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漂泊の青い玻璃 12 

遊園地の入り口で、琉生と相手の家族は初対面の挨拶をした。

「こんにちは。琉生くん?」
「……こんにちは。大槻琉生(おおつきるい)です……。」

母の後に半分隠れて、何とか初対面の三人に挨拶をした琉生の目線に、上の兄だと言う少年が降りた。

「お利口さんだね。きちんと、ご挨拶できるんだ。僕は、尊(たける)って言うんだ。こっちは、隼人(はやと)とお父さん。あっちに、ソフトクリームを売ってる売店があるんだよ。一緒に行ってみない?」
「ソフトクリーム?」
「そう。嫌いかな?」

琉生はちらと母を見やった。

「琉生。ソフトクリームってね、琉生の好きなアイスクリームのことよ。」
「琉生くん、アイス好き。」
「そう。良かった。じゃあ、お兄ちゃんと一緒に行こ。」

尊は弾けた笑顔を向けると、琉生の手を取った。
琉生は素直に手を引かれ、尊と共に母の元を離れた。
琉生はまだ一人でソフトクリームを食べたことが無い。

「はい。」
「……わぁ……」

初めて持ったソフトクリームは、とても重くて大きな気がした。
持たせてもらっても、いつも何でも母と分け合うのが当たり前の琉生は、一人で食べるのはいけないことのような気がして、その場で尊を見上げた。

「ん?一番上から、あ~んしていいんだよ。」
「これ……琉生くんの?」
「そうだよ。でも全部食べるとお腹壊しちゃうかもしれないから、お兄ちゃんと半分こしようか?」
「半分こする。」

横合いから、尊がスプーンで掬って数回口に放り込んで、琉生くん美味しいよと誘う。俺にも寄越せと、隼人が真上からかぶり付いたのを琉生は驚いて見つめている。
負けじと初めてかぶりついたソフトクリームは、思ったよりも大きくて、琉生の顔半分はソフトクリームに埋まり、真っ白になった。

「ははっ!何やってんだよ。白クマみてぇ。」
「隼人!」

隼人に大声で笑われて、悲しくなってしまった琉生の口の周りを拭ってくれた尊は、スプーンを渡してこっちの方が良かったねと微笑んだ。

「ごめんね。大きな方が良いかなって思ったんだけど、食べにくかったね。今度はカップの買ってあげるからね。さ、早くお手々洗って、戦隊ショー見に行こう。隼人、先に行って順番取っといて。」
「え~、何で俺が順番取り~。」
「文句言わない。」

ソフトクリームでべたべたになってしまった琉生の手を、迷わず引いて、尊は洗面所で顔と手を洗ってくれた。

「あ。琉生くんのほっぺたに、まだソフトクリームがついてる。」

いきなりぺろりと頬を舐められて驚いたが、決して嫌ではなかった。
いつか、病院で父親から食事のプリンを貰って食べた時、同じように父は琉生の口元に付いたプリンを舐めた。

「ふふっ。琉生くんは、ソフトクリームの味がするね。」

にこにこと笑う尊を、琉生は一日でとても好きになった。
年の離れた尊と琉生は、傍目にも仲の良い本当の兄弟の様に見えていたかもしれない。




本日もお読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃)

(〃^∇^)o彡▽「琉生くん、初めてソフトクリーム食べた~」
(〃ー〃) 「琉生くん、すごくかわいい~♡」

琉生と寺川家の家族の出会いの場面です。
優しいお兄ちゃんです。


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