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caféアヴェク・トワの住人たち 13 【最終話】 

額の髪を払って、やさしく唇を落とす。
ちゅ……と乾いた音がした。

「俺な、直が居ない時な……すげぇ寒かったんだよ。直がいねぇと、ここの所にでかい風穴が開いたみたいになっちまって、何をする気も起きねぇんだ。俺は自分の事ですぐにいっぱいになっちまうから、直の事をどれだけ大事に思っていても、ぶっきらぼうになっちまう。これからはなるべく気を付けるから、俺が直に冷たくしても本心だと思うなよ。本当は直の事だけ考えて、朝から晩までずっと抱いていたいんだから。」
「はい。」
「直が居なくなって、ここにあいた穴の形は、きっと直の形だぞ。俺の最後のピースは直で完成するんだ。直が居ないと駄目だ。……自分でも女々しいと思うが、こんな事は初めてだ。もう直を不安にさせたりしないから、どこへも行くな。」

そんな風に言われて、直の心も騒いだ。目元が熱くなって、泣いてしまいそうだ。
誰がこれほどまでに、ちっぽけな自分を全力で欲してくれるだろう。

「店長……おれはいつだって、店長だけのものです。」
「直。」

寝台に横にならせると、心置きなくいくつものキスの雨を降らせた。
唇の落ちたところに、わざと付けた薄赤い所有印が散らばってゆく。

「首は駄目……です。見えちゃうから……んっ……」
「マーキングしてんだから、見えてもいいんだよ。」
「駄目……ですって。明日から、すぐ仕事に……あんっ……」
「直、感じる?」
「あ……あ……っ……」

服を忙しなく剥ぎ取り、パンツを毟り取った。
小さな生き物を捕まえるように、性器を優しく握りこんで力を込める。
抗って逃げようとするのを許さずに、張り詰めるまでゆっくりと擦り続けた。

「久しぶりだろ、一回、達っちゃえ。」
「あぁっ……見ちゃ……やだ。」
「見せろ。直の達くところが見たい。直は泣いても可愛いからな。」
「店長の……あっ……悪趣味……」

息を詰めて全身を小さく震わせた後、体中を染めて、直は松本の手の中に達った。
わざと音を立てて、唇をむさぼったらぬら……と濡れて光る瞳が目の端に入る。責めるように官能的で、すぐに再び緩く屹立しはじめた直の中心が、揺れて松本を誘う。

「やっべぇ……」

ずくんと自分の下肢に熱が集中するのを覚えた。
直の放った物を手のひらから掬い取り、そっと最奥に塗りこめてゆく。きつい絞りに、執着する松本を直が詰った。

「店長……。……そこばっかり触っちゃやだ……おかしくなる。もっと、ほかも触って……」
「慣らしとかないと、きついだろ。」

広げた直の足の間に体を割り込ませた松本の首に、ぎこちなく恋人は手をまわした。

「んっ……店長……。」
「そういやさ、店長って呼び方は、色気がないよなぁ。いっそ恋人らしく名前で呼んでみるか?」
「名前……そういえば教えてもらってない。」
「名前な……んっ。」

震える膝頭を強引に開き、直の分身を軽く嬲った。
緩くやわやわと丹念に擦りあげると、ひくひくと腹が波打ち、直は小さく断続的に悲鳴を上げた。

「あっ…………」

もう会話にはならなかった。
どこに触れても、あえかな細かな喘ぎだけが部屋に響く。直に煽られて、松本はまるで余裕のない、初めての高校生のように夢中になって欲情していた

「優しくするつもりだったんだがな……。何日も抱いてなかったからな。……あ~、直が可愛いのが悪いんだ。くそぉっ、余裕がねぇ。」

枕もとの細い容器入りの潤滑油を取り上げて、先端を忍び込ませた。異物の侵入してくる感覚に、一瞬目を見開いた直だったが、松本の向けた笑顔に応えて蕩けるように弛緩した。
のけぞる喉元から胸には、赤い所有印が花びらのように散らばって、なまめかしい。薄赤い小柱がきゅっと縮んで色を濃くした。
脳裏にどこか面差しの似た直の祖母の顔が横切って、何とも言えない気持ちになった。

「今はまだ、ださいけど……いつかはばあちゃんに認めてもらえるような、直にふさわしい男になるからな。」

『ちゃんと責任とりますから、許してください』

直の体を翻弄しながら、心の中で詫びた。
ささやかな持ち物が、芯をもち頭をもたげ始めたのをつついてやる。
濃い紅色に染まる先端に透明な雫が溜ったのを見て、松本は微笑んだ。

「若いな、直。もう勃って来た。」
「おれ……もう……」

もどかしい腰を、ぎこちなく松本にこすりつけて直が誘う。
解けたそこへ、いきり立った己を強く打ち付けて、松本も喘いだ。

「直っ……!」
「ああぁーーーっ……!」

星の降る夜。
体温で溶ける繊細な砂糖菓子のように、二人は抱き合って一つになった。




やっと、着地できました。
ここまで、お読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃)

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