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月影の鵺・2 

BL観潮楼秋企画【月影の鵺・2】

鵺(ぬえ):暗い森の中にすみ、夜、ヒーヒョーと笛を吹くような寂しい声で鳴く。
または、伝説上の妖力をもったばけもの。頭は猿、胴は狸、尾は蛇、手足は虎、正体ははっきりとはしない。


<前回までのあらすじ>

勘定吟味役の父親が、背後からの刀傷で憤死するという不名誉な出来事から、早6年の時が過ぎた。
武士にあるまじき死とそしりを受け、お家はあえなく断絶となり、幼い兄弟達は行方知れずになっていた。
今は、瀬良家縁の菩提寺に、髪を下ろした妻女が粗末な庵を開いて菩提を弔って居ると言う。

兄弟の所在を聞いても尼は口をつぐみ、父の死に際してまだ前髪の兄が、弟達の手を引いて城代家老にお家存続を涙ながらに言上した話も、ただの孝行ものの哀れな美談で終っていた。

当時、誰も彼等の力になるものは無く、行方不明の兄弟を思いやる家中の者も居なかった。
たまに見目良い兄弟が、生きていればどのように凛々しく美々しい若者になっていただろうかと、女共の口に上るくらいのことである。
悲しみのあまり故郷を出奔したとも、遠縁を頼り西国に行ったとも言われていた。

だが実は、残された遺書によって、父の死が仕組まれたものと知った彼等は密かに仇を討っていた。

*――-――*――-――*――-――*――-――*――-――*――-――*――-――*

samurai3-2二人、顔・pioさま  samurai3背景あり二人・pioさま

意地悪な兄の所業に、目もとを朱に染めて笹目は少し拗ねて背中を向けた。
達せない滾り(たぎり)は、灰の中の熾き火のように内側から身を焦がす。
華やかな衣類を着付け、ぐいと女子の着物のように奥襟を抜いてやりながら、逢う前よりも濃くなった色香に兄は満足していた。
仇を落とすには、これでいい・・・口を貪った後、首筋に紅く花弁の形の吸痕を付けた。

「夜通しかけて、お奉行様のご妻女を色の闇に落としておやり。いい声で啼くんだよ、笹目。」

「はい・・・は・・あ、兄上。必ず。」

一瞬ふらついて、薄情な兄に放てぬ高まりを押し付けて、瓏たけた美貌の弟は涙ぐんでいた。
爛れた色を振りまくように、紫のお高祖(こそ)頭巾で顔を包んで、笹目は江戸で今一番の人気の役者「吉沢笹目」になった。

「月華は、どうしている?」

「あれに。」

背景なし・稚児・pioさま

敬愛する上の兄に、決して幼い茎に色をつけてはいけないと言われ、幼いままの薄桃色の茎を護るため耳を押さえて兄達の睦むのを見ずにやりすごそうとしている、けなげな月華だった。

身体を丸くして俯いた、小さな影が障子に映る。

「月華はいつになったら笹目にいさまのように、弥一郎にいさまに可愛がってもらえるのですか。」

くすと笑って、美貌の役者がほんの少し亀頭の丸く膨らんだ幼い茎に、口を寄せた。
ずぶと全身を飲み込まれ、絡ませた熱い舌に悲鳴が漏れる。

「ひぃっ・・・いやぁ、笹目にいさま。やぁ・・・っ、気をやったら、弥一郎にいさまに叱られるぅ・・・」

「では、このままにして置くか?」

「あ、ん。ひどい・・・ひどい・・・笹目にいさまの意地悪。」

可愛らしいものをふるふると揺らして、月華が焦れた。
小さな尖りを握りこんでふうっと息をつき、懸命に落ち着かせる姿が、年の離れた兄二人にはひたすらに愛おしかった。

その姿は酷く稚かったが、迸る天性の邪な色香は隠しようもない。
尊い菩薩をいたぶるような稚児遊びを知るものならば、過去に討った仇のように、おそらく身代をなげうってでも手に入れたいと望むだろう。

それほど清らかで無垢、そして邪悪な月華の容姿と心根であった。

咲き誇る華とも思える美貌の役者は、何か思ったようで目配せし、兄も頷いた。
行く道で、話して聞かせれば良い。
月華は、聡明な子鬼の顔で提灯を取り上げた。

侍三人バストアップ




奉行の妻女の名は、「妙」という。
水茶屋などではなく、豪奢な船宿を借り切って対面することになっていた。

「お妙(たえ)さま。お初に御目もじいたします。」

ずいと、膝を進めて老女にたしなめられ、勘定奉行の妻女は少しばかり恥らった。

「女形ゆえ、そなたは女言葉を語るのか?まこと、姿絵から抜け出たような麗しの太夫よなぁ。」

「恐れ入ります。」

流麗な所作で、希代の花形役者「吉沢笹目」は顔を上げた。
稀有な美貌でありながら、女子のように柔和な柔らかい儚さではなく、硬質な五月の花、剣の葉先を持った菖蒲(あやめ)の姿を思い起こさせた。

samurai2-2弟顔・pioさま



「いかに美しくとも、やはり女子ではありませんね。舞台を降りたそなたには、まろみがない。」

まるきり女子にみえるような仕様はいくらでもあったが、敢えて今の笹目は、男の風情をまとった。
凛々しく涼やかな眦で、斜に妻女を見上げた。

「役者なれば、女子にも男子(おのこ)にもなりましょう。でも、笹目は麗しいお内儀さまの傍に寄っても良いのでしたら、男でいとうございます。」

綺羅と妻女の伏目が光り、ほっと吐息をついた。

「周囲に継妻(けいさい)などと呼ばれても妾(めかけ)は、妾。悲しいことです。」

「御内儀さま。」

「今は妙・・・と。」

「お妙さま。」

そっと懐にかき抱き、甘い口を吸った。
長い口吸いに、うっとりと胸に倒れこむ妻女に、笹目はこの上もない極上の微笑を寄せる。

「お可愛らしい、お妙さま。この河原者の胸に収まる華奢さに、お奉行様もお惹かれ遊ばしたのですね。」

「そなたの物言い。身をやつしているが、出自は武家か?」

それには返事をせず、部屋の外に「月華」と声をかけた。

「あい。笹目さま。」

「まあ、愛らしい・・・先ほどの迦陵頻伽(がりょうびんか)?」

その衣装は妻女も堪能した、笹目の前座の稚児舞の衣装であった。
月華は先には胡蝶の役だったが、今は極楽浄土で歌う顔は人、身体は鳥の美しい装束を身につけていた。

「あっ・・。」

ふいに、ほろほろと可愛らしい稚児が、じっと顔を見つめて声も上げずに頬を濡らした。

稚児顔・piosama







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観潮楼さま秋企画
こちらで使用させていただいている美麗挿絵(イラスト)は、BL観潮楼さま・秋企画参加のみのフリー絵です、それ以外の持ち出しは厳禁となっております。著作権は各絵師様に所属します。
pioさま鼻血ぷぷっの美麗イラストお借りいたしました。ありがとうございました。きゅんきゅんの和風綺麗お子さま達です~~!幸せ。
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6 Comments

此花咲耶  

NoTitle

けいったんさま

きゃああっ。緊縛依頼がきてしまいました。
ど・・・どう・・・どうしましょう、弥一郎にいさま。

「けいったんさまの望みと有らば、致し方ない。参る。」by-弥一郎
「きゃあ。(*^0^*)」by-けいったんさま

鬼畜ドSのはずなのに鬼畜ドMになってる~~~

「あにうえさま。このボンレスハムになってる、此花どう致します?」by-笹目
「野犬の餌にでも、くれてやれ。」by-弥一郎
「いやぁっ。あにうえ、犬がおなかを壊してはかわいそうです・・・えっ・・・えっ・・・」by-月華

パソ前で椅子から転げ落ちるほど爆笑させていただきました。
以後は、「シリアス殺しの鬼畜ドSけいったん師匠」とお呼び致します。付いていきます。

ps お声がきっとうんと若いんですね。羨ましいです。一人二役できますねっ!

2010/09/27 (Mon) 08:51 | REPLY |   

けいったん  

月華より ・・・

私としては 月華より 笹目の方が、でも 笹目より 弥一郎で あれば もっと いいのですが (//。//)...

「チッ コイツを 縛るのかぁ~」by弥一郎   「(*^0^*)」by私
「兄上 本人が どうしてもと たっての 希望なのですから」by笹目 「(*・v・*)_ _*)ウンウン」by私
「兄上さま、焼き豚を 作るの?」by月華 「(ii△ii)」by私
「...ッ...ii」by弥一郎&笹目 「(*ToT*)」by私

P.S. 最近は 電話に出ると <娘さん? お母さんに 代わって>と 言われます。 褒め殺し刑かと 思ってたんですが、何人にも 言われるので マジ!!みたいで 自分自身びっくり(@o@)。。。 良く言えば 少しハスキー(悪く言えば ガラガラ声)なので  それに 奥様っぽく話せないので それが 原因みたいです! いいのか 悪いのか...

2010/09/27 (Mon) 00:07 | REPLY |   

此花咲耶  

NoTitle

けいったんさま

一番かわいそうなのも、弥一郎兄のような気がします。
笹目と月華は、半分壊れかかった兄上が大好きです。(あ~説明不足だった~、書いてなかった~ごめんよ~(T▽T)

何も知らずに、子どもが悪に染まるとこういう事態になるんでしょうね。タリバンの少年傭兵がこんな感じじゃないかと思ったりします。
や~ん・・・もう~けいったんさま。ぐるぐる巻きにして緊縛裏キューピーちゃんにしちゃいますよっ!めっ!
『これ以上 先読みするのは 許すまじ』by-ラブボディ隼(別名・裏キューピー)
『さ、月華、このお姉さんを黙らせてお終い。』by-笹目あにうえ
『あい。』by-月華
逃げてっ!

2010/09/26 (Sun) 22:39 | REPLY |   

此花咲耶  

NoTitle

pioさま

きゃあ。…(//▽//)もう、母上さまに煽られて、時代物の嗜虐度アップして、どんどん激しくなってゆく~・・・(あくまでも、当社比)
テクのないのが今ひとつ悲しいですけど、「美」はなにしろ、pioさまの超絶美麗な挿絵が有りますから、頼りっぱなしです。きゅんきゅんですっ!
台詞全てに、挿絵を入れたくなって自分を叱咤阻止しながら先に進んでます「この、ばかちんがっ!!」
何か最近、此花師匠になってます・・・きゃあっ。ただのUK2隊員です。(しかも一番下っ端です。)
修行中ですが、立派に鬼畜道極めれるようがんばります。←何をどうやって~・・・・?いいのか、これで。

2010/09/26 (Sun) 22:30 | REPLY |   

けいったん  

笹目、お主も 悪よのぉ~

でも 一番の 悪は 弥一郎でしょうか。
笹目と 月華を 操ってますもんねー

どうして 月華は 涙を流したのかな? これは もしかして お妙さまを 嵌める 月華の 罠!?

まだ 稚児で ありながら 月華の恐ろしさーーー!! (@o@:)...可愛いだけに 罪ですよね~...byebye☆

2010/09/26 (Sun) 21:43 | REPLY |   

pio  

キター!

月華殿登場ー!わーいワクワクするう~♫
清らかで無垢、そして邪悪ー!ホレボレ…(///▽///)。
長男、物言いは優しいけどやる事はやっぱり鬼畜。
次男、今回は身体張って頑張ってるのですね?わおう!
ああ~、なんでしょうかこの爽快感。ここまで狡猾だと鬼畜も爽やかなのですね~♫なぜか心洗われた気がします……おおー!やっぱり「美」こそ救いなのねー!此花師匠。ありがとうございますー。

2010/09/26 (Sun) 21:33 | REPLY |   

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