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小説・凍える月(オンナノコニナリタイ)・10 

少し性的表現が入ります、苦手な方はご注意下さい。


隣室から聞こえるのは、忙しなく人の出入りを感じさせる気配と物音。
最低限の防音はされているようで、会話の類などは一切聞こえない。
キィと何かが軋む音に気が付けば、わらわらとベランダに出たらしく数人の話し声がする。
薄い防火扉一枚で仕切られたベランダで、男達の声がする。

「ここでいいか?」

「そう。後から抱えて、こっちに広げて。」

「ちゃんと当てろよ。陰ができないように。」

「おい、レフ板!」

低い間仕切りから覗く背の高い撮影機材と照明、繰り返される隠微な言葉に、何をしているのか大体の想像がついた。

「撮るぞ、みぃ。」

「ほら、どうせ泣くなら下向いてないで、こっち向いて泣きな。」

「ふ、ふぇっ・・・ん・・・」

子どもの泣き声に、スイッチが入ったように、後先考えず俺は部屋を飛び出した。

何をやっているんだ。

何をさせているんだ。

さっき買ったばかりの菓子の袋を咄嗟に握って、俺は衝動のまま隣室のインターホンを鳴らした。

いらいらと。

しつこく。

「なに?」

チェーンをかけたままで、すごく嫌そうに眉間に縦皺を作った金髪の男が俺を見咎める。

「何の用、おっさん?」

そこで俺は、やっと気が付く。
何をやってるんだ、俺は。
何を言うつもりだったんだ、俺は。
誰とも関わらないで、これから生きてゆくんじゃなかったのか。
ずきん・・・と、疼いたのは俺の理性か、良心か。
ゆっくりと口を開き、驚くべき言葉を発した。

「見せてくれ。」

「ははっ!」

肩をすくめて歯を見せて笑った男が、言っておくが、見学料は高いぜと片目を瞑る。

「サツかと思ったじゃないか。驚かせんなよ、おっさん。」

内側からチェーンが外された。

「お客さんだ。」

促されて奥の部屋に入る。
想像通りの広がる光景に、俺は息を呑んだ。
どうやらこの部屋は、撮影スタジオとして借りているらしい。
健康な男なら、一度は見たこと有るような陳腐な設定の疲れた男女が、ベッドの上で絡んでいた。

「ちょうど良かったな。これから本番を撮るところだ。」

「どこにでも、かけてよ。」


・・・大変です。
がんばれ、想像力。
しかもBLじゃない感じです、ごめんなさい・・・ 此花
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