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小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・73 

「ほーら!バスタオルを放していい加減プールに入れ、松原。」

「いっ、嫌です。」

海広は、身体を隠すバスタオルを取られまいとして、必死だったようだ。
体育教師も、プールサイドで抵抗する海広に意地になっていた。

「水泳で筋肉つけて逆三角形になったら、女子にもてるぞ。」

「もてなくていいです。」

海広は、最後にはプールサイドの金網にしがみついて抵抗したらしい。

「松原!体育の単位が取れないぞ。」

「留年します。」

金網から引き剥がそうとする体育教師との間に、不毛な会話が続いた。

「ふざけるな!」

「ふざけてませんっ。」

海広は必死だった。
肩から羽織ったバスタオルを取られまいとして、体育教師ともみ合った。
体格の差は歴然で、あっけなくタオルは教師の手に落ちた。

「やだあ・・・っ!」

教師の半分も体重のない海広は、あっという間に金網から引きはがされると、バスタオルを奪われた反動でプールに滑り落ちたらしかった。
海広は泳ぐのを全身で拒否し、水を飲み溺れた。

窓から様子を眺めていた、クラス委員の佐伯と言う女性徒が、機転を利かせて養護教諭の元へ走った。
しこたま水を飲んでやっと引き上げられた海広にバスタオルをかけてくれたのは、小学校のときから何かと世話を焼いてくれた四之宮と言う生徒だった。

「松原、大丈夫?」

「う・・・ん・・・けほっ・・・」

海広の通う中学は、近隣の小学校三校が一緒に通っている。
プールサイドで蒼白になって咳き込む哀れな海広の姿に、女子生徒から体育教師へとブーイングの嵐が起こったらしい。

「先生、酷い。何も知らないで。」

「松原君、可哀想・・・。」

同情して、涙ぐむ女子もいたらしい。

「松原を、他の男子と一緒にしちゃ駄目でしょ!」

「信じられないっ!」

何人かの女子が、盾になって咳き込む海広を守った。
多くのクラスメイトが見守る中、くだんの柔道部の四之宮君が、海広をバスタオルで包んで抱え上げると、大切に保健室へと運んだらしい。
彼は、中学でも保健委員に立候補したそうだが、海広のためじゃないかと思うのは、親の考えすぎだろうか。
どうやら、海広は今流行りの・・・と言うかよく分からないが、学校では乙女系男子と言われているそうだ。

段々むさくるしくなってゆく、同級生の中に独り白くて小さな海広が混ざっているのは彼女達の母性本能をくすぐったらしかった。
ゴリ男は女生徒にさんざん怒鳴られた挙句、好意を寄せていた養護教諭にも睨まれて気の毒だった・・・。

と、これは、海広に聞いた話なのだが。





酷い先生もいたものです。
いつもお読みいただきありがとうございます。  此花
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2 Comments

此花咲耶  

NoTitle

けいったんさま

う~きゃあっ、誰かけいったんさまに縄掛けてぐるぐる巻きにして、納屋にしまっといて!・・・と言いたい気持。

きっと、四之宮くんはぎりぎりまで待ってから助けようかなぁって思ってたはずです。
バスタオル取られてみぃくんが泣いちゃう所、見たかったのかなと想像すると楽しいかも。
・・・ネタバレしないもんっ!
危険なコメントありがとうございましたっ!どきどき・・・ですっ!

2010/09/20 (Mon) 20:34 | REPLY |   

けいったん  

ほんと、教師って...

自分の言う事は 正しい=正義だと 勘違いしてる教師って いますからね。 養護教師が みぃくんを 本当に 守ってくれるいい人で 良かった!!

四之宮くんは、また保健委員ですかー...なるほどねぇ~。
姫君を 大切に抱き上げて運ぶ姿は 騎士(ナイト)のようです(*><*)キャァー
...でも ゴリ教師に 詰め寄られるみぃくんを 如何して 早く助けてくれなかったのか?
(?~?)。。。本当に 四之宮くんに 期待して いいのかな...byebye☆

2010/09/20 (Mon) 20:05 | REPLY |   

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