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小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・48 

紙袋の中に入っていたのは、朱里兄ちゃんがお友達の妹に借りてきた白いワンピースだった。
ぼくが時々、頭の中で着てくるりと回っているワンピース・・・

白い大きな襟に、フリルがついてる・・・
夢に見た背中の大きなリボンまで同じ。
入学式に買ってもらえなくて大泣きした、女の子にしか許されない可愛いワンピ-スがそこにあった。
腕を伸ばせばすぐそこにある、ワンピース。
考え込んでると、朱里兄ちゃんがさっさとトレーナーを下からたくし上げてしまって、代わりにワンピースをぼすっと頭からかぶせた。

「あっ・・・きゃあっ。朱里兄ちゃんだめっ。」

「だめだって。こんなの着たら、パパに怒られるから。」

「あ~、もう、うるさいよ。」

「叔父さんが出張中なの、俺等知ってるから。」

「だって、だって。」

「ちょっと黙ってな、みぃ。この後のリボン、結んじまうから・・・」

安い変装用のナイロンの茶色のくるんくるんのかつらまで、準備してあって、あっという間に着付けが終わった。

「こんなの、パパが怒るよぉ・・・ぼく・・・」

半分べそをかいたぼくの顔を覗き込んで、いつか入学式でぼくの服を選んでくれた時みたいに、耳元で洸兄ちゃんがささやいた。

「みぃ。すげぇ可愛い。」

「洸兄ちゃん。」

可愛い・・・?

ぼく、可愛いの?

「あ。だめ、パパが・・・」

絶対・・・悲しむと分かってた。

ぼくが繰り返す哀願は無視された。
朱里兄ちゃんが電話で彼女を呼び出して、二組のカップルは洸兄ちゃんの名誉のために一芝居打つことになった。
朱里兄ちゃんの彼女は、お化粧道具を持参して、あれこれぼくの顔に塗りつけた。

「肌荒れしちゃ、いやだもんね。」

息を止めてるのがちょっと苦しかったけど・・・

「もうすぐだから、我慢してね。」

我慢・・・?
ううん、ちっとも嫌じゃなかった・・・なんて、誰にも言えない。

「うそぉ・・・。ねぇ、朱里。この子、超可愛いんですけど。」

朱里兄ちゃんの、年上の彼女さんがぼくの口に、ルージュを引いてぺたぺたとグロス?を塗った。
睫毛をぐいんと引っ張って、何か熱いもので挟んだら、睫毛が伸びた気がする。

「洸兄ちゃん、みぃくん、絶対変だよ。恥ずかしいよ。やめようよ。」

「じゃ、出かける前にちょっと鏡を見ておいで。」
「驚くよ、みぃ。」

お風呂場の姿見を見ることをやっと許されて、変身後の自分と対面した。

「あ・・・っ。」

思わず息を呑んで、驚きの声が出る。
そこにいたのは、「オンナノコミタイナぼく」じゃなくて、どうみても「オンナノコ」だった。

「ほら、変じゃないだろ?
絶対、誰より可愛いって。」

思わず、自分の姿にまじまじと見入ってしまった。

「ぼく・・・?これ、ぼく?」

白い清楚なワンピースを着た、オンナノコのぼく・・・

その日、ぼくは、「ぼくがなりたかったオンナノコ」に出会ってしまった。






とうとう、自覚が形になってしまいました・・・。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。形の見える拍手もポチもうれしいです。 此花
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6 Comments

此花咲耶  

Re: 私は・・・

けいったんさま


おお~~~!!披露宴開催おっけ~ですか?ヽ((◎д◎ ))ゝ
誘拐については薄く触れてあるので、書いてもそれほど衝撃はないかなとも思うのですが、結構可哀想なお話になるかなと思います。
明るいお話の中に、どさくさに紛れて入れてしまおうかなと思っていたので、その方向で書いてゆきます。
実は此花は、いじめっ子で主人公は結構酷い目に会ってます。
めげずに強く生きてゆくのが、好きです。
ご意見ありがとうございました。参考にさせていただきます。
ソフト鬼畜って分野いかがでしょう・・・(〃∇〃)ないか~←あほ~ですね~

2010/08/26 (Thu) 23:07 | REPLY |   

けいったん  

私は・・・

「狂夏」の 隼くんの 幼い時に負った 心の傷の原因を 知りたいですッ!

作品の 明るい雰囲気を 壊したくない お気持ちは 分かります。 が、今まで 作品の中で 少しですが 触れられていたんですから  ここは 思い切って 披露宴を 。

後のフォローは 妄想周二や 沢木パパに 丸投げで 任せましょう...って事は 此花さまに 丸投げって事になるのかな?

これは 私個人の意見ですので あんまり 気にはしないでね♪

m(*^・エ・^*)m...僕も ベーコン・レタスバーガー好きだワン...byebyeワン...☆

2010/08/26 (Thu) 20:58 | REPLY |   

此花咲耶  

Re: 白いワンピース

Rinkさま

きゃあ。お越しいただきありがとうございます。こんな僻地のことは、どうぞお気になさらないで下さい。
全然BLじゃないこの作品に、コメ頂いてありがとうございます。うんと広い意味で、いっそベーコン・レタスバーガーの略です。←これじゃ、ちょっとね~・・・(^^;)
もうパソコンは大丈夫でしょうか。
コメントありがとうございます。うれしかったです。

2010/08/26 (Thu) 20:21 | REPLY |   

Rink  

白いワンピース

うん、想像力を発動したくなるシチュエーションです!
白いワンピースは線の細い子なら絶対似合う。
いつも訪問ありがとうございます。なかなか回れずごめんなさい。

2010/08/26 (Thu) 20:13 | REPLY |   

此花咲耶  

Re: やっと念願の...

けいったんさま

きゃあぁっ・・・ばれてる?・・・色々、ばれてる・・・?と思う、危険なコメントありがとうございます。
実は女の子のみぃくんも、いつか描きたかったので描けたらこっそり挿絵で入れてみようと思います。
大昔には、同人漫画描いていたんですけど さすがに大分前に筆を折ってしまって今は、ああ~続けていれば今頃挿絵かけたのに~~~と反省の日々です。(古臭い絵柄ですけど)
みぃくんは、形は違いますけどきっと幸せになります。そこだけは大丈夫です。

それよりもね、「狂った夏」の隼くんの幼い時の傷の方が切実で、書いていいのかどうか迷ってます。
このまま明るいお話で企画モノは終ったほうがいいんでしょうか・・・と、相談・・・。

コメントありがとうございました。
二つもありがとうございますっ!お気遣いもうれしかったです。これからもよろしくお願いします。ぺこり。

2010/08/26 (Thu) 14:00 | REPLY |   

けいったん  

やっと念願の...

みぃくんの 奥底に秘めていた気持ちを  洸兄と 朱里兄は  知らずに 堅く閉めていた扉を 開けてしまいましたねー。

しっかりはっきりと 自分の気持ちに 気づいたみぃくんは 今まで以上に 苦しむのでは ないのかなぁー  パパのこともあるしね! パパに嫌われたくない みぃくん。。。

また火事の場面も 出てくるとは・・・でも みぃくんは 幸せに なるんですよねッ、此花さま。(*≧.≦*)...女の子のみぃくん、見たい...byebye☆

2010/08/26 (Thu) 12:35 | REPLY |   

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