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小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・54 

最終電車の暗い車窓から見る都会の明かりは、どこか人事のように冷たいのに、暴力的に目映く溢れていた。
トンネルに入ると、窓に自分の顔が映って、一気に現実に引き戻される気がした。

オンナノコミタイナ顔・・・

大好きなママに似た、オンナノコミタイナ顔・・・

大好きなパパが嫌いな、オンナノコミタイナ顔・・・

後悔と不安が同時に押し寄せてきて、ぼくのお腹をまた、しくしくと痛くさせた。
女の子になりたかったなんて、これまで誰にも言ったことなんてなかった。
パパにもお兄ちゃん達にも言うつもりなんてなかったのに、勢いでとうとう打ち明けてしまった。

誰にも話した事なかったけど、ぼくはいずれ家を出て、どこか遠くで一人暮らすつもりだった。
このままみんなといると、ぼくはきっとぼくでなくなると、ぼんやり思っていた。

それが、少し早まっただけのこと・・・そんな風に自分を慰めようとしたけど、悲しそうなパパの顔がぼくの頭から離れない。
大好きな優しいパパを、苦しめたくなかったのに。

新幹線は、滑るように終着駅に着いた。
ずいぶん遠くまで、来たような気がする。
駅名は覚えていたけど、バスの乗り場は記憶が曖昧で、自信がなかった。
ちびの頃に、何度か通った道は、自分が大きくなってしまうと同じ道とは思えなかった。

見当をつけて何本かバスを見送ったあと、やっと乗り込んだけど、短い時間、揺られたあと降りた停留所は知らない場所だった。闇雲に歩き回って、消耗する事を恐れた。

バス停に、ぼんやり佇んでいると、ぼくを認めた誰もがちらと何かをいいたそうに振り返る。
酔っ払ったおじさんがふらふらとぼくを捕まえそうになって、思わず逃げた。

ふと、ファンデーションが残っていて、男の子の格好をした、変な女の子に見えてるのかもしれないと思って、ごしごしと強く頬をこすった。
少し前まで、とても楽しかったのに・・・

一晩中、町を彷徨って明け方近くになって、初めてぼくはヒントを得た。
階段を二、三段上がった所に、青銅のライオンの像が置かれていたのを思い出したのだ。
道を聞くのに、警察は避けてコンビニの店員さんに絞る。
もし家出人として捜索願いがだされていたら、そこですべてがお終いになってしまうから。

「この辺りのマンションか、アパートで、一階のテラスみたいなところに、青銅のライオンの置物が有る所を知りませんか?」

尋ねた何軒目かのコンビニで、そこらしい場所があるよと教えてもらった。

「でもここから歩きだと、30分くらいはかかるかなぁ。」

地図を描いてくれながら、コンビニの大学生くらいのバイト生は、まじまじとぼくを見た。

「君さ。君みたいな子が、こんな時間に独りで歩いてて大丈夫なの?」

「なんだったら、おにいさん、一緒に行ってあげようか?」

仕事が終るまで、もう少し待っててくれるならと、お兄さんは言った。

「おじさん家なんで、大丈夫です。行き違ったみたいだから、きっとすぐ会えるはずです。」

「そう?なら良いけど、気をつけてね。」

知らない人に、それ以上の何かを頼むのは、怖かった。
考えすぎかもしれないけれど、知らない人は、みんなぼくに何かしら妙な視線を送るから・・・

ぼくは、うさぎのリュックをきゅと握って、光の町を歩き出した。
出来れば、すぐに分かりますように。
すぐに着きますように。

ママのお友達のおじさんに会えますように・・・





夜の街を彷徨うみぃくん。パパは、どうしてるんだろう・・・ 此花
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2 Comments

此花咲耶  

NoTitle

けいったんさま

きゃあ。みぃくん、優しいお姉さんがいたよ~(*^▽^)ノ良かったね~。
では、けいったんさまに、みぃくんから・・・「ありがと。ちゅっ♪」(*^ ・^)ノ⌒☆

みぃくんは、此花のテクがないので残念ながら、無事ですっ!←ないといいきるのも、本当はちょっと悲しい・・・(>_<)
ご心配ありがとうございます。
それより、パパが大変です。

2010/09/01 (Wed) 20:06 | REPLY |   

けいったん  

みぃく~ん、夜道は・・・

お姉さん(おばさんとは 言わせない!)が 連れて行ってあげるから 待って!

此花さま、みぃくんは 悪い狼に 目を付けられる事無く  無事に おじさんの所まで 行けるの?
(iioii)...心配ですぅ...byebye☆

2010/09/01 (Wed) 18:33 | REPLY |   

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