「おまえ、親はどうした?」
「おや?」
「おまえに餌をくれる、親だよ。・・・小さすぎて、わかんないか。」
「えさ。しろがね。」
「そうだ、賢いな。おまえの名は、赤銅(あかがね)だぞ、覚えたか。」

魚を咥えた、ひとがたの子猫は狐の懐に入った。

「しろがね。しろがね。」
「おさかな。あそんで、あそんで。あかがね、あそんで。」

お稲荷様の神使は、初めて自分を頼る小さな生き物に夢中になった。
冬の山の心細い寒さにも、これから降る冷たい白いものにも、二匹肌を寄せ合っていれば春を待てると思った。
ずっと願を掛けていた。

『一人ぼっちじゃなくなりますように』

「葉っぱ。」

じゃれて転がる、二匹の傍にはらはらと秋の名残りの紅葉が散った。

「綺麗だな。あかがね。」
「きれい。しろがね。ふさふさしっぽ。」

慌てて上を向いたが、目尻から温かいものが溢れた。
胸元に這い上がった小さな濃い茶の山猫が、にゃあと鳴いた。

ずっと一人だった、銀(しろがね)。

このまま、ずっと一緒に居たいと願った。





これで終った方が、まとまっているかな~・・・と、思ったり。
どうしようかなと、思案中です。
可愛い素敵絵に合わせて、続きはちょっぴり童話風です。   此花
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観潮楼さま秋企画
こちらで使用させていただいている美麗挿絵(イラスト)は、BL観潮楼さま・秋企画参加のみのフリー絵です、それ以外の持ち出しは厳禁となっております。著作権は各絵師様に所属します。
暮らしの谷間に』ままたみさまの素敵絵です。ありがとうございました。
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6 Comments

此花咲耶  

NoTitle

ままたみさま

きゃあ。銅と銀の母上さま。イメージ崩していなかったですか?
良かったです。エチ場面がどこにもなくて、すみません。
お話広げて、3話にしました。素敵絵でお話が広がります。

本当はちっぽけな生まれたての山猫の赤ちゃんなのに、術を掛け間違って自分と同じ大きさにしてしまったのが始まりです。
ままたみさんのところで、可愛いチビ猫の絵を見つけて、」こんな感じかな~と思いながら書きました。しっぽの絡まる所、可愛くてうれしいです。
コメントありがとうございました。うれしかったです。

2010/09/27 (Mon) 23:53 | REPLY |   

ままたみ  

NoTitle

わー!ステキなお話をありがとうございます!!
まるで何も考えていなかったのでとってもうれしいですー。
しっぽもちゃんと絡まって。。。
銅と銀、ステキな名前も貰っちゃってうれしい限り
です!!

2010/09/27 (Mon) 23:44 | EDIT | REPLY |   

此花咲耶  

NoTitle

るかさま

きゃあ。どこまでも清冽な湧水のような美貌の白哉さまの、母上さま(長い)。アドさまと同じく、綺麗なお心に決まってます。
BLはファンタジーですから。
いつもお世話になっています。
勝俣さんと、一緒に行けないのは何故だろうと色々考えてしまいました。あまりに目を引く美貌だから、世間の目に晒されてしまう。
他にも必ず、自分を手に入れたいと思う人間が出てくるのを体験から想像できてしまう。
伊吹さんとの大切な場所だから、離れるわけには行かない・・・コメントに書かずにすみません。乗り遅れましたので、つい、色々あれこれ想像して、展開を妄想してしまいました。

チャットで、楽しい時間を過ごさせていただきました。皆さま、さすがに物知りで打てば響く会話が心地よいです。
此花もいつか、るかさまとお話したいです。
お名前はそこにあるのに、姿が見えず・・・何故?
ぜひ、今度お話してください。どうぞ、よろしくお願いします。
コメントありがとうございました。嬉しかったです。

2010/09/27 (Mon) 22:48 | REPLY |   

るか  

にゃは~

かわいい~~~。しっぽちゃんと絡めてるっ。
そして、最後にほろり・・・。
大人の童話だわっ。
私もアドさんと右に同じ・・・け、穢れてる・・・あは。
チャットでまたすれ違い~~~涙
うう・・此花さんとお話したいよう。

2010/09/27 (Mon) 19:42 | REPLY |   

此花咲耶  

NoTitle

アドさま

(◎▽◎;) ・・・きゃあ。目から汗っ!?
そんなこと、おっしゃっていただいたら此花も、嬉しさのあまり目から我慢じ・・・汗がでます。

続きあるんですけど、童話なのでエチの欠片もないんです。
し、しまったあ~・・・ちょっとはがんばってしっぽ以外も絡めればよかった~、綺麗な心のアドさま。でないとあんな愛のある登場人物は生まれません。今度のお話も素敵ですっ。
わくわく・・・(*^0^*)ノ☆

2010/09/27 (Mon) 11:28 | REPLY |   

アド  

きゃあああ(◎ω◎)

ままたみさんの「けもみみ」が素敵童話バージョンになってる。
あ・・・目から汗が・・うわぁああ感動してじんわり涙ぐんじゃう。

一人ぼっちだった銀に守るべき大切なものが出来た~。

ああ、エロい続きが読みたいなんて、どうして私の心は汚れているんでしょう(ノω・、) ウゥ・・・

2010/09/27 (Mon) 09:45 | EDIT | REPLY |   

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