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小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・42 

桜の花が何回か咲いて、季節はめぐった。

翔兄ちゃんは、小学校を卒業するとき相当ぼくの心配をしてくれたけど、ぼくは大丈夫。
ぼくをいじめていた6年生が卒業して、翔兄ちゃんが6年生になったとき、女の子達と仲直りも出来た。
その子達が、ぼくのことを「みぃくんは、強い。」って言ってくれたの。
朱里兄ちゃんが言ってくれた、「いじめるやつの方が、絶対に悪い」と言う言葉が、それからずっと、ぼくのお守りになっていたんだ。

4年生になった頃、女の子と男の子に別れて本格的な「性教育」の授業が行われることになった。
どこかの病院の先生のお話を聞くんだけど、ぼくは当然男の子の中で話を聞くことになっていた。
女の子達が、声を上げて好奇心いっぱいの顔を上気させて、教室を出てゆくのがちょっと羨ましいような気がした。
ぼくは、同級生の男の子に、おまえはあっちじゃないのかとからかわれながら、その場に立っていた。
ぼくは、きっと困ったような変な笑顔を浮かべてたと思う。

あのね、パパ。

その時誰にも言えなかったけど、本当はぼくは女の子の中に入って、お話を聞きたかったの。

「避妊」の方法は、男の子と女の子では違いますって、先生がコンドームというゴムの避妊具を見せたり、スライドで図を写していた時、頭の中には白いワンピースを来たぼくが、くるりと回っていた。

「みぃくんは、どうしてここにいるの?」って。

一番後ろで、ぼくに関係のないお話を聞きながら、きゅうっと痛くなるお腹を抱えてじっとしていた・・・
とうとう、我慢できなくなって後の方でぱたりと倒れ込んだとき、一番背の高い四之宮君がそうっとぼくを揺すった。
四之宮君は、柔道部で身長も高いけど、きっと体重はぼくの倍くらいも有ったんじゃないかなと思う。

「松原?具合悪いの?」

「う・ん・・吐きそう・・・」

オンナンコミタイナぼくの事を考えたら、具合が悪くなる。
男の子らしくしようとすると、吐き気がした・・・

「先生、松原が具合悪そうなんで、保健室行きます。俺、保健委員です。」

話の途中だったから、先生が手を上げて行ってらっしゃいと、合図を送った。
ああ・・・駄目。

「駄目だよ、四之宮君。」

「・・ぼくに親切にしたら、今度は君がいじめられる・・・」

「俺は保健委員だから、病人を保健室に連れてゆくのが仕事。」

お腹を押さえて、ほんの少し歩いてしゃがみこんだぼくにじれて、四之宮君はとうとう言った。

「あのさ、抱えても平気かな?」

「え?抱えるって?」

そのまま、ひょいと軽々抱えて保健室の前で、降ろしてくれた。

「先生。4年の松原海広です。腹が痛いんでお願いします。」

脂汗の浮いたぼくを引き取って、保健室の先生が横にならせてくれた。
何度も同じ状態になって、保健室に駆け込む回数が増えていた。

「ありがとう。四之宮君。後は先生が見るから、教室に帰っても大丈夫よ。」

四之宮君は、ぼくに向かってちょっとだけ笑って視聴覚教室に戻った。

6年生に見られてないかと、ちょっとだけ心配だった。





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