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漂泊の青い玻璃 57 

久し振りに逢った琉生は、変わらない声とは違い見た目はずいぶん大人になっていて、隼人には眩しかった。
以前と変わりなく軽口を叩きながら、複雑な思いで隼人はおよそ三年ぶりに会う琉生を見つめた。
互いに多忙なので、琉生がバイトを始めた居酒屋で食事をしようという事になった。

「ごめんね。何か、予約が入ったんで一時間だけホール手伝ってくれって言われたんだ。隼人兄ちゃん、時間大丈夫?」
「ああ、明日は移動日だから、遅くなっても構わない。一時間くらいなら、待っててやる。
「じゃ、ビールでも飲んでて。後は適当に、注文入れるね。」
「……兄貴。何か、琉生の印象変わったな。」
「そうかな?隼人は久しぶりに会ったからじゃないか?散髪行く暇がなくて、つい伸ばしっぱなしになってるあれのせいかも?」
「ん?おしっぽ、変?」

明るい色の髪に手をやる琉生は、細身なりに肩幅も広くなり少年の面影は残っていたが、以前のように中性的ではなかった。
高校に入ってから、急激に背も伸びた。

「背が伸びたでしょ?もう、ちび琉生じゃないからね。隼人兄ちゃんと変わらないんじゃない?」
「うるさい。琉生は永遠にちび琉生だ。」
「え~、そんなぁ~。」
「ちび琉生。注文するから、さっさとメニュー寄越せ。」
「もう~!」

そう言いながら、久しぶりに逢えてうれしい反面、どこか見た目の変わった琉生に戸惑いを隠せない隼人だった。

働き始めた居酒屋では、白いシャツに黒いギャルソンエプロンを腰に巻く。後を通る女性客が、無遠慮に頬を染めて顔を覗き込む。常連客らしく、琉生は笑顔で応えた。

「こんにちは~。」
「あ。いらっしゃいませ。奥の部屋どうぞ。」
「ありがとうございます~。」
「すぐに、メニューとお冷お持ちしますね。」

衝立を挟んだ隣の席から、「素敵~。」「今日は、あの子に会えて運が良かったね。」「ね~、ここにしてよかったでしょ?」「いくつなの?」というのが聞こえた。

「……なぁ、兄貴。もしかすると、琉生の奴、普通にもててるのか?」
「どうやら、そうみたいだな。」
「ちび琉生のくせに生意気だぞ。」
「ジャイアンか……まあ、いっぱい飲め。やっと、ここまで来たな。」
「琉生はいないけど、乾杯するか。」
「なぁ、隼人。もう、そろそろいいんじゃないか?」
「何?」
「いい加減、琉生から離れようとするの止めてやれよ。隼人兄ちゃんに何度電話しても出てくれないって、しょんぼりしてたぞ。」
「そのことか。理由があるんだ。……兄貴には言うけど、俺は琉生といて、一度理性がぶっとびそうになったことがあるんだ。親父が琉生を襲った時だから三年も前かな。俺はこの先、ちゃんと兄貴でいられるかどうか自信が無い。だから、離れようとしたんだ。」
「そうだったのか。」
「兄貴にもいつか聞きたかったんだ。どう思ってるの、琉生の事。」
「隼人がそう思っているのは、薄々気づいていたけど、自信が無いってそれは自分だけの考えだろう?琉生の気持ちを聞いた事ある?」

尊は聞かれたことには答えずに、隼人にもう一度話を振った。

「……いや、そんなことは……。だって、兄弟だろ。琉生にとっては、それは変わらないはずだけど。」
「それがな、琉生は僕も隼人も同じように好きなんだとさ。甘えん坊だから、兄離れが出来ていないだけだと思っていたんだが、そうでもないらしい。だから、僕はいつか隼人と琉生を半分こするって宣言しておいた。」
「は?」

隼人はジョッキを取り上げたまま固まった。




本日も読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃)

琉生とお兄ちゃん達の日々が、すぐそこに見えています。……[壁]ω・) うまくいくかなぁ……


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