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小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・33 

パパの方をそうっと伺い見ると、頷いてくれたので、ぼくは安心して洸兄ちゃんから服を貰った。
試着室にはいって、洸兄ちゃんにリボンを結んでもらう・・・。

「みぃ、すげぇ可愛い。」

耳元にくっついて、洸兄ちゃんが内緒でそう言ってくれた。
ぼくは、すごくうれしくなる。
いつの間にか、涙も乾いていた。

出て来た僕に、お店のお姉さんが

「まあ。こういう合わせ方もあるのね、素敵ね。」と、言ってくれてぼくはすっかり嬉しくなった。

「これでも、いい?・・・パパ・・・?」

パパは、ぼくの頭をぽんぽんと叩くと、

「洸の選んだ方が、みぃによく似合ってるな。」と、言ってくれた。

洸兄ちゃんは、うんと不思議だ。
ぼくの考えていることが分かったのかな?

「叔父さん、いくら何でもセンス悪すぎだよ。」

と言って、パパをからかっていた。

でもね、洸兄ちゃん・・・お店で買い物をしていたとき、何人かが同じように入学式のお洋服を買いに来たんだよ。
買ったのは、みんな同じようなネクタイで、同じような半ズボンだった。
男の子は、何も文句を言わず新しいスーツを買って帰った。
パパもきっと本当は、みんなと同じような格好をしたぼくの方が、好きなんだと思う。
パパが女の子のだから、いけないって言った、白い大きな襟の可愛いワンピース。
胸に造花の、ピンクの小さなお花がついていた。
背中には大きなリボンを、結ぶようになっていた。

ぼくは男の子だから、ワンピースは着ては駄目。
リボンもフリルも、好きだと言ったらパパが悲しい顔をする。
自分でも、鏡の中の自分が女の子みたいだと思ったら、じんわりと背中が冷たくなって、心の中がどきどきした。

パパ。
どうして、男の子はスカートはいちゃいけないのかなぁ・・・
白いワンピースは、どうして女の子だけのものなのかなぁ・・・
誰も教えてくれなかった。



だって、そんなものだから。
常識の枠は、時々残酷です。  此花
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