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隼と周二 愛犬志願 2 

トイレから戻ってきた周二くんは、大きな箱を抱えてちょっとうれしそうにしていた。

「ほら、隼。好きなの選べ」
「なあに?これ、犬の?」

箱に入っていたのは、たくさんの首輪。何でこんなにあるんだろう?
手錠は重くて、手首に痣が付くから動かしたくない。
困っていたら、一つずつ取り上げて、周二くんがぼくの首に合うサイズを探して嵌め始めた。
「重いよ……」
幅の広い首輪は大きな鋲が打たれていて、肩にずんと重みがかかってつんのめって倒れそうになる。
「これ、やだ」
倒れそうな身体を、前のめりになって何とか支えた。
ぼくはこんな首輪を嵌められて鎖で繋がれて、周二くんのおうちの番犬になって、このままおうちに帰れなくなるのかな?
大好きなパパと、もう会えなくなるのかな?
そう思うと胸の奥がつきんと悲しくなってくる。
「隼?」
ちょっとだけ涙が出た。
「どうした?」
「大丈夫。車に自転車をぶつけたのも、とらさんのカーペットにうんちつけたのも、ぼくだもん。弁償します。」 (`・ω・´)きりっ!←隼


「う~ん。SM用の金属でできたやつは、軽いしスマートだけど、ねんねには似合いませんね~」
箱の中を物色した挙句、これなんかねんねにいいんじゃないっすかと、木本さんが取り上げたのは、「うちの愛犬日本一」と書かれた桐箱だった。
中に入っているのは西陣織の名工が織ったという、超高級品の一点モノの首輪だった。
「周二坊ちゃん、これなら首に当たる所丸く加工してあって軽いから、ねんねにはいいんじゃないっすか」
「こんなの、いや。周二くん、ぼく、首輪なんて、いや、いや」
どんどん悲しくなる。
犬になって、周二くんのおうちにつながれてしまったら……
長い鎖を引きずって、ご飯とお散歩を待つだけの暮らしになってしまったら……
飼われたぼくに、周二くんが飽きてしまったら?

「隼」
周二くんは、にこにこと優しい笑顔を向けた。
涙が零れそうになってるぼくを、周二くんが背後からふわりと包み込む。
「大丈夫、怖い目になんてあわせないよ。ほら、ちょっとだけ、そうっと付けてみるだけだから。な?」
優しく宥められて、つい頷いてしまった。
「あっ、隼!めっちゃ可愛~い!やべぇ~~!あぁ~~っ!!殺人的に悩殺的に、超可愛~い!」
「きゃあ」
首輪をつけた(だけの)隼を押し倒して、妄想王子周二は叫んだ。
鎖の重さにちょっと涙目になって見上げてるところも、剥かれた腰のラインも半端なくそそるぜ、隼。
使い道はちょっと違うかもだけど、「うちの愛犬日本一」を作った首輪職人、いい仕事だぜ!

明日になったら、耳付きカチューシャを買ってきて付けてみよう、隼。
そしてバイブの付いた大きなしっぽを後孔に嵌めて、リードをつけてお外にお散歩に行こう。
「周二くん」
トイレもきちんと足上げてするんだよ、ちゃんと見ててやるから。
後から見たら、小さな隼のたまたまが、ふるふる恥らって震えているのが丸見えだ。
俺の大きなソーセージを、しっぽをぶんぶん振って本気で欲しがれ、隼。
涙目で咥えて、喉の奥で受けとめて泣け、隼。
蜂蜜でもミルクでもぶっかけて、気絶するほど何度でも「おかわり」させてやるから。
「ああ、隼。まじ、たまんねぇ」
腕の中できゅ~んと顔を寄せて、切なく喘ぐ子犬の毛を撫でた。
今日から、ずっと一緒だよ。
「周二くん」
「新しい餌入れ、明日帰りに買いに行こうか。新しいリードも買おうな」
「周二くん。ねぇ、妄想中?」
「このまんまずっと永遠に、檻につないで側においときたいぜ、隼」
「周二くんってば。ずっと、ぴんぽん~って鳴ってるよ?いいの?お客様みたいだよ?」
「いいんだって。恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえっていうだろ?」
何度も玄関チャイムを鳴らした客が、焦れてドアを開けた。
「……誰も、いねぇのか?」
「あ!パパだ!」
文字通り、隼が尻尾を振って現れた飼い主に飛びついた。
「げっっ!!くそ親父」

『悪魔が来たりて、笛を吹く』

昔、そんな恐ろしいタイトルの映画があった。






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