FC2ブログ
FC2ブログ

嘘つきな唇 50 

腕の中で彩の温もりを感じて、少しずつ里流は落ち着きを取り戻していた。
強張っていた心身が、解れてゆく気がする。
真っ直ぐに下ろしたまま緩く握られていた拳が、ゆっくりと迷うように上がり、静かに彩の背中に回った。

「里流……」

里流はくんと、彩の匂いを嗅いだ。里流の好きなシトラスの清潔な青い匂いが、ふわりと鼻腔をくすぐった。

「彩さん……、大丈夫です。すみ……ません。逃げないって決めたのに。」

「里流が俺を怖がるなんてな……。自分のやった事が腹立たしいよ。」

彩の長い指が、里流の冷たい頬に伸びた。
じっと真正面から、里流を見つめたままゆっくりと顔が近づいて来て、角度を変えると唇に触れた。
長い睫だな……と、彩が口にする。

「……ふぁっ……」

ひやりとした柔かい手の平に包まれて、彩を身近に感じた時、里流の頬はぽっと火照った。
唇を割って遠慮がちに侵入してきた彩の舌を思わずつつき、自分の思い切った行為に狼狽する。追いかけてきた柔らかな感触に巻き取られて吸い上げられ、ぼうっとした里流は思わず胸に縋った。
自分を引き寄せ、しっかりと抱きしめた大人の彩は、里流の耳朶に甘く低い声を響かせた。
彩の大きな手が優しく背骨を行き来する。
怖気た里流を、宥めるようにあやすように撫でる彩は、いつかのように優しかった。

「里流がこれ以上何もしないでくれと言うなら、そうする。だけど、このまま腕の中に抱いていてもいいか?手を離すと、また逃げられそうで不安になる。」

「もう逃げません。キスを……してください。もっと。彩さんが昔、おれにたくさんしてくれたように、優しいキスを……彩さん……」

繰り返される深い口づけに溺れそうになりながら、里流は固く目を閉じた。
もうすぐ深夜になりかかった遅い時間、夕陽に照らされた自転車置き場でキスを数えたあの日のように、二人の影は重なっていた。

*****

結局二人が向かったのは、昨夜時間を過ごした安ホテルだった。
里流は躊躇したが、やはり埃じみたあの場所に行こうと言ったのは、彩の方だった。

「里流の気持ちを踏みにじった場所で、里流を愛したい。なかったことにはできなくても、せめて優しくしてやりたいよ、里流。駄目か?まだ俺が怖い?」

里流はふる……と微かに首を振った。

「おれは大学で誘われて、女の子とも付き合ったけど……何故かうまくいかなくて。経験がないからかなって自分では思ってたけど、違ったみたいです。彩さんと……って思ったら、何か心臓が破裂しそうです。」

パンツの前がささやかに張っているのを見て、彩もふっと柔らかく微笑んだ。

「なんだ。里流は女に勃たなかったのか?でも、俺に反応してる……ここ、大きくなった?」

「はい……彩さんも?」

「ああ。互いに初心な恋人同士みたいだな。里流に付けた傷を、俺が癒やすなんて言えないけど、触れてもいいか?」

断る理由はなかった。
互いに伝え合ってやっと気持ちを感じる事が出来る。

「おれも彩さんの事、わかっているつもりで何もわからなかったです。知らないことも多くて……卒業してからの事、教えてください。……今ならどんなことも聞けるから。」

「おいで。」

シーツだけは新しいものだった。
軋む寝台に腰掛けた彩の膝の上に誘われて、穿いていた物を取り払われて直接彩の体温を感じた時、里流の前部は痛いほど強(こわ)くなった。

大きな掌が、里流の素肌を這う。




本日もお読みいただきありがとうございます。(〃゚∇゚〃)
……やっと、キスしました……(*ノ▽ノ)キャッ
あと少しで終わります。お付き合いください。

♪ψ(=ФωФ)ψなんだ、里流は女に勃たなかったのか。くすっ……
(。´・ω`)ノ(つд・`。)・゚+あうう~


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ




関連記事

3 Comments

此花咲耶  

拍手コメント海野さま

うふふ~そんなところに気づいてくださったのですね。
さすが男の子ですね~(〃ー〃)
里流はどうやら行くところまで行って、ダメだったみたいです。そんな裏側だったのでした。
もしかすると、彩にも覚えがあるのかもしれません。(*/∇\*) キャ~
えあ・てぃんこしかないから、色々考えてます。
コメントありがとうございました。(〃゚∇゚〃)

2014/02/04 (Tue) 14:39 | REPLY |   

此花咲耶  

けいったんさま

> 過去の出来事は変えられないけれど、
> あの時とは違う思いなら 幸せに過ごせるなら それを封じ込め上塗り出来るかもしれませんね。

新しい思い出で、苦かった過去を消してしまえればいいと思います。
たぶん彩は必死です……(〃゚∇゚〃)

> 今まで 離れていたのが不自然だった2人
> これからは 何があっても 一緒に乗り越え 幸せに おなりよ~!うん!“O( ^ - ^ )O”

(。'-')(。,_,)ウンウン 上手く行けば良いなと思います。

> 所で 朔良姫は、今は どうしているの?(・ω・)......ン?...byebye☆

朔良は、この話が終わったら別のお話を書くつもりです。
広げ過ぎるととっちらかってしまいそうなのです(´・ω・`)

コメントありがとうございました。(〃゚∇゚〃)

2014/02/04 (Tue) 14:33 | REPLY |   

けいったん  

過去の出来事は変えられないけれど、
あの時とは違う思いなら 幸せに過ごせるなら それを封じ込め上塗り出来るかもしれませんね。

今まで 離れていたのが不自然だった2人
これからは 何があっても 一緒に乗り越え 幸せに おなりよ~!うん!“O( ^ - ^ )O”

所で 朔良姫は、今は どうしているの?(・ω・)......ン?...byebye☆

2014/02/03 (Mon) 17:09 | REPLY |   

Leave a comment