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小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・49 

そうっと辺りを見渡して、家を出た。
こんな恰好で、ご近所の誰かに会ったら大変だもの。

洸兄ちゃんの自転車の後ろに横乗りで乗って振り落とされないように、洸兄ちゃんの腰に、きゅと抱きついた。
小さな白いきらきらしたリボンの付いた、髪留め二つでかつらを押さえて、かりそめの恋人同士は、待ち合わせの場所に向かう。
日曜の朝、時々パパと出かけるファストフードは、ぼくを知っている店員さんがいるんじゃないかと思って、すごくどきどきする。

「洸兄ちゃん。・・・ねぇ、みぃくんのこと、知らない人がいっぱい見てる。」

一歩、店に足を踏み入れたら視線が一気に寄せられた。
きっと男の子だとばれたのだと思って、がくがくと足が震えて転びそうになった。

「帰ろ・・・、ね。洸兄ちゃん、帰ろ・・・?みぃくん、やっぱりこんな事やめる。」

ぼくは、洸兄ちゃんの上着の裾を一生けんめい引っ張った。
誰かが「オトコオンナ」と指差して、げらげら笑い始めるそんな気がした。

洸兄ちゃんはぼくのその手を上から掴むと、席まで引き、満面の笑顔で振り向いた。

「みぃ、ベーコンレタスバーガー好きだろ?」

「炭酸飲めないから、ドリンクはカルピスでいいな?」

「あ、うん。」

耳元で、朱里兄ちゃんの彼女さんがささやいた。

「大丈夫よ。みぃちゃんがすごく可愛いから、みんなが見てるの。」

「ほんとう?・・・みぃくん、ほんとにおかしくない?」

くすっと色っぽく笑った彼女さんが

「ちょっと、悔しいけどね。すごく可愛いよ。」

と言ってくれた。

「男の子だなんて言わなきゃ、絶対分からない。」って。

・・・本当かなぁ・・・
そっと、ウインドウに薄く映る姿を盗み見た。

奥の窓際の席で、洸兄ちゃんの塾のお友達が、来るのを待つ。
ガラス窓越しに、口をあんぐりと開けた大きな高校生が数人、こっちを向いているのに気が付いた。
ぼくを見て、指差して何か言っているみたいだった。

「洸兄ちゃん、あの人たち・・・?」

「ああ、やっと着たか。」

「みぃ、ここにおいで。ここに来て、ちょっと外に手を振ってみな。」

「あ。ご挨拶する?」

ぼくは立ち上がると、ぴょこんと頭を下げて、外のお兄さん達にお辞儀をした。
それに気付いたその人たちが、すごい勢いで店内に流れ込んできた。
大きな高校生達が何だか怖くて、ぼくは洸兄ちゃんの後ろに大急ぎで隠れた。
6年生に虐められて以来、三人のお兄ちゃん以外、ぼくは他所の大きなお兄ちゃんはちょっと苦手だった。

「松原!この子~!?」

「まじ、可愛いじゃん!やべぇ。」

「めっちゃ色白いけど、ハーフなの?」

「何年生?」

矢継ぎ早に繰り出される質問に、ぼくはあたふたしてしまって、まともに答えれらなかった。

「あ・・の。あの・・・っ・・」

何もいえなくなってうつむいたぼくを数人が取り囲んだ状態で、彼等はぼくが何か言うのを待っていたみたいだった。
心臓がどきどきして、上のほうまで上がってきそうだった。
洸兄ちゃん、助けてと袖口を引っ張った。

「はい、約束終了。見学は、これでおしまいね。」

洸兄ちゃんが、お友達とぼくの間に割って入る。

「うわ~、もう少しだけでいいから、話させてよ~。」

「松原、出し惜しみするなって。」

心臓が痛いほど跳ねて、ちょっとだけ涙が出た。






心臓がばくばくの、みぃくんです。いつもお読みいただきありがとうございます。ベーコンレタスバーガーはBLの別名だそうです。今、感謝を込めて挿絵かいてますけど、いつになりますやら・・・です。 此花
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