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世良兄弟仇討譚 長月の夢喰い(獏)・6 

獏(ばく):体は熊、鼻は象、目は犀、尾は牛、脚は虎にそれぞれ似ているとされるが、その昔に神が動物を創造した際に、余った半端物を用いて獏を創造したためと言われている。
人の悪夢を喰う。
※加虐表現があります。苦手な方はお読みにならないで下さい




坂崎家の奥深く、格子部屋(座敷牢)にはきつく縛された瀬良弥一郎の姿があった。

手足を縛められ、梁から下げられた鉤に高く釣られている。
足の間には、青竹が肩幅よりも広く入れられ、膝が決して閉じられないようにされていた。
弥一郎は息も絶え絶えに喘いでいた。

「おのれ、坂崎……いっそ、殺せっ……父上のように、背後から斬りつけて路地に捨て置けばよいっ」
縄目が解けても、決して逃げられないように二重三重の枷がかけられている。
小者達が両腕を絡めとり、胸を舐る。
彼らは、喜色を浮かべて思うさま弥一郎の男根を蹂躙していた。

弄られる弥一郎の肉鞘を、坂崎の目が見つめていた。
「そら。城代様のお声がかりじゃ。もっと、励まぬか。その程度では仕置にならぬ」
励ますように、奴(やっこ)の声が飛んだ。
両の手は括り上げられ、裸体に袷一枚の瀬良弥一郎は、今や男どもの慰み者となっている。
前にも後にも、逃げ道はなかった。
弥一郎は、ひたと坂崎を睨みつけたまま、唇をかみしめてひたすら耐えていた。

事が露見した場合、瀬良の遺児が坂崎采女の家に押し入ったのを、坂崎が捕縛して手打ちにしたということにすればよい。
城代家老ともなれば、狼藉者に対する無礼討ちなど、町方風情に届けずとも言い逃れはできた。
一方的な「お取り調べ」は城代に一任されることになるだろう。

武家には武家の流儀がある。
婚礼前の家老の息女に懸想した上、姦淫するなど、切り捨てられても文句は言えない。
切り捨てられた方がどれほどましであったか、その身に教えてつかわすと耳朶を舐め上げられ、弥一郎は呻いた。
今や、自分が書いた仇討の筋書きと、現実は違いつつあると、理解していた。
美しくたおやかに成長した静を瞼に浮かべ、婚儀を台無しにした身勝手な自分を詫びた。

「父に似て、たいそう美々しい男振りよのう。6年ものすさんだ暮らしが凄みをあたえたようじゃ。そなたの父も、幼い頃より愛らしくずいぶん可愛がって進ぜたが、どれ、そなたの後庭も父と同じように、可愛がってやろうぞ」
「くっ……は、はなせっ!恥を知れっ、坂崎」
「そういうのを、負け犬の遠吠えというのだ」
膝裏を抱え上げて、坂崎采女が前からぐいと異物を押し当てた。
背後からは、小者が裏から自分の肉をもう一本、弥一郎にねじ込もうとしていた。
坂崎は、父の念兄でもありながら父を裏切ったのだ。

「念兄でありながら……何故、父を討った?」
歪んだ笑みを浮かべると、知りたいかと不遜な笑みを向けた。
「知れたことよ。そなたの父は、このわしよりも殿の方が大事だと言いおったのよ」
「そ、それは、禄を食むものなら……誰しもお家大事が道理ではないか……ぐうっ」
父の言い分は当然のことだと言おうとして、菊門を塞ぐ忌まわしいものの質量に言葉を失った。
坂崎は狡猾な笑みを浮かべた。
「何を言う。誰よりも何よりも、わしが大事だと言いおきながら、殿に忠誠を誓う二心を許せるはずもない。忠行はわしを裏切ったのだ」
弥一郎の髪の元結が切れて、ばさりと捌けた。頭ががくがくと揺れる。

「……来い、忠行。初花を散らした日のように、わしの前にひれ伏し詫びを言うまで、存分に弄ってやろう」
「ふざけたことを……わ……わたしの名は、弥一郎だ」
「何を言う。わしが、お前の名を間違うはずもない。忠行、こうして何度も人目を忍んで契ったではないか。固くしこった竿を互いにこうして合わせての……」
必死に抗う弥一郎の縛められた腕に、血の筋が流れた。
「離せ、離せっ!ああ……っ、この狂人が父上を」
「そうして拒みながらも、結局は尻を振るのだ。のう、愛いやつめ。わしの悋気も知らず勝手に嫁取りなどしおって」
「わたしは、父上ではないっ、おのれっ、父上を亡き者にした後まで辱めるとは……ああっ、ち……父上ーーーーーーーっ!!」

采女の手にした竜頭の張り型でぐいと抉られ、思わず弥一郎は父の名を呼んだ。
どれほどもがこうと、逆さまに彫られた鱗は肉筒に絡みつき、決して抜けないように細工されている恐ろしい淫具だった。
目も霞む酷い痛みに、おそらく菊門が裂けたのだろうと理解した。

父の受けた背後からの刀傷には、理不尽な男の嫉妬が隠されていた。
そして、今や、狂った螺旋は子である弥一郎に向けられている。
坂崎采女の口から語られる事実に、弥一郎の薄れゆく意識は一瞬冴えた。
「卑怯者……恥を知れ、坂崎……そのような身勝手な理由で、父上を……」
「不服か、忠行?この先、わしを捨てて殿の元へと走るならば、お主の愛しい幼子が路頭に迷い、内儀がどうなっても良いのだな。裏切りは決して許さぬぞ」
「う……裏切ったのは、父上ではない……武士の道をうぬが踏み外したの……だ。坂崎……城代家老の要職にありながら藩を、・……殿を裏切る獅子身中の虫め、この痴れ者っ。……外道め……」

ふと、朦朧と意識が飛び視界が暗くなる。
視線を落とせば、足の間に大量の血の溜まりが出来ていた。
このまま、失血して死ぬのか……
「まだ、殿を一番だというか。そなたにとって、誰が一番大切か、もう一度その体に聞いてやろう忠行……きつい仕置きが要るな」
血走った鬼人の顔で、坂崎采女が刀を抜き、刀身をちろと舐め上げた。







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