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BL観潮楼H22秋企画【狂おしい秋・恋人達の一番長い夜・10】 

BL観潮楼秋企画【狂おしい秋・恋人達の一番長い夜・10】

隼の枕が、周二のとめどもない涙を吸った。

「隼・・・頼むから、俺を一人にするな、隼。何か言えよ、隼。」

「ずっと、一緒にいるんだろ・・・?」

「めのほよう、するんだろ・・・?」

理不尽に倒れた恋人は過去に囚われて、綺麗な顔を歪め苦しんでいた。

油断すれば、足元から精神を喰らい尽くそうとする黒い恐怖と闘っていた。。
話を聞いただけでも背筋に冷たいものが流れる、隼の過去だった。
周二は祈った。

「一度、勝ったんなら頼むから、もう一度勝ってくれ。もう一度、俺の元に帰って来い、隼。」

「俺、おまえが居なくなるって考えただけで、まともに立ってられねぇんだ・・・」

浅い息をつき、穢れのない天使が、薄く目を開ける。
しばしばと何度も瞬きが繰り返された後、やがて光が宿り目の焦点があった。

細い指が緩く弧を描いて、周二の髪に軽く触れた・・・

「隼ー・・・っ・・隼っ・・・」

「・・・は・・・い・・・」

信じられない思いで、ばっと濡れた顔を上げた。

「泣かないで・・・しゅう・・・じ、くん。」

「隼っ、大丈夫なのか?」

「だって、周二くんが泣くんだもの・・・ぼくが側にいないと、駄目なんでしょう?」

「泣き声が聞こえたから・・・あんまり辛そうなんだもん、心配・・・。」

ふる・・・と、周二の唇が歪んだ。

もう、いい・・・生きてるだけでもういい・・・

誰が何を言おうと、子連れ大魔神、沢木の目の前だろうと周二は隼の胸元に顔を埋めた。

「隼ーーーーーー・・・っ!!」

「うっ・・・うっ・・・う”ーーっ!う”ーーーっ!う”ーーーっ!

客観的に見れば、可愛くも何ともない野獣の唸りと咆哮が、病室中に響いた。

傍らに所在無く困ったような表情を浮かべている父親と目が合い、自分のために周二が泣いていると、隼は気付いたようだった。
静かに熱く胸に零れてくる周二の滂沱の涙に気付いて、隼は聖母の微笑を浮かべると、ピエタのように想い人の頭を優しく抱えた。
pioさま挿絵ss
「・・・いい・・・こ。・・・・周二くん、いい子。」

いい子はおまぇだろうがよーーー!と、子どものように頭を撫でられながら、声にならずに周二は吠えた。

熱っぽい隼の肌が、いつもの白桃のような瑞々しさを湛え、鼻先で誘うように甘く匂う・・・そうされるのさえ、夢心地で決して嫌じゃなかった。

「よし、よし・・・もう、泣かないの。周二くんはぼくが、ずうっと護ってあげるからね。」

そこも違うーーー!と、叫びたかったが、頬に添う愛おしい手に軽く懐柔されていた。

今や腑抜けのようになって、周二は恋人の胸に抱かれ、半分蕩けていた。
目の前にある、薄い桃色の突起に気が付いてそっと口に含もうとして、思いっきり病院スリッパでぶん殴られた。

「ぃでっ!!くそ親父っ!何すんだよっ!」

「どあほうっ!!親の真ん前でいちゃつくなっ!」

病み上がりだろうが!と、沢木はわめき、殴られた痛みで涙は出たがどこか心地よい痛みだった。

病室の外で風に舞う銀杏が、夕陽を受けて黄金に輝いていた。
秋企画pioさま、全身
「綺麗ねぇ・・・夕陽でできた三角の波が降って来るみたい。」

「ああ。」

凪の水面に煌く、金波銀波のように散る銀杏を、ふたり寄り添って眺めた。


二人を残して病室から出てゆくとき、沢木はもう一発、周二に拳骨をくれるのを勿論忘れなかった。





お読みいただきありがとうございます。観潮楼さま秋企画でお貸しいただいた、綺麗な銀杏の降り注ぐのを寄り添って眺める場面・・・照れたように横をむく周二くんと安心しきって肩を預ける隼ちゃんのやわらかい笑顔の美麗挿絵の描写にうっとりです。。
隼ちゃん、がんばったね~。やっと、ここまで来ました。もう少し、続きます。 此花
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観潮楼さま秋企画
こちらで使用させていただいている美麗挿絵(イラスト)は、BL観潮楼さま・秋企画参加のみのフリー絵です、それ以外の持ち出しは厳禁となっております。著作権は各絵師様に所属します。
pioさま鼻血ぷぷっの美麗イラストお借りいたしました。ありがとうございました。きゅんきゅんの綺麗お子さまです~~!いつもいじめっ子でごめんね~。
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4 Comments

此花咲耶  

NoTitle

けいったんさま

犯人を捕まえてあるので、あちらの始末とこちらの始末をつけなければ。
実は、うんと昔に二人が出会ってたという、エピソードも書いておこうと思っています。ぴんくのゾウさん、踊りたいです。
書いてて楽しいので、つい先伸ばししています。「完」の字をつけたくないです。
「・・・ぱお~・・・(´・ω・`)」←通訳・「いくら何でも、秋で終らないといかんやろ~」いっそ、「終わりのない冬」とか?←冗談ですから。
コメントありがとうございました。嬉しかったです。
書きたいものいっぱいで、困ります♪

2010/09/20 (Mon) 01:14 | REPLY |   

けいったん  

思わず <完結>の文字をーー

探しましたッ、もう びっくりするよ~(@0@:)

隼の辛い過去の お話しも 今日で 終わりなのかな・・・

明日からは ピンクの象さんが 元気に 踊ってくれるの?
「パオ♪ パオ♪ パオ~♪パオ~ン♪」

2010/09/20 (Mon) 00:59 | REPLY |   

此花咲耶  

NoTitle

pioさま

ちょっと恥ずかしそうに、横を向く周二。そっと肩に優しい顔を寄せて微笑む隼ちゃん。
この場面が書きたかったんです~~~!!
わ~いっ!このしみじみ感が母上さまに伝わったら嬉しいです。
後は、ぴんくのゾウさんで遊ぶぞ~~ぱお~~。
「・・・ぱお~・・・(´・ω・`)」←通訳「おもちゃじゃないもん~」
あれこれ書かせていただいて、こんな思い入れのあるキャラクターになるとは思っても見ませんでした。
美麗挿絵にいっぱい背中を押していただきました。・・って、まだ当分続きますけど。仰天の一波乱、どうなるかなぁ・・・がんばります。
コメントありがとうございました。嬉しかったです。きゅんきゅん♪(^▽^)ノ、ファンクラブ、此花も会員kです。よろしくお願いしますっ!k率、高いですね。

2010/09/19 (Sun) 23:52 | REPLY |   

pio  

此花様ありがとうございます~(;o;)

わ~、ただ裏路地でだらしなくまったりしていただけだった人たちの絵が、まるで、映画のワンシーンのように感動的な1シーンになってます!かわいい、かわいいです!二人。あんなに戦場だったのに、かわいくて暖かくて、じんわりと沁みてきて、セーラームーンパパのスリッパ打撃もどこか暖かくホロッとします。秋の小春日みたいに穏やかです。
しかも周二君やることは忘れてない!……(*・v・*)ププ。
………あっ!!なんともう一波乱あるみたいですね?ふんふん。なになに?ほ~う。good job!やはり鬼畜ドM師匠、そうこなくっちゃ!(☆▽☆)

2010/09/19 (Sun) 21:39 | REPLY |   

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