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隼と周二 学園の狂騒 5 

松本が列に並び、間近で人形のような隼の姿を見て、小鼻を膨らませて興奮している。
「うっわ~、ねんね、超・可愛い~。すげぇ」
周二はクラス代表のボディガードとして、仕方なく苦虫を噛み潰したような顔をしてそこに立っていた。
「護衛といっても文化祭なんだから、一応は君も制服じゃなくそれらしい恰好をしてくれるかな」
生徒会長を睨みつけたが、一応向こうの言分がもっともなので、しぶしぶ流行の執事の恰好をしていた。
元々、モデル体型なので黙っている分には、雑誌から抜け出たようだった。
遠巻きにちらちらと女子が熟れた視線を送っていたが、さすがに「いらっしゃいませ、お嬢様」とは言わない。

「あ、松本さん?ぼく、変じゃない?おかしくない?みんな、いなくなってしまったの」
「ねんね、あうっ!俺も、急にトイレに用事が~・・・」
「松本さん、今日もおトイレなの?おなか冷えちゃったの?」
「ねんね。今度から、めのほよう、その恰好にして」
「顔で皮膚呼吸できない気がするから、やです~。それに、ぼく漢(おとこ)ですからっ(`・ω・´)きりっ!」←隼。
周二は呆れた。
赤ずきんちゃんに漢(おとこ)ですからって(`・ω・´)←こんな顔で言われても、可愛いだけだぞ、隼。
それから、眠り姫の恰好に着替え、疲れ果てた隼は休憩に入ると憧れのラブシートで、文字通り眠り込んでしまった。

裏口から、粗大ごみの収集車が入ってきた。
作業着を着た彼等は、ラブシートの眠り姫をそっと抱え上げると、これもかな……と呟くと大きな箱に入れてしまった。
学園祭の余分な大道具、小道具、必要のない備品、毎年この時期に一掃することになっている。
美術室の割れたマルスの石膏像、家庭科室のわらの出たトルソー、そんなものと一緒に隼は持ち出されてしまったのだ。
気が付かない作業員もどうかしているが、不注意な彼には大きさから見て、隼を愛用の「恋するアキちゃん」と同じようなものだと思った。
何しろ、どう見ても人形にしか見えないのだから、仕方がない。

がらくたを入れた箱の行く先は……?
さすがに、荷台の振動に気が付いて軽トラックのがらくたの箱の中、隼は目を覚ました。
だが、眼鏡もコンタクトもないから、周囲の状況が分からない。
箱の中から、顔だけ覗かせると車がどこかに向かっているのだけは分かった。
「え~?ここ、どこ?周二くん~、何で、ぼくこんな所にいるの……?」

ぼうっとした作業員は、やがて車を止めると荷台のがらくたの入った箱をひっくり返した。
産業廃棄物は、最近細かな仕分けが必要になっていたからだ。
「いった~ぃ」
箱の中から転がりでた等身大の金髪人形に、作業員は腰を抜かさんばかりに驚き、次いでそっと手を伸ばしかけた。
「すっげ、この人形生きてるみてぇ」
大きな目を見開いた、「恋するアキちゃん」の人間版は、作業着の自分を熱のこもった目で見つめて誘っていた。(としか、思えなかった)
「とうとう俺の思いが通じたんだ、アキちゃん。人形のときはあんな間抜けな顔で、マグロだったのに」
ダッチワイフと比べるのは、いくらなんでも酷すぎると思う。

ともかく。
何が何だか分からない隼は、じっと作業員の動向を見守っていた。
いきなり抱きしめられて、驚きのあまり声も出せない隼は、ただ口をパクパクさせているだけだった。
「アキちゃん。俺が欲しいの?そんな口をパクパクさせて。でも、今は仕事中だからコンドームも持ってないし、本当はちょっと待ってて欲しいけど、今、兄貴いないし軽く抜いても平気かな。やっちまうか~」
抱き寄せられて、呆然としたまま仰向けに転がされた。
「いつものとおり、お願いします、アキちゃん」
ズボンのバックルをカチャカチャといわせ始めた段階で、さすがに嫌な予感がした。
「え?」
目の前で焦点が合ったものに、危うく卒倒しかけた。
ぴんくじゃない雄雄しいぞうさんが、迫ってくる。
隼はここに来て、やっと自分の置かれている立場を理解した。
「これって、これって。すっごく大変?ぼく、ピーンチ?」
「そうだよ、アキちゃん。おれ、もうこんなになってるんだ。お願いしますっ!」
ジャングルの雑林を蹴散らして、野生の象が餌場に向かう、そんな荒々しさを持って作業員のぞうさんが雄たけびを上げた。
「ぱお~っ!」
「きゃあっ」






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