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アンドロイドSⅤは挑発する 17 

「いや!ショーくん!」
「あっくん。落ち着いて」
「ぼくが……ぼくがいけなかったの……何もわかっていなかった……ショーくんはぼくを見ていただけなのに……ぅわぁ~ん……」

音羽の胸の中で、綺麗な顔をゆがめて取り乱したあっくんの心中も知らず、車は角を曲がった。
車は静かに研究室へと向かっていた。
車中では、研究員があっくんの噂をしている。

「さすがにモデルというだけあって、綺麗な子でしたね、博士。泣いちゃって可哀想だった」
「俺。びっくりして言葉も出なかったですよ。世の中には神様に愛された人間って本当にいるんですね。博士の作ったアンドロイドと比べても遜色ないですよ」
「俺も最初、あの子が目の前に現れた時は、どこかの美意識の高いやつが作った人形だと思ったよ。昔、子供の頃は、醜いアヒルの子だったんだが、苦労してあそこまでになったんだ。美は一日にしてならずだな」

「……yes……」

木箱の中から、微かに声がしたのを、確かに音矢は聞いた。

「……ん?今何か声がしなかったか?」
「博士!箱が動いてます」
「まさか!?」
「馬鹿な!壊れているはずだぞ。どういうことだ?」
「起動したんじゃないか?」
「おい、車を止めろ」

音矢と研究員たちは半信半疑で駆け寄り、研究員たちは大きなくぎ抜きを手に、蓋をこじ開けようとした。

「うわぁっ!」

バリバリと卵から羽化するひよこのように、盛大に蓋を蹴破って、アンドロイドSⅤは、ふるりとセクスを揺らして周りを見渡した。

「……わたしのご主人様は、どこですか?」
「SⅤ……起動したのか」
「ご主人様の傍に行きたいです。連れて行ってください」
「わ……わかった」

来た道を引き返してきた車を見て、泣き崩れていたあっくんは駆け寄った。

「ショーくん!直ったの?」
「はい。ご主人様」
「どこへも行かないで。ずっとぼくの傍に居て。もう冷たくしたり、悲しませたりしないから」
「わたしはご主人様のものです。いつもご主人様の傍に居ます」
「ショーくん……え~ん……」

あっくんは、感激のあまりアンドロイドSⅤに飛びかからんばかりに抱擁してキスの雨を降らせた。

「ごめんね……ごめんね……」
「それは、それほどメジャーではない茨城県出身の……」
「……それ以上言うと、契約を解除します」
「冗談がお好きだと、聞いておりましたので」
「それは、時と場合によるの。いい?」
「はい、ご主人様。理解しました」

音矢は、玄関先で分厚いマニュアルを必死にめくり、「契約者以外の一時的なシャットダウンが続いた後は、一時的に強制的にシャットダウンされるが、その後は再起動可能」という一文を見つけた。




本日もお読みいただきありがとうございます。
(*´▽`*) 「ショーくん!」

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