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小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・57 

「本人は何度聞いても認めませんが、松原くんは隠れていじめを受けているようです。」

「おうちで、お気付きになりませんでしたでしょうか?あの・・・腕の内側とかに酷くできてたはずですが。」

初めて聞く話だった。
海広は、毎日元気に学校に通っているはずじゃなかったか?

「神経性の胃痛を起こして、度々保健室に通っていました。

一応、医者に行くようにと言ったのですが、ご存じないのでしたら、病院へは行っていないのですね。」
海広の保険証は俺が持っているので、行ってないはずだと答えると、やはりと返事が有った。

「校医の話では、おそらく一過性の神経性のものということでした。」

「保健委員の子が一人、毎回付き添って来ていましたけど、海広くんは綺麗な子ですから、クラスでは浮いていたみたいです。」

「あのですね、実はお恥ずかしい話ですが、海広と先ほど少しもめまして。」

「まだ帰宅しないものですから友人関係をお聞きしようとしたんですが・・・」

電話の向こうで、いいにくいのですがと養護教諭が声を潜めた。

「海広くんは、先ほども言いましたけど、女子の間では男の子らしくないと言われていました。」

「時には机に生理用品やショーツを入れられたりして、どうしていいかわからなくて、保健室で泣いていた事もありました。」

「どうやら、男子生徒の誰かが松原君を女子よりも可愛いと言ったのが原因で、話をしてもらえなくなったようです。」

男子からは、オトコオンナと言われ、女子からは男の癖に可愛いなんてと言われた海広は、それでも毅然として学校を休まなかった。

でも、海広はあんなに明るく、毎日通っていたじゃないか・・・?
朝食も毎日欠かさず、一緒に食べてにこにこしていた。
それは「おとうさまが心配するから」と言う理由じゃないでしょうかと養護教諭は語った。
・・・そこで、俺はやっと気付く。

海広は、自分から学校の話をした事などなかった。
一緒に風呂に入ろうと誘って、入らなくなったのはいつからだった?

「次の懇談会で、私の方からお話させていただくようにしておりました。」

「パパが心配するから、言わないでと何度も頼まれたのですが、もう目に余っていましたので・・・。」

洸は言った。

「いじめのことだけどね、俺達は知っていたよ。叔父さんにばれないように、みぃは本当に必死だったんだよ。」

「俺等は何とかしようと思って、サッカー部の後輩に頼んだりしてたけど、中々上手くいかなかったんだ。」

「だって、見た目がオンナノコミタイなみぃに、悪いところなんてひとっつもないんだから、どうしようもないでしょ?」

「みぃの見た目が気に食わないって言われても、みぃに何ができるの?」

「どうしようもないじゃないか。みぃには悪いところがひとっつもないんだから。」

家電の受話器を握りしめたまま、俺は憮然としていた。
俺は、海広の事を何も分かっていなかった。
心配かけたくないと、いじめの事実も打ち明けられないだめな父親は、海広が守られるべき学校で、独り孤独と闘っていたと知り言葉を失った。
電話を置いた後、闇雲に駅に走ったが、最終便はとうに出てしまい止む無く、仕方なく自宅に帰りついた。

海広の、たった一つの行き場所。
それだけは、だめな父親の俺にも想像がついたのだ。
だが、確かに成瀬は言ったはずだ。
綺麗さっぱり消えてやるよ・・・と。

みぃのために、忘れた方がいいと成瀬はいい、俺はその通り成瀬との関わりを断ち切った。
だとしたら、おそらくみぃの訪ねた先に成瀬はいないだろう。
誰もいない場所にたどり着いて、一人途方にくれた、海広を思い浮かべて俺は胸のかきむしられる想いだった。

やがて思いついて俺は、封印されたパンドラの箱を開けるべく、押入れの奥を探った。
新しい家に越して、間も無く一方的に伝えた住所に、送られてきたみぃの過去の「えっちのお仕事」の全てがあったはずだ。
覗き込んだ、海広の視線を避けて、引越し荷物の不用品と共に押入れに放り込んだのだ。
梱包された中には、フォトブックが一冊ずつ大切に包装され、DVD-ROMが十数枚まとめて一緒に入っていた。

一通の封筒がそこにある。
祈るような気持で開封したそこには、果たして期待したとおり成瀬の仕事先の場所と携帯番号が記されてあった。






やっと、手がかりが見つかりそうです・・・でも、みぃくんは彷徨い中です。
いつも応援ありがとうございます。拍手もポチもありがとうございます。形になって見えるのがすごくうれしいです。気合が入って、長文になってしまいました。ごめんね。  此花
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5 Comments

此花咲耶  

Re: パパ!

> パパ!早く早く!
>
> みぃちゃんのところに行くんだ!!!

綺麗な子供は、それだけで虐めの対象になったりするんですね。
人と違う・・・それだけで排斥されます。
残酷で優しい、生き物。
それが人なんですね。

2010/12/30 (Thu) 01:23 | REPLY |   

小春  

パパ!

パパ!早く早く!

みぃちゃんのところに行くんだ!!!

2010/12/29 (Wed) 23:22 | EDIT | REPLY |   

此花咲耶  

NoTitle

けいったんさま

けいったんさまのコメントが、思いっきりロー・テンションへと 急降下してます~・・・大変だ~・・・
「凍月」に初めてコメントくださったのはけいったんさまでした。すごくうれしかったのを覚えています。拍手をしていただいて舞い上がりました。本日拍手、「凍月」だけで10個もいただきました。
此花にとって拍手は10個を超えたりしたらもう気分はお祭りです。「祭りじゃぁ~~!」みたいになってます。

きゃあ。
ポチしてくださって、見つけてくださったんですか。わ~いっ!
(^▽^)/最近、時代物書いていないのですが、元々時代物ばかり書いていました。ですから、夏企画のお稚児さんにくらくらしていたのですが時間がなくて残念でした。
いつか、観潮楼様の企画モノも時代物を書いてみたいです。
今日は、いっぱいコメントくださってありがとうございました。
「けいったんさま祭り」になってます。わっしょい~~♪
わ~いっ。ありがとうございました!!

2010/09/04 (Sat) 19:43 | REPLY |   

けいったん  

1位ですよーー!

今 村ポチしてたら 「歴史・時代小説」で 1位でした!(PM5:00現在)

過去にも あったかもしれませんが、私が ポチの時は 初めてなので 嬉しい~~(*>0<*)

好きなサイト様の ランクUPは 嬉しいです♪ でも ランクばかりに 気にするのは どうかと 思うけどね。

でも兎に角 \(^▽^)/ おめでとう御座います☆

2010/09/04 (Sat) 17:05 | REPLY |   

けいったん  

「凍月」と「狂秋」の ギャップにーーー!!

もう 先ほどの ハイ・テンションが ズズズーンと 超ロー・テンションへと 急降下です↓(ii_ii)

知ろうと努力しても 理解できないのに その努力を 怠ったパパ。 その手がかりで 身も心も彷徨ってる みぃくんを 早く 救い出して 暖かく 抱きしめてあげて欲しいものです。

此花さまの ニ作品の ギャップに もう私は 嵌って メロメロよ~ん♪ (^o^)...気合入り過ぎない様に 力を抜いてね~...byebye☆

2010/09/04 (Sat) 16:57 | REPLY |   

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