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アンドロイドSⅤは挑発する 8 

そしてどこか誇らしげに、胸を張って答えた。

「わたしはご主人様のものです。全てがご主人様のために作られています」
「うん。そうだね。あっくんも同じことを言うよ。ぼくのすべては、君のものだよってね。君は、あっくんと二人で写った写真があったらどうする?」
「二人の写真ですか?それでしたら、わたしは……大切に……とても大切にします」
「そうだろう?写真立てが割れても、君はあっくんと二人の写真をごみ箱に捨てたかな?」
「……」
「何か行動をする前に、少し考えてごらん。もしも同じような事をされたらって。君とあっくんが写った写真を、写真立てが割れてしまったからって、ゴミ箱に放り込まれたら?数式のように簡単ではないから、理解できないかもしれないが、想像はできるだろう?」
「あ……」

アンドロイドは大きく目を見開いて、じっと音羽を見つめた。

「……わたしが間違っていました」
「ほんの少し心づかいが足りなかったね。割れてしまった写真をあっくんに見せて、一言ごめんなさいって言えば良かったんだよ。そうすれば、あっくんはあれほど悲しまなかったと思う。一つづつ覚えていけばいいんだよ、いいね?」
「はい……」

目線を落として、ぽんぽんとショーくんの頭に優しく手を置くのを、あっくんは複雑な目で見ていた。
二人だけの暮らしに、アンドロイドSⅤが入って来たのに、まだ慣れない。
家事が減って楽になったはずなのに、なぜ素直に喜べないのだろう。
あっくんには、しょんぼりと落ち込んだ酷く頼りなげなショーくんと、愛する音羽がとても仲睦まじく見えた。
それは、気のせいではない。
音羽はショーくんに、とても親切な気がする。
今朝の会話だってこうだ。

「あっくん。あの子に服を着せないの?あんなセクシーな下着で、家の中を歩き回られたら、来客があったときに、僕らが少年を虐待しているって誤解を受けそうだよ」
「そう?音羽は、ぼくがTバックで歩いていても何も言わないのに、アンドロイドのことは気になるの?」
「う~ん。そうだね。あの子は見た目が幼く見えるから、例えオプションでも座ればセクスが丸見えのパンツを履かせるのは、なんだか可哀相な気がするんだ。あっくんは、とてもセクシーだし似合っていたから、僕は悩殺されっぱなしだったんだけどね」
「音羽~♡」

キスをねだるあっくんに、音羽は額にそっと触れて、さあ、仕事の時間だよと告げた。

「君の服を出しておいて。出かける前に着方を教えて置くから」

もやもやする心を抱えて、その生まれたもやもやが何というものか名前も分からずに、あっくんはショーくんを見つめた。

「ご主人様。バスを使われますか?」
「……うん。塩ソルトも出しておいて……」
「曇った顔……わたしのせいです……」
「気にしないで、平気だから」
「悲しませてごめんなさい……」

ショーくんの頬を転がる涙のようなものは、説明書にあるように温度差による結露なのだろうか。
バスタブの中の泡に顔をうずめて、あっくんは、誰にも分らぬようにほんの少し泣いた。

写真はすぐに元に戻ったけれど、その時の高揚した気持ちまで一緒にくしゃくしゃになってしまったような気がする。
そして、少年の姿をしたアンドロイドを大人げなく責めてしまった自分が、とても狭量な心の持ち主に思えた。



本日もお読みいただきありがとうございます。
あっくんの心の中に生まれた「もやもや」。
初めての感情に、あっくんは戸惑っています。
(´・ω・`) 「もやもやする~……」

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