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アンドロイドSⅤは挑発する 15 

音矢の話は、二人には思いがけないものだった。
アンドロイドSⅤには、モデルとなった儚い少年の存在があったという。

「まぁ、性格をコピーすると言っても、参考にする程度でオリジナルと同じになるわけはないんだよ。行動や思考をあらかじめ予測できるように調整しているから、今回は少しばかり人間らしい部分が色濃く出たという事なんだろうな。アシモフのロボット三原則を知っているだろう?アンドロイドが人と暮らしていくためには、たくさんの約束事とデータが必要なんだ。厚志、君と契約したとき、最初、彼はどんな風だった?」

蒼白になって震えるあっくんに代わって、音羽は答えた。

「目覚めた時……アンドロイドSⅤは、まるで、あっくんに恋をしているようだったよ。薔薇色に頬を染めて、応えた時とても幸せそうだった」
「そうか。初動操作はうまく行ったんだな」

あっくんの頬を、透明な雫がいくつも転がってゆく。
取り返しのつかないことをしたと思っていた。

「お……音矢はどうして、何も言わずにアンドロイドを送りつけてきたの?教えてくれていたら良かった……」
「データを取るのに、契約者が何も知らない方が都合が良かったんだ。君たちに余計な先入観を与えたくはなかったからね。今回のプログラムの最重要課題は、アンドロイドが人間の中に自然に溶け込み、違和感なく日常生活を送れるかどうかだった」
「……アンドロイドは、ぼくの気に入らないことを何度もしたんだ……だから、冷たくしてしまった……初めに教えてくれれば優しくできたのに」
「ふむ。どういう事があってそう思った?」

学者の顔で、アイパッドを広げた音矢が問う。

「最初、音羽と一緒に写った写真を……あの子は捨ててしまったの。ぼくは、ショーくんが音羽に恋をして、ぼくの場所を奪うんじゃないかと思ったの……だって、一番大切な写真だったから……」
「それは、どういった写真?」
「オーロラの下の氷の教会で……音羽と二人で頬を寄せて撮った写真……」
「へぇ、驚いたな」

音矢は目を丸くした。

「まるで、人間の時の感情が残っていたようじゃないか。厚志、おそらくそれは、君の居場所を奪おうとしたんじゃない。むしろ微笑む君の傍に居る、音羽の代わりになりたかったんじゃないか?」

小さく心臓が跳ねた。
一番奥に飾られた大切な写真が、何故よりによってくしゃくしゃになったのか、納得できなかった。
でも……もし、そうなら……?
契約を結んだアンドロイドが、ひたすら自分に向かって愛を乞うていたのなら……。
求める手を払いのけたばかりか、雨の降る外に追い出すような真似をした。
厚志は呆然としていた。

「ショーくんは……ぼくのバスローブを着て音羽が眠っている横に居たの……寝台のぼくの場所に……」
「厚志になりたかったのかな。音羽の横にいると、大好きなATUSHIになれたような気がしたんじゃないか?彼はATUSHIをとても好きだったから」
「……じゃあ……ブーケを捨ててしまったのも?」
「う~ん、推測でしかないけれど、それは本当に知らないことだったんじゃないかな。厚志にとって大事なものなら、アンドロイドは大切にするはずだ。契約者の意思に沿うように、プログラムされているからね。入力した情報が少なすぎたのが理由だろう。今後の参考にする」
「……」

全てを知ってみると、すとんと腑に落ちることばかりだった。
あっくんは自分がどれほど後悔しても、取り返しのつかないことをしたのだと知る。
固く目を瞑ったアンドロイドSⅤは、身じろぎもせず……よそよそしい死体のようで悲しかった。




本日もお読みいただきありがとうございます。
(つд・`。)・゚ 「ショーくん……」

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