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隼と周二 任務遂行 

ぜってぇ、おかしい。
周二はぎりぎりと、いきり立っていた。
「坊ちゃん、そう苛々しないで落ち着いたらどうです?」
守役が宥める。
周二は嘆いた。
「だってよ、木本。ちょっとおかしいと思わね~?いっつもいい感じになったところで、沢木が来るじゃん。ぜってぇ、おかしいって!」
周二は勉強に関してはからっきしだが、こういうところ(だけは)妙に感は鋭かった。
確かに木本自身も、余りにタイミングよく現れる沢木に多少の疑問は抱いていたが、二度三度と来ると確かに何かあると思うのが妥当かもしれない。
セキュリティ会社を呼びつけて、色々話を聞いてみた。
「一般的に言って、GPSでしょうね」
GPSの存在は、木本の想像通りだった。
簡単に言うなら、子どもの安全のために親が持たせる携帯電話の位置確認機能のことだ。
確かに誘拐は、高性能のGPSの登場で減ったと言われている。
徘徊老人の位置を確かめるにも役立っているらしいが、ここはまあ関係ないので触れないで置く。

「元々、グローバル・ポジショニング・システムと言うのは地球の位置を確かめるために、軍事的に開発利用されたもので、その範囲はゆうに……」
「もう、いいって。あの、くそ親父のやりそうな事じゃん?何とか、裏をかけりゃいいってことだよな」
つまり隼が携帯電話を持ち続ける限り、GPS機能とやらが働き、いいところで沢木が現れるという構図はかわらないと言うことだ。
だったら?もし隼が携帯電話を持たなかったら?
持っている携帯電話を取り上げて長距離トラックの荷台にでも載せてしまえば?
どんなに助けを呼んでも、隼がどこにいるか分からなかったら?
位置情報に翻弄される沢木を思い浮かべて、周二は守役の松本と目を合わせた。
「なぁ?」
「そうっすよねぇ」
「やれるじゃん」

あんなことしても?
こんなことしても?
許されるんじゃね?
心ゆくまで拡げても?
四肢を開いたまま拘束して眺めても?
隼のあそこに、きゅうりやらアスパラやらいろいろと入れてみて弄り倒しても?
濡らした指を一本ずつ増やしていって、限界まで広がって薄く敏感になった入り口を舐めてみても?
「あんっ、しゅうじくん」

蟻の門渡りを舐めると、隼の背筋がそそけ立つぜ。
青い胡桃を転がしても、あいつは来ない……?
「……まじで、やりたい放題じゃね~か?」
思わず狂気(喜じゃない気がする)乱舞で小躍りの周二だった。
「人間、真面目に生きてれば神様が御褒美くれるって本当だなぁ、松本」
「そうっすねぇ、周二坊ちゃん」
「お前、しょっちゅう隼を触り倒しているけど、今度ばかりは遠慮要らないからな。俺が許す」
「え?まじっすか?」
「今後のおかず用に、本格的に撮影会を決行します」(`・ω・´)きりっ!←周二
「うわ~、楽しみだなぁ」
「今夜こそ、声が枯れるほどあんあん言わせてやるぜ、隼っ」

二人は完璧に任務を遂行するため、上機嫌で大手家電店へと走った。
「録画するなら、やっぱ画素数大事っすよね」
「おうっ!肌の質感が違うからなっ。保存用だしなっ!」
「出来ればいっそ、3Dにしてぇくらいだがなっ!」
「いいっすよねぇ。4kのぴんくのねんね……」
「テレビ大型に買い替えしといて、正解だなっ!」
「さすが、周二坊ちゃんです。よっ、4代目っ!男殺しっ!」
「バカ野郎っ、女はともかく男は隼独りだぜ」

二人は嬉々として、キングサイズのベッドサイドに三点、ビデオをセットした。
抗った隼が、掻いた足で蹴っても届かないように。
喘いだ顔が、アップで撮れるように。
勿論一台は、手撮りで。
「やべぇわ。想像だけでチンコがちがちになっちまった」
「仕方ないすよ。お預け長かったっすからね」
想像だけで、トイレで2回手コキした。
虚しい行為だったが、後を思えばなんでもなかった。

「周二坊ちゃん、こんなものがありましたよ」
「なんだ?}
ベッド脇のサイドボードの引き出しから、古いディスクが出てきたと松本がという。
「懐かしいっすね。木本の兄貴の伝説のビデオです、見ますか?周二坊ちゃんも。俺、まだ見たことなかったんっすよね、噂には聞いてたけど」
「ん~、まだ隼が来るには時間もあるしな」

過去には綺麗なお姉さんを騙した後、逃げないように脅す材料として、ムービーを回すことはよく在った。
それも立派ないけない事なのだが、守役の木本は何だかんだといって女の扱いには長けていた。
今も、両手に余るくらいの女を連れて、多額の金を貢がせていたが過去には今以上に名を馳せたらしい。
どれほど凄腕かと言うと、多くの女を騙したが、一度も警察沙汰になったためしがない事からもわかるだろう。

それは、木庭組直営ホストクラブの新人が、必ずお世話になるという「実践・木本」と言う伝説のマニュアル・ムービーだった。
今やちょっとしたプレミアが付いて、出回っているものはダビングにダビングを重ねた質の悪いDVDだった。
その内容はといえば。
騙した挙句連れてこられた女の、初花を手ひどく散らした後、泣くのは女ではなく木本の方だった、という所から始まる。
「こんなやり方でしか、俺は愛せないんだ……すまん。俺の側にいたら、お前が不幸になると分かっているのに、手放せないんだ。〇〇……」
注:〇〇には、あなたが騙した女の名前を入れましょうと、字幕
「真人(まこと)さん」
注:ホスト当時の木本の源氏名ですと、字幕
「本当の誠(まこと)なんて、どこにもありはしないんだ。(苦しそうに)だけど、もしほんの少しでも俺の中に信実(まこと)ってヤツがあるなら、それはお前に向けた気持だけだ」
注:できるだけ子どものように、無防備に泣きましょうと、字幕

二股がばれた時の言い訳もすごい。
見事なまでの金の無心、キャバ嬢にヘルスへの店変えのお願い、これでもかというほど清々しい顔の木本の鬼畜っぷりが伝わる。綺麗な男は、さすがに自分の武器を良く知っていると、思わず二人は感心した。
「やるなぁ」
「まじ、勉強になりますねぇ。いまだにダビングされてるわけだ」
「特に、浮気がばれた時のは参考になるな。メモっとこ」

周二はうっかり画面に見入っていて、隼を呼び出したのを忘れていた。
少しでも肌の当たりがやわらかくなるように、麻縄を台所でエプロンかけてことこと煮込んだのに。
下手に縄が伸びると、血管を余計に圧迫するから、素人は綿ロープか麻で短時間勝負というのは、知り合いの専門家から聞いた。
その後、ダイロンで紅く着色したのは、真白い隼の肌に咲いて映えるのは、やはり紅い華だろうと思ったからだ。
通販で「縄大全」を買って、真夜中密かにばかでかいキューピーを抱え、亀甲と菊花の縛りの練習をした。
「あっん、いたく、しないで……」
キューピ-の目が潤んだ。
「任せろ。お前は感じていればいい」
ついでに一応、もののはずみで必要になるかもしれないから、低温ろうそくとブルーシートも準備した。
用途が違っても大丈夫なように、サイズも周到にそろえた。
「もうすぐ来るころだな」
大張り切りで、隣の部屋に飲み物を取りに行ったら、置手紙が在った。

『周二くんが忙しそうなので、寂しいけれど、ぼくはおうちに帰ります。またね、隼』

「うっそぉ~、隼!?またねって~!?俺はお前の、おまたに重要なミッションがあるんだよ~~っ!こんだけ準備したのに~!」

ちょうどその時、テレビで、懐かしいバスケットアニメの再放送が流れ始めた。
主人公のチームメイトが、暗闇から光に向かって腕を伸ばしていた。
何も失ってなどいないのだと、優しい声で包み込むように告げるのはチームの監督だ。
「あきらめたらそこで試合終了ですよ」
「安西先生……バスケがしたいです」

安西先生。
俺は隼とえっちがしたいです。
「隼~~~~!!!」
夕暮れの空に、狼の遠吠えが響く。
どこまでも切ない周二だった。






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