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Caféアヴェク・トワ 君と共に20 

照れ笑いを浮かべた松本は、直の双眸に盛り上がった雫を認めて慌てた。

「あっ……迷惑だったか。自分の気持ちだけ押し付けちまって、悪かった」
「違い……ます。……そんな風に思ってくれているなんて、嬉しくて。期待しないようにしていたから」
「なんでだ?」
「片思いかもしれないって思ってました」
「はっ?」

松本は唖然とした。

「片思いって……直……何を言ってるんだ。俺は何度も好きだって言っただろ?何度も抱いたじゃないか?」
「そうですけど……」
「お前、好きでもない奴の為に、俺がこんなに必死になると思ってたのか?」
「だって、店長は誰にでも優しいし……おれはいつだって、ひとりでぐるぐるしてばっかりで、みんなに心配ばかりかけて……でも、店長に嫌われてなくて良かったです」
「あのな~、直……まじかよ」

何度、肌を合わせたかも知れないのに、直はそんなことを口にした。腕の中で何度も好きだと言ったはずなのに、届いていなかった思いに愕然とする。
ただ欲情に任せて直を抱いたことなど一度もなかったはずなのに、どれほど思っていても、簡単に伝わったりはしないのだと、松本は直を抱き寄せた。

「いいか?俺には直だけだ。こっ恥ずかしいけど、言葉にしなきゃ直には伝わらないみたいだから言う。」
「おれも、男らしくちゃんと付き合ってくださいって言えばよかった」
「俺は付き合ってると思っていたんだがな。つか、俺は大分前から恋人同士だと思ってたぞ」
「うふふっ、嬉しいです」

どこかかみ合わないのは、直の茫洋とした性格のせいだろうか。
それとも、これまでの報われない恋愛のせいだろうか。

「えっと……ともかく俺と直は恋人同士ってことで良いんだな?」
「はい。よろしくお願いします」
「それとな、えっと、恋人同士なんだから、そろそろその店長って呼ぶのはやめにしねぇか?」
「……店長でなければ、なんて呼べば」
「匡(たすく)ってんだ、俺の名前」
「匡さん……?」
「歪んだものを正しくするって意味があるらしい。笑っちゃうだろ?生まれた時に、親が期待してつけたんだろうなぁ。散々、歪んで生きてきたってのにな」
「おれ、名前の通りだと思います。だって、店長……匡さんは、おれのこともまっすぐにしてくれたから」
「直……」
「感謝しています」

見つめる熱い視線にいたたまれなくなった松本は、ふと眼下に視線を泳がせ、白い日傘をさす人を見つけた。
ふとこちらを見上げた女性と視線が絡み、思わず「ヤベ」と口にする。なぜ、ここに来たのだろう?とりあえず、墓所で押し倒してなくて良かった。(心の声)

「あ、おばあちゃんだ」
「何ですか、あなたたちは。ここまで来たのなら、先に家に寄って挨拶くらいするものでしょう」
「ご無沙汰してます。もしかして、俺たちがここにいることを知っていらしたんですか?それとも偶然ですか?」
「呆れるわね。駅前のタクシーを使ったでしょう?うちの系列会社ですもの、古株の社員なら直の顔くらい知っていますよ。まったくもう、こんな暑い中、年寄りをこんなに歩かせるなんて、ひどいわ」

ここまで来たのは、自分が決めたことだろうにと、汗をかいた祖母の理不尽な文句に、思わず顔を見合わせてしまった。




本日もお読みいただきありがとうございます。(*´∇`*)

(/・ω・)/「へっ!?」←松本

やっと名前が出てきた松本です。


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