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Café アヴェク・トワで恋して 12 

その日はまるで、caféアヴェク・トワにとって厄日のようだった。
ランチ時間が終わりに近づいたころ、妙な三人連れの男が来店した。

「ランチ。」
「おれも。」
「同じものを、くれ。」

既に12時を回り、限定20食を超えていた。客には丁重に断るしかない。
後、二食分しかランチは用意できなかった。

「お客さま。申し訳ございません。ランチは限定20食となっております。どなたかお一人さまは、こちらのセットメニューからお選びいただけますか?」
「ランチが食いたいって言っているだろう?この店は、客の食いたいものを食わせねぇのか?」
「小鉢は御準備できると思いますが、メインのコロッケは完売しておりますので、申し訳ありません。」
「同じものが喰いたいって言ってんだろ?」
「……ですが、お客さま。」
「は~?お前じゃ埒が行かねぇな。責任者いねぇのか?」

だんだん荒々しくなってくる客の声に、直が気が付いた。
由美は正しいことを言っているが、一般常識が通るような真っ当な客ではないようだ。

「由美ちゃん。」
「あ、直くん……」

由美は涙目になっていた。

「ご迷惑をかけて、申し訳ございません。せっかくお越しいただいたのですから、小鉢と食後のドリンクはサービスで付けさせていただきます。」
「別に俺たち、難癖付けに来たわけじゃないぜ?なぁ?」
「お前、俺たちが金の無心にでも来たと思ってんのか?」
「いえ、そのようなことは申しておりません。おもてなしをしたいと考えただけです。」

凍り付いた由美を背中に庇い、直は懸命に対応した。

「おもてなし?」
「はい。」
「何でもするってか?」
「当店のできる範囲であれば、ご要望に応えさせていただきます。」
「へぇ~……、できる範囲ねぇ。さっきのお姉ちゃんと、酒が飲みたいって言ったら?」
「残念ながら、当店はアルコールは扱っておりませんので、そのお申し出はお受けできません。」
「そうか。……だったら、あんたでいいや。良くみりゃ、あんた可愛い顔してんじゃん。ちょっと顔貸せよ。酒のある店に行こうぜ。連れが多いほうが盛り上がるしな。」
「あ……の。まだ仕事がありますので。」

店内にいた数組の客は不穏な空気を感じ取ったか、早々に店を出て、店内にいる客は男たちだけになっていた。
ホールから厨房に由美が走る。

「尾上。直くんが絡まれてるの、助けに行って。」
「え……?なんで俺?」
「男は荒木さんとあんたしかいないからよ。」
「じゃあ、荒木さんに頼んで。」
「何言ってんのよ。荒木さんが相手を殺しちゃったらどうするの。今、店長居ないんだよ。」
「……まさか。」

振り返ると荒木は包丁を研ぎ始めていた。
勿論、刃傷沙汰を起こす気など毛頭ない。
使った包丁の手入れをしているだけだ。

荒木は、窓の外に松本の姿が見えたのを確認して、ふっと笑った。

「由美。どうやら、俺の出る幕はねぇようだ。」
「え~!どうしてですか?直くんが対応してるんですよ。直くんが傷物になったら、あたし二人の事軽蔑するんだから。」
「傷物って……。外、見てみろ。」
「え?何……あ、店長が帰ってきた~!良かった~!」
「良いところで、王子さまの御帰還だな。」




本日もお読みいただきありがとうございます。
良いところで松本が帰ってきました。
さて、受難続きのcaféアヴェク・トワのこれからは……

(`・ω・´)「さ~て、来週のサザ○さんは?みたいだな?」
(*´▽`*) 「良かった~、店長が帰ってきた♡」

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