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嘘つきな唇 54 

「里流……?里流……大丈夫か?」

何度も名前を呼ばれて、里流は気が付いた。
返事の代わりに、腕を伸ばし胸に顔をうずめた。

「彩さん……ひ……かるさん……」

「なんだ。泣き虫だなぁ……」

事後の始末もそのままの、間抜けな格好に苦笑しながら、彩は里流を抱きしめた。
優しく頭を撫でられて、再び涙は止まらなくなってしまっている。自分でもこれほど涙もろくなるとは思いもよらなかった。
好きな人に愛された、それだけのことで心が震える。

「すみま……せん。何か……気が抜けてしまったみたいです……涙が止まらなくなって……しまいました。」

「目が溶けてしまいそうだ。」

見上げる里流の額にキスを贈り、彩は柔らかくふふっと破顔した。その笑顔に、怒らせたのではないかと怯えていた里流は、思わずほっとする。彩は、何もわからない自分の身体でも、ちゃんと満足してくれたのだろうか。

「可愛いなぁ。俺が持っている里流のイメージは、もっとしっかりしているはずだったんだが、意外だったよ。うん、里流の泣き顔は可愛い。」

湯で濡らしたタオルで、下肢を拭いてやりながらしんなりと下を向く持ち物の先端をつつく。

「大丈夫か?身体は辛くない?」

「はい……あの、大丈夫です。彩さんが使ってくれたから……。」

里流が話すのを、彩はにこにこと聞いていた。それが嬉しくて、このままずっとこうしていたいと思ってしまうが、そうはいかなかった。

「あの……明日仕事なのに、こんな時間になってしまって。早く帰らないと、差支えます。」

彩はちらりとベッドサイドの置時計を見た。

「そうだな。でも、どうしても里流と話がしたかった。変わらない里流を酷く傷つけてしまったから、どう謝ればいいかと思ったよ。すっかり怖がらせてしまって、まさか逃げられるとは思わなかった……正直、顔も見たくないほど嫌われたかと、焦ってしまった。」

「おれにとっての彩さんは、他の誰よりも強くて凛としていたから、驚いたんです。高校生のおれにとっての彩さんは、ずいぶん大人びて見えました。でも、彩さんにも弱いところはある。人間なんだから当たり前なのに、おれは彩さんを勝手にヒーローに偶像化していたみたいです。」

「ヒーローか。そうだな、里流にはいいところを見せたくて、見栄を張っていたかもな。もう分かってしまったと思うけれど、本当は些細なことに動揺する肝の小さい情けないやつなんだ。そのくせ、弱い自分を認めるのが嫌だったんだ。」

里流には、そう語る彩は既に潔くて好ましく思えた。

「今日会った時も、上手く話が出来なかっただろう?正直に言うと、昨夜の事を里流に詰られるのが怖かったんだ。里流と目を合わせたくなくてな……。大学と聞いたとたんに、何だか酷く凶暴な気持ちになってしまって、ひどいことを言って傷付けた記憶はあるんだ。……里流?俺は何と言ったんだ?」

里流は小さく頭を振った。





本日もお読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃)

やっと拙いエチ場面が終わりました。 ヾ(〃^∇^)ノ逃亡しなかったぞ~
互いに理解して、前を向ければいいなぁと思います。
後、一話で終わる予定です。最後までお付き合いいただければうれしいです。  此花咲耶


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2 Comments

此花咲耶  

おばちゃんさま

> 毎朝見てる朝ドラ。ごちそうさんに出てくる長男。野球をやっていて先輩とバッテリーを組んでるんだけど、つい彩と里流に重ねて朝からみてしまってます。アハッ!

此花も毎朝、見てます。
ふくちゃんが何気に腐女子目線なので、笑ってしまいました。
(ノ´▽`)ノヽ(´▽`ヽ)実は此花も、ちょっとよこしまな目線で見てました~。わ~い。
可愛い二人。彩と里流だと思うと……うふふ~、此花も牛かつ作ろう~

げんちゃんが心配です。。・゚゚ ’゜(*/□\*) ’゜゚゚・。きっと、戦争中のトラウマなんでしょうね。
コメントありがとうございました。(〃゚∇゚〃)

2014/02/07 (Fri) 00:51 | REPLY |   

おばちゃん  

朝ドラ

毎朝見てる朝ドラ。ごちそうさんに出てくる長男。野球をやっていて先輩とバッテリーを組んでるんだけど、つい彩と里流に重ねて朝からみてしまってます。アハッ!

2014/02/06 (Thu) 22:17 | REPLY |   

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