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小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・53 

どこか悲しげに、ぼくの名を叫ぶパパの声が聞こえた。

「海広~っ!!」

ぼくが、パパの期待を全て裏切ってしまったから。

「みぃっ!」

洸兄ちゃんも叫んだ。
ぼくの秘密に立ち会ったから。
大好きなお兄ちゃん達にも、もう別れを言うしかなかった。

家を後にして、ぼくはひたすら、必死で夕暮れの町を走った。

パパの一番大切な愁都君を、投げつけてしまった。
本当は、そんなことするつもり無かったのに。
心の底の自分の気持に気が付いてしまった。
洸兄ちゃんにも知られてしまった。

もう、ぼくはあの家でパパと一緒に暮らすことは出来ないんだ。
パパは、男の子のぼくと暮らすために、この家を買ったんだもの。

何もかもお終いにして、ぼくは家を後にするしかなかった。
大好きなパパに、思い切りひどいことをしてしまった。

液晶画面が壊れて、愁都くんの笑顔が消えてしまったら、すごく悲しむと分かっていたのに。
たった一枚しかない写真だと知っていたのに、酷いことをしてしまった・・・

「・・・ごめんなさい、ごめんなさい。」

「パパ、ごめんなさい。」

泣きながら走る手で、顔をこすったら朱里兄ちゃんの彼女さんが塗ってくれた、ファンデーションがついた。
涙で、どろどろだった。
咄嗟に持って来たうさぎのリュックは、女の子みたいだからって今日持っていった、ちびの時からの宝物。

今までに貰ったお小遣いの全てが入っていたけど、電車賃は足りるだろうか。
たった一つの行くあてを目指して、ぼくは駅に向かった。
遠い遠い記憶の中に埋もれそうになっている、優しい笑顔。

ママの病院代を作るために、「みぃが、がんばらなきゃなぁ。」と言った小父さんに会いたかった。
沢山の写真を撮った、「えっちのお仕事」。
パパは忘れておしまいって言ったけれど、ぼくは覚えていた。
涙もいっぱい出たけど、がんばったと言って抱きしめてくれたママのお友達のおじさん。
他の誰でもない、ぼくを認めてくれたあの人に会いたかった。

ねぇ、パパ。

誰よりも、ぼくは・・・

パパの事が、大好きだったんだよ。

ずっと、パパの一番になりたかった。

涙で車のライトが滲んで、すごく大きくなった。





「さよなら」・・・なのかなぁ。いつもお読みいただきありがとうございます。応援ありがとうございます。がんばります。  此花
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4 Comments

此花咲耶  

Re: 小春ボロボロです

> 此花さん、小春ボロボロです。
>
> みぃちゃん、みぃちゃん・・・・・

泣いてくださってありがとうございます。
この頃、文章短いですね~・・・今頃気が付きました。
小春さんにハンカチ、貸してあげたいです。゚・。(。/□\。)。

2010/12/30 (Thu) 01:21 | REPLY |   

小春  

小春ボロボロです

此花さん、小春ボロボロです。

みぃちゃん、みぃちゃん・・・・・

2010/12/29 (Wed) 23:11 | EDIT | REPLY |   

此花咲耶  

NoTitle

けいったんさま


きゃあ。ご心配ありがとうございます。病院はあちこち三軒行きました。整体にも行きました。
熱さえ下がれば大丈夫だと、自分で思っているので大丈夫です。本当に駄目なら、入院しろと言われる筈。・・・さすがに4日目ともなると、転がっているのがきついのでうろうろしてます。
で、家人のいない留守を縫って、秋企画の原稿を予約投稿にセットしておきました。(*^ー^) ノ

「凍月」の方は、ね~、パパってば、こんなところで大失敗している場合じゃないんですけどね~。これから、いろいろなことが起こります。いつも応援ありがとうございます。コメントもありがとうございます。いつもほんとに励みになってますっ!

2010/08/31 (Tue) 15:20 | REPLY |   

けいったん  

みぃく~ん、待ってぇ~

みぃくんが、家を飛び出して行っちゃたよぉー
パパさんは 携帯の事なんかより 早く 追い駆けなくては 駄目でしょッ!

此花さま、お体の調子は どうですか? 血尿とは・・・病院へ 行ったの? まだでしたら 行ったほうが いいですよ。
家の人の病気や、お商売で お疲れなんですね。  ほんとに 更新は 無理なさらないでねー。 大人しく待ってますから...
m(^=ω=^)m元気でニャ~...byebye☆ 

2010/08/31 (Tue) 15:04 | REPLY |   

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