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秋色トレイン 3 

気が付いて、ふと手の中を見るといつの間にか切符がある。

「幸せの国ゆき」と、書かれていた。

紙飛行機を飛ばした西の窓いっぱいに、プラットホームが広がり売り子のお姉さんが、アイスクリームはいかがとやってくる。
紅い紅葉が、夕陽に映えてきらきらと、とても綺麗だった。

「ぼくたち。お金、ないんです」

願いの叶うその切符があるなら、いくつでもどうぞと、優しげなお姉さんがぼくと里にアイスクリームをくれた。

「おにいちゃん、おいしいねぇ」
「ゆっくりお食べ、里……おなか、痛くなるといけないからね」

夢なら、どうぞこのまま覚めませんように。
里のおなかがいっぱいになりますように。

電車が走り出し、こととん、こととん……レールのつなぎ目が、いつしか眠気を誘う。

このまま列車はどこへ行くのだろう。

「幸せの国ゆき」……それは、どこ?

ぼんやりと、これから行く先には、お父さんとお母さんがいるような気がしていた。

『おにいちゃん』

耳元でささやく里の声に、薄く目を開けた。

『だいすき……』

白い壁が目に入り、その向こうに物言わぬ里が栄養チューブに繋がれていた。






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