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終(つい)の花 64 

直正はきびきびと指示を飛ばした。

「反撃してくるまでが、勝負だ。まずは火縄!弾を込めて、狭間に並べ!」
「はいっ!」
「……火蓋を切れっ!狙えっ!」
「はいっ!」
「撃てーっ!」

一斉に旧式銃が火を噴いた。篝火に当たって、火の粉が舞い上がったのが見える。

「下がれっ!次、ゲベール!火縄、弾込めっ!」
「はいっ!」
「次は一衛!構えっ!狙えっ!撃てーっ!」
「あいっ!」
「もう一度!構えっ!狙えっ!撃てーっ!」
「あいっ!」

少年たちは必死に弾を込め撃った。
細い狭間の間から、狙いをつける少年たちの存在に気付いた敵方は、すぐさま反撃し始めた。

「よくやった。」

無謀な反撃を避け、直正は少年たちを下げると褒めてやった。

「何発かは、はっきりと命中したのが見えたぞ。さすがは会津武士だ。皆、立派な初陣だった。」
「直さま。次はいつ攻撃するのですか?」
「わたしも相馬さまの下で働きとうございます。」
「相馬さま。お城の外に打って出るときは、わたしたちを相馬さまの鉄砲隊としてお連れください。」

高揚した少年たちに、直正は優しい目を向けた。

「お主たちがお城の外に出るときは、会津が新しく生まれ変わる時だよ。」
「……直さま?」
「相馬さま?」

一衛は直正の表情に、諦めにも似た悟りを見た。
仏壇の前で、父の訃報を告げた時には、どうしようもない悲しみに青ざめていた直正だったが、今はむしろ明るく優しく見える。

「直さま……あの……何かあったのですか?それはどういう……?」
「今後のことは、殿がお決めになる。」

城内の様子を見て、すでに藩主容保は腹を決めていた。
会津の終焉を、一部の重臣達は知っていた。
数人の使者を立て、新政府軍に降伏の打診をしている。京都で働いた公用方の若手が、密かに働いていた。
強硬派の中には、雪が降るまで粘るべきだと言うものもいたが、容保はもうよいと口にした。
既に籠城戦は限界に達していた。

「余が降伏したとしても、会津は終わらぬ。子供たちに、未来を託そうではないか。」

ついに、鶴ヶ城は落城した。




本日もお読みいただきありがとうございます。(`・ω・´)きりっ!
やっとここまで来ました。時代物BLのはずが、ほとんど史実描写で必死の此花です。
落城の夜を描いたのちは、容保さまの降伏式です。涙……(´;ω;`)うっ……

直正と一衛は、これからどうなってゆくのでしょうか……       |・ω・`) 此花咲耶

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