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隼と周二 天使の折り鶴 後編 

見舞いに訪れた周二が、ふと何気なく言った。
「俺さ、この病院で昔、天使に逢ったことあるんだ」
「天使?」
「ああ、親父が抗争に巻き込まれて、ひと間違いで撃たれた時にさ、空からいっぱい白い千羽鶴を降らしてくれたんだ」
「ふ~ん」
「季節はずれの花が散ってきたのかと思ったんだけど、折鶴だったんだ」
隼は、不思議そうな顔をしていた。
「隼は、俺が見た天使を信じる?」
「周二くんは、ぼくに嘘を言わないもの。だから、きっと見たのは本当の天使だよ」
柔らかい頬に、周二はそっと指で触れた。
「あれから、ずっと探してたんだ。やっと見つけた」
「なぁに?」
胸に引き寄せられて、不思議そうに穢れのない瞳が見上げて揺れた。

数ヶ月前、ずっと忘れられなかった天使の面影が、まぐれで受かった高校の入学式にいるのを見つけたとき、周二の心臓は痛いほど跳ね上がった。
何があってもどんな手を使っても、あの清らかな天使を捕らえて、自分の鳥籠に入れてそばに置こうと覚悟を決めた。
指先が震えるほどの感激を押さえ込みながら、「沢木隼」と言う自分が欲しくてたまらなかった天使と同じ顔を捕らえるため、周二は緻密に策を練った。
天使にし掛ける罠を考え、木本も引き込み実行した。
掴まえた後は、がんじがらめに逃げられないように重い枷をかけることにしていた。
手段は選ばない。そう……例えば払えないような偽りの高額の借金をさせてしまい、脅して質にとってしまう。
疑うことを知らない天使の顔の少年は、悲しげに俯いたまま思いのほか簡単に手に入って、周二は狂喜し有頂天になった。
ただ実際に捕らえた天使は、過去に羽を失って今も背中に癒えない傷をもっていると周二は知る。
捕らえたつもりだったが、いつしか自分の方がそんな天使の虜になっていた。
「あれは、やっぱり隼だったんだな。俺が見たの白い服だった。あれ、きっとこの病院の子供用のケアねまきだ。やっと思い出した。面差しが似ているはずだ。俺が捕まえた天使は、あの時の天使だったんだから」
話が見えなくて、隼は困ったように小首を傾けて微笑んだ。
「ぼくのこと?天使なんかじゃないよ。肩甲骨じゃ飛べないないもん」
「そうか?軽いから飛べそうだけどな。」

違うという眼前のこの愛すべき綺麗な生き物は、それでもやはり穢れのない天使なのだろうと周二は思う。
抱き上げて、いつも沢木がするように、膝の上にすとんと乗せた。
「隼」
「ん~?」
「このぴんくのゾウさん、食っちまってもいい?」
「ぱお~(`・ω・´)」←通訳「食べられませんよ~」
当然、隼の介護ねまきの蝶々結びは、今回も沢木に教わったとおり解けないカタ結びだったが、周二はとうにこつを覚えていた。
指を添えて、清らかな茎を優しく上下にこすりあげた。
「あ……っ!」
追い詰められて行き場を失った指先が、きつくもがくように周二の両腕を掴む。
「だ、だめっ、しゅうじ、くん、ああぁっ。き、きびしくなっちゃうから」
「きびしくなっちゃうって、何が?」
くすっと意地悪く覗き込む周二に、薄く涙をためて隼が抗議した。
「わ、わかんないけど。怖いから、やなの。意識が飛んで、どこかに行きそうになるから、や」
本当なら、自慰も何度もしている年齢のはずなのに、湧き上がる快感の波が怖いといって、隼は俯いた。
睫毛に震える滴を認めて、周二はやりすぎたかなと、両の手で小さな顔を挟み込んだ。
「怖がらなくていい。急がないよ。時間はいっぱいあるもんな」
「ん。あのね。ぼく、言っておきたいことがあるの」
きゅと目を瞑って、涙を払うと周二の胸で見上げるようにして隼は言った。
「周二くん。待っててね。ぼく。漢(おとこ)として、周二くんのことちゃんと抱くから。がんばるから。」(`・ω・´)隼、ほんきっ!
「え?え?えっと~?はい?今、何て?」
思わず似合わね~と脱力した周二だったが、幼い恋人はどうやら本気のようだった。
「生徒会長も、「愛」を教えてくれるって言うし。傷つかない安全な方法も、本を借りてきちんと勉強しますっ」
周二は内心慌てふためいていた。
「何、その男前発言。おまえ、俺に突っ込む気なの?抱くはいいとして、おまえ、生徒会長に習っちゃまずいだろ、あんなのやられたら、まともなセクス、あわわ……できなくなるって!」
「だって、「愛」はすごくきもち良いって言ってたもん。じゃあ、木本さんに習う」
「それも駄目。あいつにかかると、下手すると死ぬ気がするから。まあ、そういうことは、おいおいな。また明日来るわ。じゃな、隼」
噴出しそうになるのを堪えて、周二が後ろ手に戸を閉めて去ろうとしたとき、背後から聞こえた。
「周二くん!」
ぴんくのゾウさんのくせに、何をがんばろうとしてるんだか。
泣きそうな顔の恋人に、一番やさしく見える(はずの)笑顔を向けてやった。
「どした?」
「だって、ぼく、真面目に話してるのにっ」
「そうだなぁ、隼はいっつも一生けんめいだな」
「しゅうじ、くん……あのね。キスして」
漢(おとこ)をあっさりと脱ぎ捨てて、いつもの隼に戻った。
「もう、身体は平気なのか?」
「ん。不思議だけど、周二くんの体温を感じると、ぼく、すごく安心するの」
指先を絡めて、頬に寄せた。
他愛もない会話が心地よかった。

腕の中に抱き込みながら、このぴんくのゾウさんを突っ込まれるのもありなのかなと、ほんの少し考えて噴きそうになった。
余りにありえない想像に、周二は笑いをかみ殺すのに苦労していた。
今は、ただ俺の体温を感じてゆっくり休め、隼。
そのうち、両羽根切り取って、天井から吊るして泣かしてやるから。
「俺だけ、大丈夫なんだろ?」
「うんっ」
「だったら、できるよな?」
そういって、無理矢理拓いた狭い後孔に、全身を打ち付けてやる。
小指の先も入らなかった後孔をひくつかせて、思い通りにならない身体を硬直させて、高い声で啼け、隼。
細い腕だけで身体を支えるのは辛いと、ゆっくりと腰を振って甘えてみろ。
骨が軋むほど、抱いてやるから。
いつか、安心しきって懐で眠ってしまった愛おしい恋人の甘い匂いを嗅いだ。
痛ましい過去から生還した天使は、恋人の腕の中にいた。






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