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隼と周二 聖なる二人の星月夜 前編 

やっと暖まってきた部屋、ぼくは固く縛められて、広いベッドの上に転がされていた。
ぼうっとした頭で、何でこんな事になっているのか懸命に考えた。
向こうにぼくの大好きな周二くんの、広い背中が見える。

「帰りに俺ん家で、ケーキ食おうぜ。隼の好きな、でっかいイチゴの乗ったやつ、注文しといたから」
「マンモスイチゴ?ほんとっ?周二くん」
「おうっ!隼の好きなやつな」

いつも、周二くんの切れ長の眼差しがぼくをじっと見るとき、熾き火に強い風が吹いたように熱くなるのを感じていた。
内側からじりじりと焦がれるように、まっすぐな視線がぼくの内側を焼いている。
パパが言うから、純愛はパンツ脱いじゃいけないけど、そんなときはどきどきして体の中が熱くなってくる。
周二くん……あのね。
ぼく、周二くんと一緒にいると時々背筋がずくんとして、パパとの約束破りたくなるんだよ。

「お、気がついたか?」
「うっ……?」
「心配するな、体に残らない軽いやつだから」

後ろ手に回された腕が、痛んだ。
自由を奪われた芋虫は、持てる力を振り絞り、身体を捩って虚しい抵抗をした。
わけがわからなくて、涙が溢れる。
どうして?
こんなことをしなくても、いつだってぼくは周二くんが……。
頬にそっと、周二くんの冷たい唇が寄せられ涙が吸われた。

「悪いな、隼。もう、靴下ぶら下げて、サンタ待ってるガキじゃないんだ。欲しいものは、てめぇで手に入れる事にしたんだよ」

肉食獣の強い意志を持った瞳で、周二くんがぼくを冷ややかに見下ろしていた。
ぎしとスプリングが軋む音がして、ぼくを喰らう綺麗な獣が胸元に這い上がってくるのを見た。

二日前のぼくと周二くんの会話。

「ねえ。クリスマスにはね、きっと周二くんにプレゼントが届くよ。待っててね」
「へぇ……俺の欲しいものをサンタは知ってるかな」
「ん。きっと知ってると思うよ」
「そうか。欲しいものあるんだ、俺」
「届くといいね」

一方的に笑顔で交わした、他愛のない会話の中にすれ違う思惑。
ぼくは、大好きな周二くんに、周二くんが欲しがる「ぼく」をあげたかった。
柳のようにやり過ごしながら、周二くんの本気を、本当はいつだってぼくは知っていたから。
周二くんのおもちゃ箱には、たくさんのきらきらしたビーズのボディクリップと綺麗な色のペニスリングが入っている。
綺麗なパールでできた、コックリングビーズストローカー。
周二くんはきっと、ぼくに付けてみたいんだよ。

ぼくも……誰にも内緒だけど、平らな胸にあるささやかな乳首を煌く宝石で飾って、赤いリボンをぼくのちっぽけなペニスにくるくると掛けて……いつか周二くんを誘ってみたかった。
周二くんの筋張った細い指が、そうっとぼくの大人になりきっていないぞうさんに触れる。
焦れて乱暴にされるように、うんと甘く煽ってみたかった。
周二くんがベッドの下に隠している本には、そんな写真がいっぱい載っていた。
だから、同じ格好をしてあげたかったんだよ。
周二くんはそんな写真を眺めた後は、決まってぼくを眺めてため息をつく。

「くそ~、隼。早く、大人になれよ」
「(`・ω・´) 大人です~……」

でも……ね。
ぼくがそんな思い切ったことしたら、周二くんに軽蔑されるかもしれない。
周二くんの知っているぼくは、いつまでも何も知らない小さな子供みたいだから。
本当は、ぼくのほうがお兄さんなのにね。
いつものぼくじゃなくなって……ぼくが心のままに大胆なことをしても、周二くんが嫌わないでいてくれる保障はどこにもなかった。

一体隼は何を考えてるんだ、男同士でやるなんて冗談にきまってるじゃねぇか……そんな、嘲笑と侮蔑も覚悟して、とうとうぼくは決心した。
何度も何度もおっぱいの零れ落ちそうなおねえさんと、抱き合ってベッドにいる周二くんを見たことがあった……
きっと、周二くんの本気のセクスの相手は女の人なんだ。
それでも、ね……黒塗りの車にぶつかりそうになったぼくを、抱き上げてくれたあの日から、ぼくは周二くんをずっとずっと好きだったんだよ。

きっとこの戒めは、赦されない恋をしたぼくへの罰だ。
周二くんを大好きすぎて、おかしくなりかけているぼくは、こんなことをされてもやっぱり周二くんが好きだった。

剥かれて浜に転がされた赤剥けの白兎のように、裸で戒められたまま、冷えた心を抱えてぼくは声も出せずに泣いた。




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