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朔良―そのままの君でいい 7 

胸を抱えて、朔良はその場にゆっくりと膝を付いた。
パニック障害の発作が起きかけているのかと、小橋は疑った。

「朔良君。苦しいなら、それ以上無理をしなくていい。だけどね、僕は何を聞いても驚かないよ。君が穢れていると言うのならそうなのかもしれない。君の言葉を簡単に否定したりしない。僕は朔良君の人生の全てを知っているわけではないからね。でも、それでも僕は君を欲しいと思う。君の心がどれだけ歪でも構わない。君がどれほど自分を愛せなくても、僕の気持ちは変わらない。朔良君を抱きしめたいよ……」
「せ……ん……せい……」

小橋は胸の中に朔良を抱きしめ、囁き続けた。
朔良の耳に、届いているかどうかも分からないが、そうせずにはいられなかった。詳しいことはよくわからないが、おそらく朔良は壊れそうな心を抱えて、何かと必死に闘って来たのだろうと思う。
小橋は表面的には硬質に見える朔良の中にある、脆い本質を見て居た。

「朔良君……君がどれほど苦しんできたか僕は知らない。でも、僕は君を理解したい。君を楽にしてあげたいよ。」

朔良は震えていた。
本音を口にしてもいいのだろうか。小橋に手を伸ばしてもいいのだろうか。
これまで彩以外の誰にも言えなかった。
過去に朔良の手を取ったものは、皆、朔良の心と身体を粉々にし踏みにじった。
ありのままの自分を愛してくれる者は、どこにもいないと思っていた。

見えない殻の中で膝を抱えていた小さな朔良が、おずおずと外の世界に手を伸ばそうとしていた。

「朔良君。許されるなら、僕はずっと君を抱いて居たい。たとえ君がどれほど自分を憎んでも、君の精神は純潔だと僕は知っている。脆くて健気な君が大好きだよ。」
「……僕……を?」

大きく見開かれた朔良の瞳から、はらはらと透明な滴が零れ落ちた。

「君が傍からいなくなると聞いて、迷惑かもしれないと思ったけど辛抱できなかった。断られてもいいから、どうしても打ち明けたかった。いい年して、ほら……子供のようにどきどきしてるだろう?勇気を振り絞ったんだよ。」

小橋は朔良の手を取ると、自分の胸に当てた。

「驚かせてごめんね……。でも、ずっといつ言おうかと思っていたんだ。朔良君に、もう会えなくなると思ったら、後先考えずに焦って突っ走ってしまった。前しか見えない浮かれた高校生みたいにね。……朔良君?大丈夫……?」

朔良は濡れた頬を上げた。

「僕……を……あ……愛……して…………?」
「誰よりも。」

小橋は躊躇なく、力強く肯いた。
ひくっとひきつるような嗚咽が漏れると、もう堰を切ったように涙は溢れて止まらない。

「……ぁ……あぁっ……んっ……」

朔良は小さな子供のように、小橋の胸にしがみついて泣いた。





本日もお読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃)

朔良、泣いちゃったね~。・゚゚ '゜(*/□\*) '゜゚゚・。
まともに愛されたことなかった朔良には、素直になるのも難しかったみたいです。

(。´・ω`)ノ(つд・`。)・゚え~ん……


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