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Café アヴェク・トワで恋して21 

黒崎を目の前にしたら、きっと怒りがあふれるだろうと思っていた。
下手すると殴りつけずにはおれないだろと思っていたのに、意外にも松本は静かに黒崎と会話をしていた。

「惹かれていましたが……同時になんでもない顔をして、後を追ってくるのが怖かった。もしも相良が菓子ではなくて、違うものを追ってくれたら、どれだけ愛おしい存在になったかしれません。私は容赦なく相良のすべてを取り上げました。親との確執があって、家に帰れない話も聞いていましたから、家に誘いました。」
「そのあたりの話なら、俺も少しは聞いているよ。」
「羽をもぐように毎日乱暴を重ね、涙も零れなくなった虚ろな瞳に、もう菓子を作る気力も失くしたと思って安心いたんです。逃げた時は……これで地獄が終わると思って、内心ほっとしました。」
「思い切り自己中な発言だな。信じていたやつに手ひどく裏切られて、地獄の中にいたのは直の方だろうに。」
「すみません……おっしゃる通りです。でもまさか相良が、もう一度菓子を作れるようになるとは思ってもみなかった。」
「自分でもそう言っていたよ。もう誰も愛せないと思っていた……ってね。」
「あの子は、私が思っているよりもずっと強かったんですね。」
「そうだな。見た目は脆いが、芯は案外強いかもしれねぇな。」
「私は、そんなことすら気が付きませんでした。あなたはすごいです……。やはり、螺旋の黒服は伊達じゃない。」

松本は吹きそうになった。
結局、黒崎の目には自分は、客の好みのすべてを受け入れる高級SMクラブ螺旋(らせん)の従業員にしか見えていないのだろう。

「褒めてもなんも出ねぇぞ。ケーキの事なんて、俺には何もわからんしな。」
「渡仏してしまうと、螺旋に行けなくなるのが寂しいです。あの場所は、私にとっては唯一見栄を張らずに息をつける優しい場所でした。」
「フランスにもあんだろ、そんな場所。何なら調べてやろうか?むしろ、向こうの方が本場だと思うぜ。」
「いえ。修行に行く身ですから、今回は遠慮しておきます。」

何年も前から友人だったように、松本は許せないと思っていた黒崎と話をし、そんな自分に驚いていた。
直が羨望してやまなかった黒崎の才能は、自身がいつ枯渇するかもしれないと恐れるちっぽけな泉だった。

「店の最後の日に、あなたに会えてよかった。ありがとうございました。」
「いや。俺もあんたと話ができて良かった。少し、見る目が変わったよ。話をするまでは、最低の奴だと思っていたからな。」
「フランスで生まれ変われるように、努力しますよ。」

黒崎は、どこか清々しい面持ちで微笑んだ。




本日もお読みいただきありがとうございます。

何処かご都合主義な展開になってきました。
松本~、このまま直の所に行って話をしたら、きっと泣かれるぞ~

(。´・ω`)ノ(つд・`。)・゚「何で、黒崎と仲良くしてんの?おれのこと苛めたやつなんだよ?」
             「え~と……可愛いと、ちょっと苛めたくなるもんだよ。」
             「店長のばか……」

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