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Café アヴェク・トワで恋して 3 

結局、次の休みの日、店内には菓子用のショーケースが入ることになった。

「スイーツの種類をいくつか用意できれば、尾上くんが言うように選ぶ楽しみもできるし。作るのは好きだから嬉しいです。」

直は張り切っていた。

「店としては助かるけど、直が無理しそうで心配だな。」
「大丈夫です。すごく凝った物は無理だけど、大福とかは和洋どっちにもアレンジできるし、数を増やすのはそれほど大変じゃないから。あ、でも……厨房に入る時間が増えるから、ホールの仕事は抜けちゃうけど……いいかな?」
「あたしが頑張るから、そこは大丈夫。」
「あ、俺も頑張ります。お店に来た人って帰り道、すごく笑顔じゃないですか。それって何か、うれしいですよね。」

スタッフの意見に、松本と荒木は顔を見合わせた。

「尾上も、由美も、直も可愛いぞ。おじさんは嬉しい。いい子だ、いい子だ。」
「うわぁ~!店長~!」
「何やってんすか~!」

ガシガシと頭を掻きまわされて、スタッフは唖然としている。

「ちょっと、松本さん……。親戚の子供じゃないんだから。みんな、ドン引きしてますよ。」
「おう、そうか。悪い。嬉しくてな。」
「あはは……店長って、ちょっと感覚がおかしいよね。でも、あたし、嫌いじゃないよ。」
「俺は、お前らが大好きだぞ。」
「ほら、そんなところ。ちょっと変~。何か、学校の先生みたい。」
「俺、親父にも、こんな事されたことないっすよ。」
「なんだよ。家族みたいなもんなんだから、スキンシップは大切だろ。」
「あはは……おかしい~。ありえない~。」

そう言いながら、どこか嬉しそうなスタッフたちだ。
直も、最初は皆と接するのにぎこちなかったが、松本と荒木の心配りもあって、他のスタッフたちと馴染んでいた。
直のトラウマに関しては、松本がとんでもない嘘をついた。

それは、荒木が帰ってきた次の日、スタッフが全員揃って初めて顔合わせした時だった。

「……え、と。大したことじゃないんだが、全員揃ったところで、一つだけ言っておく。厨房スタッフの、この直のことなんだが。」
「はい。」

店長の号令に、皆、緊張した。

「ああ、かしこまらないで聞いてくれ。実は直は昔……熊に襲われたことがあってな、そのせいで背後からの気配に特別敏感なんだ。だから、直の後を通るときはびっくりしないように、声をかけてやってくれ。」
「え?まじ?熊って、直くん出身地どこよ?北海道?」
「ニュースでは見たことあるけど、本当に襲われた人いるんだねぇ。」
「ヒグマとかなら、最近は全国どこでもいるんじゃないの?」
「あ……あの……、荒木さん~。」

居たたまれない直は、荒木に助けを求めた。
松本と相談して、荒木と松本の兄分、木本にだけは黒崎とのいきさつを告げる事にしてあった。
だが、こういう時の対応は、荒木も松本と遜色のない残念なものだったと、直は知ることになる。




本日もお読みいただきありがとうございます。
直くんのトラウマは、説明が難しいけどクマに襲われた……とはね~(*つ▽‘)っ)))

ヾ(。`Д´。)ノ「やかましいわ~!いろいろ考えたんだよっ!」
Σ( ̄口 ̄*) 「思い付きじゃないっすか、松本さん。」
(´・ω・`) 「……」
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