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Caféアヴェク・トワ 君と共に14 

最初に足を運んだのは、駅前の有名店だった。

「あそこです、店長。外の赤いテントが目印です」

新進気鋭のパティシエはフランスで大きな賞を獲って以来、テレビでも時折顔を見るようになった。
直とそれほど年齢も変わらないはずだ。

「こんな近くにあるんだったら、もっと早く来ればよかったな」
「仕方ないです。店長もおれも忙しかったですから」
「そうだな」
「ここは、このミルフィーユが人気なんですよ。バニラビーンズがたっぷり入ったバタークリームがとてもまろやかなんです。一度、お店の女の子が買ってきてくれて、ずっと気になってたんです」
「これは?チョコレートとは少し違うのか?ほら」

運ばれてきたケーキをスプーンで掬って、松本は直の口元に運んでやった。

「ミルクチョコとアーモンドのプラリネペーストです。すごく濃厚なのに、甘すぎなくておいしい。店長……あの、自分で食べられます」
「遠慮しなくてもいい」
「……さすがに、人目が気になりますから。さっきから、後ろの席の高校生がじっと見てるんです」

客の女子高生が、くすくすと笑いながら様子を窺っていた。
直の耳には、BLという聞きなれない単語が届いていた。

「この恥ずかしがりやめ。直がいいというなら、膝の上に乗せて食わせてやってもいいのに。ほら、いいから食え。あ~ん……」
「……あの……それは、二人きりの時にお願いします」
「そうか?フォーク持ちにくそうなのにな」
「行儀悪いですけど、突き刺しちゃいますから平気です」

直は、盗み見る女子高生に包帯の巻かれた手が見えるように、ゆっくりとテーブルの上に置いた。
怪我が気になって仕方がない松本は、人目もはばからず何度も食わせてやると言ったのだが、繰り返す拒絶に負けて渋々引き下がった。

*****

思いがけず出来た時間を堪能し、いくつかの店を回ったのち、二人は少し疲れて直の部屋に戻った。
互いにまとまった時間が過ぎるのを惜しむように、資料を片手にかなり歩いた。
訪れたCaféの感想を交わしながら、歩く時間も楽しいからと直が言うので、車は使わずひたすら歩いた。

「日頃の運動不足が祟ったな。あしたは筋肉痛になっているかもしれんぞ」
「さすがに少し、疲れましたね」
「やっぱり、直の部屋は落ち着くなぁ」

松本は上着をとると、大きく背伸びをした。

「狭くても、自分の場所ですから。食べたケーキはどれもおいしかったし、店長もそばにいるし、今日はいい日でした」
「そうだな、それより手は痛まないか?数時間経ったら痛みが出てくるって、医者が、言ってただろう?我慢するなよ?」
「大丈夫です。でも毎日こんな風に食べ歩きばかりして過ごしていたら、太りそうですね」
「そうだな。まぁ直は痩せすぎだから、ちょうどいいさ。こんな事でもなかったら、ゆっくりできないしな。そのうち、時間を見つけて二人で旅行なんぞにも行きたいな」
「いつか連れて行ってくださいね」
「おう、いつかな。直、口元にさっき食ったクリームがついてる」

手を伸ばすと、松本は恋人を抱きすくめ、口元をぺろりと舐めた。
そして、そのまま悪戯な舌先が唇をなぞると、深く侵入する。恋人は驚きながらも迎え入れ、おずおずと応えた。

「ん……っ……んっ」
「うっかり触って、傷に障るといけないから……こうしとくか」
「……え?あ、あの……店長?何……を?」

衣類を奪ってしまうと、松本は自分のネクタイを外し、寝台の柵に嬉々として直の手首を上げてつないでしまった。

「あ……」
「たまには、こういうのもいいだろ?むしゃぶりつきたいほど煽情的だぞ」
「おれ、こういうのは嫌いです……あいつのこと、思い出してしまうから……いやだ」

手の動きを封じられてしまった直が、もどかしげに身体を捩った。



本日もお読みいただきありがとうございます。
なんかBLみたいな流れに……?(`・ω・´) 「BLですから」←まじか?
(。´・ω`)ノ(つд・`。)・゚「おれ、こういうのやだ……」「直」

いつも、めそめそぐるぐるの直くん。たまには、愛されてしまいなさい。(*^▽^*)うふふ~


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